レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
■■ニュース速報!!■■
-
「ニセモノ天国」卒業遠く
中国は「コピー王国」「ニセモノ天国」と言われる。家電、衣服、食品、音楽、映画……。この国には、もうかるとなれば、何でもまねして作る人が山ほどいる。4月には米政府がついに業を煮やし、中国の知的財産権保護が不十分だとして世界貿易機関(WTO)に提訴した。
「世界の名画の肉筆油絵を大量生産する村」「マクドナルドのハンバーガーのように油絵を売っている」――。南部、広東省にそんな村があると聞いた。やはりニセモノ作りの基地なのだろうか。先日、見に行ってきた。
経済特区として知られる深セン市。「中国一の油絵村」と呼ばれる大芬村は北の郊外にあった。面積わずか4平方キロ・メートル。そこに画廊や工房など700軒が密集し、表通りはしゃれた画廊街となっていた。
資料によると、大芬には画工3000人が住み着き、日夜、名画の写真を見ながらせっせと複製を描いている。1日50枚描く“達人”もいて、年間生産量は数百万枚。欧米など世界中に輸出しているという。
「ゴッホはどうだい。安くしとくよ。『ひまわり』なら20枚以上ある」。画廊に入ったら、店員が声をかけてきた。少々雑だが、確かにゴッホの絵にそっくりだ。「1枚60元(900円)でいい」。油絵が、こんな値段で売られている。
大芬は20年前は人口300人の寒村だった。1989年に香港の画商が家賃の安さと輸出の便利さに着目し、画工十数人を使って生産を始めた。安価な油絵は評判を呼び、工房が次々に増えていった。
ある画廊主によると、画工の多くは農村から来た出稼ぎの人々。大芬に来て、工房主催の3か月の訓練コースを受けて初めて絵筆の使い方を知った人もけっこういるという。
最近まで油絵を見たこともなかった人々がゴッホやモネを描いている。
描き方も独特。大口注文が来れば、十数人で流れ作業をする。例えば、1人は空、1人は山、1人は樹木だけをひたすら描く。こうして1日に何百枚も完成させていく。
工房というより工場。言うならば、「人間コピー機」が並んだ油絵工場だろう。
大芬を歩いてみたら、画廊主らの著作権に対する意識は、やはり低かった。著作権の保護期間は作者の死後50年。期間が切れたゴッホらの作品を模写して売るのはかまわない。しかし、死後50年未満のピカソや、現代作家の作品の模写もたくさんあった。これらは、明らかに著作権法違反だろう。
実は、大芬は数年前、村おこしの成功例として中国政府から「文化発展モデル基地」に指定されたそうだ。当局は著作権について講習会を開いたりしているが、まだまだ浸透していないようだ。
ある画廊に米国の現代画家の作品の模写が何枚もあった。女主人に聞くと、「作者の名前なんか知らない。バイヤーが絵の写真を持ってきたから描いただけ」と笑っていた。
中国当局は知財保護を強調するようになったが、全土に目が届くわけでもない。そもそも当局お墨付きの「文化発展モデル基地」がこの調子なのだ。中国が「ニセモノ天国」を卒業する日は来るだろうか。画工らの妙に明るい表情を見ていたら、ため息が出た。
(中国総局 河田卓司)
(2007年6月12日 読売新聞)
http://job.yomiuri.co.jp/library/column/li_co_07061201.cfm
|
|
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板