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鳥籠の中の雪兎は

52雪音 ◆mzHXeB1fFY:2010/12/15(水) 20:49:05 HOST:180-146-101-51f1.shg1.eonet.ne.jp







「圭吾……」
「……そ、ら」

 引き合うようにお互いが顔を見合わせて、空は安堵の表情を見せた。
 けれど何かを思い返したかのように酷く辛そうな表情になり、唇をかみ締めた。そして意を決したのか、口を開く。

「……もう、行って。あたしは圭吾の顔見れただけで幸せだから」
「え……、俺はもっと空と話して――」
「だってっ!だって……圭吾には彼女がいるんでしょう?」

 圭吾に驚きの表情が浮かぶ。

「……だから、お願いだから、もう行って。じゃなきゃあたし……っ」
「そ……ら」
「圭吾に迷惑なこと言っちゃうかもしれない!好きだなんて……言ったら困らせるのにっ!」
 
 空が言った瞬間、圭吾は空を力いっぱい抱きしめた。
 空は涙の溜まった瞳を見開いている。そして次第にゆっくりと瞳を閉じて涙を流した。
 流した涙が顔からほろりと落ちたとき、空は圭吾の腕を払った。

「こんなことばかりしてたら、彼女さんに嫌われちゃうよ」
「……なぁ空」
「んー?」
「俺ら、もうちょい早く再会できてたら、またやり直せたのにな」

 圭吾は静かに言葉を紡ぐと、空の髪に触れて頬にキスを落とした。

「今でも、空のことが大好きだよ」
「……うん、あたしも圭吾が大好きだよっ!……でも、新しい恋見つけないとな」
「応援、してるから。……今度会うときはさ、『友達』だな」
「――、うん!」
 
 くるりと圭吾が方向転換して歩いていく。
 その後ろ姿を微笑みながら、空はずっと見つめていた。


「……ばか」


 最後くらい唇にしてくれたってよかったのに、と空は頬を触りながら思った。
 いつか、きっと圭吾以上に好きになれる人に出会える。
 その日まで、圭吾のことを、好きでいても構わないよね。

 空はゆっくりと佳織が座って待っているであろう場所へ歩いていった。




○始まりの終止符○
(長かった恋にようやくうてた、終止符)
(けどそれは、貴方への想いを隠さなくていいという、始まり)


****
雪音のお友達の誄から頂いた小説です^^ 
本気で神です、私が尊敬している1人ですノシ


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