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短いお話の集い

3雷都 ◆U5wL/uVL5k:2010/10/23(土) 14:50:06 HOST:p2253-ipbfp303niho.hiroshima.ocn.ne.jp



 その子は初対面から変だった。
 私が最も関わりたくないような、人間。
 私と、正反対の人間。

 そう、この世界が大好きな人間……。

  「あはは、馬鹿〜」

 指を差してケラケラ笑う。
 1人の男子が可笑しい事をしたらしい。
 目の見えない私にはそう言うのも見えないから分からない。

 ふと、笑いが止まった。
 次に私の近くで声が聞こえた。

  「ねえ、この人馬鹿だと思わない?」

 おそらくさっきの人間を指差して言ったのだろう。
 それかもしくは私を指差して馬鹿にしているのかどちらか。


 ふと、周りの人間の1人が声をかけた。

  「駄目だよ、あの子目が見えないんだから……」

 ボソリと耳元で言ったつもりだろうが私にははっきり聞こえる。
 普通よりも耳は良いから。

 私は机にうつ伏せになった。

 ――無駄な気遣い……。

 心の中でそう思った。
 
 きっと私が見えない事は知っていたのだろう。
 だけどクラスの輪の中で1人外れてる私を見て哀れんだ。
 きっと同情したんだ。

 私はそっとその子に言った。

  「……同情とかで話しかけられても嬉しくないから」

 小声でボソリと。
 相手が聞き取れたか聞き取れなかったか何てどうでも良かった。
 だからそのまま眠ろうかと思った。
 そしたら、あの子は話しかけて来た。

  「同情なんかじゃないよ」

 それだけだった。

 それだけ言えばすぐに元の場所に戻り再び話し始める。


 ――変な、子……。


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