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鳥籠の中の雪兎は

78雪音 ◆mzHXeB1fFY:2011/05/07(土) 13:41:53 HOST:119-231-177-63f1.shg1.eonet.ne.jp
   【心拍数】

 この音はいつも僕の耳にまとわりついている。
 生まれた時から、一度も止まる事を知らず、死ぬときまでこの音は永遠に僕の体の奥底で鳴り響いているのだろう。
 とく、とく、一定のリズムが僕の生を刻んでいく。狂うことのない変わる事のないリズム。この音色、音量、響き、どんなに願っても僕の耳から離れる訳がないのだ。
 誰よりも何よりも僕から片時も離れる事のなかったオト。それはこれからも永遠に変わる事のない事実。
 例えば、僕が勉強している時、眠りについている時、誰かを愛した時、誰かを殺した時、笑った時、泣いた時、狂った時、呼吸した時。
 僕はいつも見張られている。嗚呼気味が悪い。吐き気がする。
 僕が何をしようとその音は僕から離れて行く事を許さない。
 僕が最後の呼吸を終えるまでその音はニヤニヤと僕の死にゆく様を見届けるまで鳴り続けるのだ。

 そんな事実に耐えられなくて僕は――――――、

 
 
 自ら、その音を、止めた。
 ぐしゃり。音が止む。


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