したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

廃墟に咲く花

18 ◆Hh/9IKsAlU:2010/12/31(金) 10:51:53 HOST:softbank220001002089.bbtec.net

○ 追憶 −Souvenir− ○




「……入りますよアノン様」

 クレラが使用人書庫から出て行った30分後、ドーレルは厚い本に藍色の花で作った押し花の栞を挟んで使用人書庫を出ていた。時刻にして7時を過ぎたころ。ドーレルは使用人部屋の建物から王宮へと歩いていき、王宮の部屋でも綺麗な造りをされている部屋をノックしていた。
 中からは音も気配もなく、ドーレルは中からの返事を待たずに扉を開いた。

「アノン様、起きてくだ――」
「起きてるわドーレル。それにほら、服だってもう着替えてあるのよ」

 低血圧であるアノン様にしては珍しい、とドーレルは思いつつ微笑した。真っ直ぐとうねりを知らない細やかな金色の髪はもうすでに梳かされていて、蒼い瞳も寝起きとは思えないくらい大きく開かれていた。そして薄い桃色の唇にも唇より少し濃い桃色のリップが塗られ、心なしか頬にも化粧が施されている。
 アノンと呼ばれた女性はクレラよりも清楚で可憐で、そして壊れてしまいそうな儚げさ。クレラが人形ならばアノンは水晶で作られた造りもの。美しさはクレラもアノンも変わりはないが、クレラは赤や桃色、アノンは青や藍色と表せるように正反対の雰囲気を持つ。
 けれども、瞳の色も顔の造りも華奢な身体もどことなく似ている。

「聞いてよドーレル、クレラったら6時に私の部屋にノックもせずに来たのよ」
「ああ、クレラお嬢様でしたらその後書庫にも来ましたよ」
「本当? 全くあの子は小さいときから変わらないんだから」
「しかし姉としてクレラお嬢様の成長は嬉しいのでは?」
「もちろん。妹の成長は私にとってこの上ない幸せだわ。……ね、ドーレル」

 アノンの言葉の意味を読み取ったドーレルは苦笑した。
 そしてアノンの白く細い指に壊れ物を扱うかのように優しく触れた。

「……やめて、ドーレル。手を離して」
「私はクレラお嬢様を愛することは出来ません。……私は……っ」
「私なんかを愛さないでドーレル。私は私自身の幸せよりもクレラの幸せを願いたいの」
「…………っ」
「ねえドーレル、私ももう22よ。そして貴方は24。……そろそろ子供みたく夢見てられる年頃じゃないのよ。……わかるでしょう?」

 

◇◇◇
2話はとりあえずここで終了。2話後編に続くw
(ドーレルが好きなのはアノン。アノンはクレラの姉。複雑な三角形)


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板