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二次元school

311雪音 ◆mzHXeB1fFY:2010/04/07(水) 23:28:24 HOST:119-231-146-161.eonet.ne.jp
第61話「ベタな出会い」


「うわぁ〜、秀ちゃんたら照れてるや〜ん。か〜わ〜い〜」
「火野、ウザいからその喋り方やめろ」
「秀ちゃん、今度火野の事ウザいとかいったらそのちっこい体をミキサーにかけて烏の餌にするわ」


 会長の顔は未だに熱を冷ます様子がなかった。
副会長に言い返すものの(由羽先輩に脅されているが)本当に照れている様子だ。




「その――……一目惚れした人って、どこで出会った人なんすか?」


 これ以上、こんな会話を続けてもキリがなさそうなので、俺は会話を切り出した。

「そーやそーや秀ちゃん、俺もそれ聞いてへんでぇ」
「ウチも聞いてへんー。ていうか、愛しい火野がそう言ってるんやから話して」


 副会長と由羽先輩がそう便乗すると、会長は話し始めようとした。 
会長は、これも思い出して恥ずかしくなったのか、顔をほんのり赤くさせてぼそぼそと聞こえるか聞こえないかぐらいの音量で話し始めた。
ちなみに、副会長も同様に少し顔を赤らめていた。由羽先輩にいつも口説かれているとはいえ、やはり愛しいなどといわれると恥ずかしいのだろう。





「こ…………この間の火曜日。俺が体育してたら気分悪くなったから体育館裏で休んでたら……その子が俺に声かけてくれて、ハンカチを渡してくれたんだ」



「へぇ、そうなんですかぁ……」
「やめとけ秀ちゃん! 絶対尻軽女やで!」
「微妙にベタな気もする出会いやなぁ」

 
 皆が自分勝手に言う。
由羽先輩は何を根拠に尻軽女だと言うのだろう。この人の中では女は全員敵なのだろうか。

 と、そこで俺は1つの可笑しな点に気付いた。


「ちょっと待ってください。会長は、体育で休んでた時にその子に会ったんすよね? 体育の時間の時に体育館使うクラスは1クラスしかないから、その子は会長のクラスの子って事になるじゃないすか。同じクラスの子なのに知らないんすか?」


 俺が言うと、全員が「お〜」と声をあげる。
 ……いや、普通分かると思うけど……。


「いや、俺は体調が一向によくならなかったから放課後まで体育館裏で休んでた」


「何で!?」
「保健室には行かなかったんですか?」

「保健室にいくまでに体力が底を尽きるからな」


「「弱っ!!」」


 発見、会長は体力がなかった。

「ああ、だからあの日秀ちゃん途中からいいひんかったんか。まぁよくある事やしな」
「秀ちゃんはか弱くて力ないからな」

 会長と近い存在の副会長と、副会長に近い存在の由羽先輩はよく分かっているようだ。
 確かに、会長は見た目も小さいし勉強ばかりしているイメージがあるので妙に納得できるが。



「だから、完全に俺のクラスの体育が終わった時間にその子が来たから、間違いなく違うクラスか違う学年というわけだ」

「なるほど」


 全員が納得した時、副会長が何やら生徒会室の本棚をあさって1枚の紙を手に持ってきた。
少しそれを後ろから覗いてみると、何かの資料のようだった。


「それ何ですか?」
「ああ、秀ちゃんが一目惚れした日に体育館を使用したクラスの表やで」
「へー……」


 そんな便利な物があるものなんだな。
俺と同じ事を考えているのか、副会長に質問に答えてもらった桜子は、少し開いた唇の間から感嘆の声を漏らした。

 副会長はそれを自慢気に持つと、さっそく読みあげた。


「えっとなー、火曜日に朝から放課後まで体育館を使用したクラスは…………
体育教科での使用、1年2組、2年4組、3年1組、3年4組。 その他での使用、1年3組、2年2組。」


 言い終えると、副会長は資料に落としていた目線を上げ、ニヤッと不敵な笑みを口元に浮かべて顔を歪ませた。






「さて、こん中から一目惚れの相手探すでぇ?」


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