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依存的僕と消失的君。

5 ◆OYVkqChdsA:2011/01/23(日) 01:23:47 HOST:249.200.12.221.megaegg.ne.jp
「ねえ、邪魔なんだけど」
「あ。うっす、藤下。今年も同じクラスか。宜しくな」

 凛とした声の主は去年も同じクラスだった藤下だった。
下に髪を残して、上の部分の髪だけ二つに分けて結わえるというヘアスタイルがよく似合う強気で猫目の女子。
 ―ぶっちゃけ、こういう女子好みはである。

「うっす。こっちも宜しくね。
―ところで、この金色のもじゃもじゃは誰かしら」
「おおぅ、明日夏…。金色のもじゃもじゃじゃさんは今ガラスのハートがブロッキングなんだ」
「意味分からんわ。つーか、早くどけろ」

 げし、と金もじゃ……面倒くさいので金もじゃと命名しよう。
改め金もじゃは藤下の強烈な蹴りをくらって前回りを三回ほどした。僕は思わず拍手を藤下に送ると、藤下は誇らしげな顔をして「どうも」と言い、スカートの裾を持ち、軽くお辞儀した。こんな姿も可愛いな、なんて。

「明日夏、てんめぇぇぇぇ―……」
「えっと、私の席はどこかしら」
「てめぇ人様の話きけや!!」
「藤下はそこの席だね」
「おうっ!!?お前もかよ!!!!!」

 騒がしい奴。
 僕等はそれ(言い方酷いかな)を無視して指定された席に着き始めた。

「な、何だよお前ら……って何で座ってんの!!!?」

 金もじゃは辺りを見回して、自分だけが立っている事に不思議を感じたようだ。
さっきまで騒がしかったクラスは、今は皆指定された席に着き、各々静かにしている。

「何でだよぉぉぉ!!!」
「こういう事だ、羽場」

 ―羽場は、羽場の後ろに居た人物に出席簿で軽く頭を叩かれた。
誰だよ!!!!!、なんてぶち切れながら後ろを物凄い形相で振り返った。あ―あ、どうなってももうしんね。

「―うぉっふう先生コンニチワ!!」
「おお、朝から無駄に元気が良いなぁ羽場。早く席に着け―」
「……うぃ―っす」

 どっという笑いの波がクラス中から起こった。
羽場はそれに恥ずかしさからか頬を少しあからめ、物凄い顔でこちらを睨み、口パクで『覚えとけよ』と言ってきた。
おお、怖い怖い。

 羽場が席に着いてから、HRが始まった。
僕等の担任は強気な女の人で(しかも二十代前半だ)、赤城(と書いてアカジョウ、と読むらしい)。
軽くあとからの始業式と時間割について説明した後、いよいよ僕等お待ちかねの瞬間がやってくる。
 僕は羽場を見ると、羽場もこちらを見ていた。
二人でにしし、と笑っているのを丁度僕等の真ん中の席の藤下が気持ち悪っという顔で僕等を見てきた。
超絶傷ついた。

「あ―。もう知ってる奴もいるかも知れんが、今日は転校生がいる。
しかも超絶べっぴんさんだからなぁ。お前ら、あんま騒がしくすんなよ―?」

 少しおどけた感じで言う赤城先生。
 とても可愛らしいのですが僕はその子が気になるのでちゃっちゃとしてください。

「転校生を紹介する。入ってこ―い」
「はい」

 先生のそれに返事をする声にキュンと来た。
 彼女の声は鈴の音を転がしたような、そんな感じの声だった。
ソプラノの綺麗な声で滑舌も大変よく、少し幼い感じのあるなんとも言えない可愛らしい声。
僕ぁ声だけで彼女に恋をしてしまうんじゃないかと本気で思った。本気で思った。
 からら、というドアを開ける軽い音がする。
教室のドアからみえた細くて白くて綺麗な手が素敵だ。何かもう手からして美少女ってわかる。

 ドアが全部開いて彼女がこの教室に一歩入った時、教室の空気が変わった。


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