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鳥籠の中の雪兎は
66
:
雪音
◆mzHXeB1fFY
:2011/03/09(水) 19:24:02 HOST:112-71-99-229f1.shg1.eonet.ne.jp
【遊女に恋】※間接的にGL注意/舞台が遊郭なので苦手な方は注意
「小鳥遊(たかなし)で御座いんす」
ゆっくりと上げたその顔はあまりにも美しくて。触れあった肌はあまりにも冷たくて。
俺の心を一瞬にして啄ばんで攫って行ったその遊女は、まさに遊ぶ小鳥のよう――
――――
「あら、染屋の旦那ではないでありんすか!」
小鳥遊が、俺を見るなり嬉しそうに微笑んだ。その顔にはどこにも偽りがなくて、真実の笑顔が浮かんでいる。
小鳥遊は出会った時からそうだった。嘘をつかなくて、気さくで、優しくて、美しい。他の遊女は嘘と媚と白粉でベタベタに塗り固められていて、見ているだけでも吐き気がするのに、小鳥遊はそんな要素が一つも無く、他の遊女の比にもならないくらい気品ある遊女だった。
俺にとって小鳥遊は、初めは気晴らしの場所、それから落ち着ける場所、心安らぐ場所、そして今では、何よりも変えがたい最も大事な場所になっていた。
小鳥遊は嘘をつかない。だから、すぐに好きとか愛してるとか言う遊女たちとは違い、俺の事を愛していないから愛してると言わない。その分、彼女が以前俺に言ってくれた「わっちにとって旦那は大事な人なんですえ」という言葉は真実味があって、未だに信じてる。
「旦那、聞いてくださんし。こないだ、蝶蘭(ちょうらん)といわす可愛らしい遊女と仲良くなりんした!」
小鳥遊は、俺が来るたびに今日あった嬉しい出来事とか、あの客は嫌だったとか、友人のように沢山話してくれる。また、俺の愚痴や悩みごとも友人のように親身になって聞いてくれる。
心なしか、今日はいつもより嬉しそうだった。確かに、今まで小鳥遊の遊女の友達の話など聞いたことがない。
「へぇ。どんな娘なんだい」
「それはそれはまことに可愛らしくて、守ってあげたくなるような娘なんでありんすぇ。 遊女であるわっちが遊女を守るなんて妙な話でありんすがねぇ」
無邪気に語れば、その黒真珠のような輝きをもつ黒髪が揺れた。興奮しているのか、ほんのり頬が薄紅色に染まっている。染屋の俺が羨ましいと思えるような綺麗な薄紅色に。
「小鳥遊は、本当にその娘が気にいったようだな」
「そりゃあもう。蝶蘭は髪は鶯色で、瞳は瑠璃色で……。まことに美しくて羨ましいかぎりでありんすぇ。 わっちもあのように美しくなりたいでありんすね」
「小鳥遊は十分美しいだろう!」
蝶蘭、とかいう遊女を語る小鳥遊に、ほぼ反射的に大きな声を出してしまった。
蝶蘭という遊女がどれほど美しいか知らないが、俺にとって世界で最も美しい女は小鳥遊だった。例え本人からでも、小鳥遊が美しくないみたいな言葉は聞きたくなかった。どこが烏だというのだ。こんなに可愛らしい小鳥だというのに。
小鳥遊は、瞬きを繰り返し、俺の声に驚いている。
「そんな、旦那。わっちはこな地味な黒髪で、瞳は血のような赤で。まるで残飯をつつく烏のようじゃありんせんか。御世辞はいりんせんよ」
「そんな事ない。お前の黒髪は黒真珠のようで、瞳は赤椿のような赤色だ。俺にとっちゃあお前が一番美しい」
「え……」
小鳥遊は、あはは、と大声で笑った。俺が何故笑うのだと小鳥遊を驚いて見つめると、小鳥遊は優しい笑顔で言った。
「蝶蘭も昨日、同じ事いったでありんすよ。黒真珠の髪、赤椿の瞳って。旦那と蝶蘭は似てるでありんすねぇ。そんな優しい所に惹かれたのかもしれんせん」
『惹かれた』――――。確かに言った。その唇で確かにその言葉を紡いだ。
小鳥遊はやっと俺に惚れてくれたのか。
嬉しくて嬉しくて、着物の裾を握りしめ、小鳥遊を遊郭から連れ出すことを決意した。
本当は、惹かれたというその言葉は、蝶蘭に向けられた言葉だったというのに。
****
やっぱりやりたくなったので、続きではなく別視線で。
セリフ多いな。もうちょっと鍛えます。水月んのリクはこの次あたりに書きたいです。
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