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鳥籠の中の雪兎は

45雪音 ◆mzHXeB1fFY:2010/12/07(火) 19:25:22 HOST:180-146-48-217f1.shg1.eonet.ne.jp
【恋だなんて言わないで(崩したくないの)】

「嘘だぁー!」

 甲高い、悲愴感が籠った叫びが教室中に響く。クラスメイトがいたなら、目線が一斉に俺の隣の席に集まっただろう。今は俺達2人きりでよかった。
 隣の奴は落ち着いている俺とは正反対の様子で、返ってきたテストの答案を握りしめている手をわななと震わせている。

「何点とったんだー?」
「あっ!」

 隣から左手を伸ばし、奪い取ってやった。強く握りしめていた割には、あっさり奪えた。
 ソイツは顔を真っ赤にさせて、必死に点数の所を手で隠そうとしてくるが、俺は片方の手でそいつの頭を押さえているので、届かない。

「み、見るな、見るな!」

 当然そんな叫び声が俺には届くはずがなく、その点数部分に視線をやる。
 17点。

「え、おま……漫画みてーな点数とるんだな。普通にシャレになんねえよ」
「うるさいな! そーいうアンタは点数何点なんだよぉ」
「お前の点数、プラス83点」

 早くに言えば、100点という訳なのだが。
 俺の点数を知ると、いかにもショックを受けてますという感じの表情を浮かべる。「うぅ、」と唸り声を出すと、頭を抱え込んだ。

「……なぁ、良かったら俺が勉強教えようか?」
「何でアンタが。気持ち悪い」

 ソイツは頭を抱え込んだまま言葉を発するので、少し籠った声が聞こえた。
 ピシャリと厳しい言葉が聞こえたが、俺達の間ではいつもこんなふうに暴言ばかり。

「だって、俺お前の事……」

 そこまで言いかけた所で、ソイツは急にガタリと立ち上がった。勢いよく立ちあがったので、椅子が後ろの方に飛んだ。

「あっ、あたし、もう帰るね! うん、勉強はお兄ちゃんに教えてもらうからいいや!」

 今のタイミング。
 明らかに俺が言いかけた言葉を遮り、わざとらしくそれを避けようとした。
 今ので確信する。やっぱりコイツは俺が好きだって事を知っているのだ。


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