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415 ◆Gv599Z9CwU:2010/08/29(日) 15:23:36 HOST:61-26-251-166.rev.home.ne.jp


◇◇


 市場の時間とあって、街はごった返して賑やかだった。時折すれ違いざまに人にぶつかりそうになりながら、ソフィーは街を歩く。
「安いよ安いよー!」
 辺りに響く濁声を聞きつつ、なにかいいものがないかと見回しながら歩いていく。ラウルの好む食材がわからないから、ソフィーはいつも迷うのだ。
「基本、なんでも食べてくれるからいいんだけど……」
 出せば出したものを文句を言わずに食べてくれる。けれど好き嫌いがないというのは自分に興味がないというのと等しい。興味がないから、好き嫌いもない。
 それはなんて、寂しい。
「……あ」
 ふと目に入った果物。硬い殻で覆われていて中身がどうなのかはわからない。
「お嬢さん、それが気になるかい?」
「あ、はい。見たことのないものだったので……」
「滅多に取れないものなんだよ。今ここに並んでいるのも一種の奇跡さね」
「へえ……」
 やさしげな印象のおばあさんに説明され、ソフィーはわずかに目を輝かせる。
「これってどう調理したらおいしくいただけますか?」
「どんな料理にも合うということらしい。炒めても茹でても、そのままでも」
 そんな万能な食材がこの世に存在するものなのか。
 得体の知れない果物だということも忘れ、ソフィーはそれをふたつ手に取り、笑顔で金を払ったのだった。


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