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無題という名の短編集

2 ◆qdyLzSl/PA:2010/08/02(月) 15:47:54 HOST:244.129.70.222.broad.xw.sh.dynamic.163data.com.cn
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ある所に一人の女の子が居ました。
女の子は極めて控えめで大人しく、何処にでも居る至って普通の女の子でした。

女の子には友達が居ました。
その友達は女の子とは反対に強気で明るく誰にでも好かれ易い性格の子でした。
女の子はその友達に憧れていて次第にその子に嫌われるのが怖くなりました。

だから彼女は嫌われない為にその友達に頼み事をされれば文句一つ言わず何でもやったし、悪口を言われたり酷い事をされたりしても怒らずへらへらと笑って受け流していました。
次第にその友達の子は女の子の事を使い勝手の良いパシリ役兼ストレス解消道具と思う様になりました。

けれども中学校の卒業式の日。女の子は間違えてその子のスカートにオレンジジュースを零してしまいました。
その時に一緒に自分のシャツにもジュースが掛かっていましたが、そんな事も気にかけずその子にただひたすら「ごめんね、ごめんね○○ちゃん。」「ごめんね、ワザとじゃないの。○○ちゃん。ごめんね、ごめんね。」と何度も謝りました。
○○ちゃんは、最後の最後まで女の子を許す所か目を合わそうとさえもしませんでした。

その後、二人は一度も会っていません。

今までその子と以外ずっと仲良くしていなかった所為でか女の子には他に友達が居ませんでした。
だから次第に女の子は学校から帰るなり部屋に引きこもり毎日パソコンの画面に向かうだけの生活をする様になりました。

女の子には取り得どころか趣味や特技さえも無く、何一つ良い所が有りませんでした。
そんな女の子が毎日家にこもってパソコンをしているばっかりでか女の子のお母さんはとうとう怒ってこう言いました。
「お前なんかさっさとこの家から出て行け!それか死ね!」
女の子はその言葉を聞いた途端、とても悲しい気持ちになりました。
けれども心の隅では「お母さんが実際にそう思っている筈無い。だって今までずっと育てて来てくれたんだもの。実際に私が死んだり何処かへ居なくなってしまったりすれば悲しむ筈だわ。」と思っていました。

その後も女の子とお母さんが口喧嘩をしてご近所さんから白い目を向けられる日々が続きました。

女の子は段々と自分のお母さんのことさえも信じられなくなってきました。
「お母さんは本当に私が要らないんだ。本当に私に死んで欲しいんだ。」

最早そんな女の子の心の支えはネット上で自分と交流をしている人たちだけ。
ネット上には女の子と特別仲の良い人が居ました。
勿論女の子はその人の本当の顔や年齢、ましてや性別さえも知りません。
けれども女の子にとってはそんな事如何でも良い問題でした。ただ、自分の話を聞いて共感してくれるだけで嬉しい、と

女の子は暇さえあれば日々その人とのチャットに明け暮れていました。

そんなある日、女の子に一通のメールが届きました。
誰からだろうか、と女の子は首を傾げつつもメールを開いてみると其処にはたった一文だけ

             さようなら。

とだけ書かれていました。

新手のチェーンメールだろうか、女の子はそう思いながら再びスクロールバーを動かしてみると

▲▲▲


其処には何時もネット上で自分と仲良くしてくれるあの人の名前が。
女の子はただ呆然とした表情でパソコンの画面を見つめていました。

気付けば女の子はマンションの屋上に居ました。
本当に無意識だったのでしょう、女の子は服はパジャマのままの上に靴さえも履いていません。

今まで学校の時以外は外に出なかった所為でか、屋上から見える風景や自分の頬に当る風がとても心地よく感じます。
女の子は柵に手を掛け、其処から見える景色を一通り眺めると――――――

泣きました。声をあげる訳でもしゃくりあげる訳でも無く、ただ涙だけをぽろぽろと流して、泣きました。

そんな自分の気持ちとは裏腹に広々と晴れ渡る空を見上げた途端、女の子は吐き気を感じました。
そして柵に手を掛け身を乗り出し―――――――――――

               
                 


                       ぐしゃっ


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