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ごめんなさい…。 そして、ありがとう…。

16由菜:2010/07/16(金) 20:23:49 HOST:p1090-ipbf509hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp
☆第四話☆

公園のベンチに座り、空を眺める。

暑いのに、ずっと見続けてしまう。

すると、ベンチにもう一人座ってきた。

こんなに暑いのに、暑そうにしない。

むしろ、楽しもうとすらする少女に。

「おねーちゃんっ」

…おねーちゃん?

「どうしてそんなかおしてるの?たのしもうよ!」

「…暑いから。汗は出るし…。」

「おねーちゃんおねーちゃん。どうして、ないてるの?」

―泣いている?私が…?

そっと、頬に触れる。濡れていた。

きっとこれは汗だ。と、自分に言い聞かせる。でも、そのスジをたどっていくと

瞳にたどり着く。

「よぉーっし!わたしが“しあわせのまほー”かけてあげるね!」

そういって、持っていたメルヘンちっくな本から、四葉のクローバーを出す。

「くろーばーをもってるとね、しあわせになれるんだって!おかあさんがいってた!」

「…っ!」

不意に、頭の中によみがえる記憶・

『…魅、癒魅…。四葉のクローバーを持っていると、幸せになれるのよ―…』

「だから、げんきだして!」

あまりにも無垢な笑顔。

自分にも、こんな頃があっただろうか。

人を…信じて。幸せを信じて…。

「…ありがとう」

そういって、クローバーを受け取る。

「でも、いいの?四葉なんてめったに見つからないのに。もったいない」

「いいの!いいの!おかあさんに、ひとをしあわせにしなさいってよくいわれるんだ!」

そういって、笑う顔は、けがれがなく、真っ直ぐで純粋な笑顔。

「わたし、ささき あいか! よろしくね!おねーちゃん」

佐々木 藍歌…か。どこか、『おねーちゃん』という言葉がくすぐったい。

年上の相手だから、おねーちゃんorおにーちゃんだとかはいわれるだろうけど。

「…貝沢 癒魅。よろしく」

―初めてだった。

“あの日”以来、誰かに名前を紹介し、手を握り合ったのは―…。
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