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.。.:*・゚☆虹空☆.。.:*・゚

61:2009/06/28(日) 09:19:36 HOST:116-65-141-81.rev.home.ne.jp
【桜水晶】







また、この季節になったね。

桜が舞う綺麗な空が見えるよ。







少しだけ自習時間を抜け出して、軽い足取りで桜並木へ向かう。
去年、大地が昼寝していたところにたまたまあった並木で、2人でよくサボり場所や昼寝、休憩場所として使っていた。
僕はそこまで真面目でもなければ、不真面目でもない。
サボるときは気分でサボるし、やるときは気分でやる。
大地には、”気分屋”だと言われた。


でも、その並木を見れば、誰だってもう一度行きたくなるに決まってる。
毎年この時期になると、桜の花びらが透き通った水色の空間を舞い、なんとも言えない幻想的な景色をかもし出す。
僕はそれが好きで好きで仕方がなくて、春になるとサボる回数が増えるなと担当教師に言われたことがある。


(綺麗で好きなんだから…抜け出したくもなってくるよ。)


そんなことを心の中でそっと呟いてから、お気に入りの場所へダッシュ。
そこは学園から数少ない外を見ることができて、それと一緒に僕の好きな桜が外へ向かって咲き誇っているから。
枝垂桜…に似ている品種らしいんだけどね。


「はぁ…はぁ…」

「…空。…遅かったな」


外の見える場所に横たわって本を読んでいた大地。
授業を抜け出してきた僕とは違い、彼は最初から出ていないから。
だから疲れてなくて、優雅にのんびりとしていた。


「自習だったから、抜けてこれた…」

「…お疲れ」


ん。と手元に置いてあった缶ジュースを僕に差し出して、自分も飲む。
毎年恒例の、僕らだけのお花見。
大地も意外と桜が好きみたいで、花びらでしおりを作っているのをこの時期限定で見かける。


「今日の桜はどんな感じ?」

「…好調」


きっとアリスで桜と共鳴したんだと思う。
大地がそう言えば、桜は喜んでいるようにさわさわと揺れる。
ときどき花びらを僕たちの前に舞わせてくれて、とても優しい木たち。


「…今年の桜はいつも以上に綺麗だから、今年は…」


と独り言のように呟いて、大地はポケットから小さなガラスの塊を出した。
ただ丸いもので、水晶玉のような…そんな感じ。


「それは?」

「…滴に作ってもらった、特殊なガラス。…見ていろ」


そして落ちていた花びらをすくい、大地はそのガラスに触れる。
すると花びらは、ガラスに吸い込まれるように中に入っていった。
驚いている僕の隣で、大地はあと4枚の花びらを丁寧にガラスに入れて、その中で桜の花を作っていった。


「…桜水晶のできあがり」


片手で持てるそれを、大地は少し微笑みながら眺めていた。
穏やかな表情を見ることが増えた今、それは今の僕たちのようで。






―――今年もまた、いい春が来るよ。


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