したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

.。.:*・゚☆虹空☆.。.:*・゚

431 ◆Gv599Z9CwU:2010/10/24(日) 14:59:52 HOST:61-24-255-20.rev.home.ne.jp

【紅葉舞い散るころに】





 ざあっと強い風が吹き抜けていく。同時に木からはがれた無数の紅葉が、秋空の中を踊りながら舞い落ちていった。
 ――その木の上に座りこむ、ひとりの青年。
 長くたなびく銀髪、双方の瞳に宿る青藍色はどこか懐かしみを帯びて穏やかに光り、緩められた着物は舞い散る紅葉の色に淡く染まっていた。そしてほかの人と違う決定的な証拠である、頭からはえた狐の耳。それはやわらかそうで、そっと吹きつける風に揺れていた。
 青年が、紅葉を一枚手に取る。
 真っ白な磁器のように見える手と、燃えるように紅い紅葉が対となり、美しい造形をつくりあげていた。ふと手のひらに葉を乗せた青年は、ふうっとかすかに息を吹きかける。そうしてその葉は逆らうことなく地面へと落ちていった。
 その様子を見届けてから、青年はとんっと軽やかに地面へと降りたつ。相当高い木から降りたというのに、涼しい顔で怪我ひとつなく、かといって揺らぐわけでもなく。彼が人間離れしているということが安易に理解できる。
「ああ、ここは変わらないんだな……」
 彼は小さくつぶやいて、さくさくと音を鳴らしながら歩き始める。目的はただひとつなのだと言わんばかりにはっきりとした歩みで。
「巫女様は……もう、代替わりしたのか……?」
 ひっそりとたたずむ社を彼は複雑な表情で見つめる。先ほどまで浮かんでいた懐かしみの色は影を潜め、代わりに浮かびあがるのはなんとも言えぬ色。そして瞳を鋭くすがめて社の前を箒で掃いている女性を見つめ、今度はゆっくりとそちらへ歩き始めた。
 ――ふたつの視線が絡みあうのは、数秒後。



____________
「我は社を見守る者」
――彼は紅葉が舞い散ると同時に、現れる。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板