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規制中の怖い話スレ

914毒男 ◆B.DOLL/gBI:2018/12/29(土) 23:22:01
俺はもう一度新聞を差し出す。
おばさんは受け取らない。
というよりおばさんは動かない。
足でも悪いのかとも思ったが手を伸ばせば届く位置まで新聞を差し出していると言うのに。
ラチがあかないと思った俺は
「新聞ここに置いときますね」
と言っておばさんの手の届くところに新聞を置いてバイクに戻ろうとした。
その時

「バターン!」

と大きな音がその家の2階から聞こえた。
下で話してるもんだから上の住んでる奴でも起こしてしまったかと思って、おばさんの顔を見返してみるとおばさんが薄目を開けて笑っている。
そして雨音に混じって2階を移動する足音が聞こえてくる。
俺は息が詰まったような感覚に襲われて、その場から動けなかった。

不意に足音がやんで「ザーッ…」という雨音だけになった、次の瞬間

「ダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!!」

と、子供が階段を駆け下りるような、そんなでかい音を立てて何かが1階に降りてきた(と思う。音だけだから)。
その音を聴いた瞬間、俺は後ろも振り向かず逃げた。
幸い何かが追ってくるようなことはなかった。

そんなことがあってももちろん夕刊は配らなきゃいけない。
さえない気持ちのまま学校から帰って店に行くと店長が
「あそこの家は配らなくていい」
とのこと。
なぜ?店長に理由を聞くと、その家に電話(契約の挨拶と確認の電話。契約した日は時間が遅かったらしく次の日にしたそうだ)をしたら
「この番号は現在…」
とお決まりのアナウンスが流れて、契約した拡張員に問いただしたところ、なんとノルマを達成するために偽の契約書を書いたとのこと。

その日の夕刊は雨もやんでいて、配らなくていいと言われた嬉しさもあってその家を見に行ってみた。明るかったし。
したらもう廃墟だったよ。
誰も住んでないって一発でわかった。
新聞はそのままだった。
好奇心から家の中に入ってみたが、長い間雨風に晒されたせいか家の中も土やら、雨の跡やらひどかった。
2階も見てみようと階段をあがろうとしたとき足元を見たら、新しい足跡が案の定あったので2階に行くのはやめといた。

もしかしたら霊でもなんでもない体験かもしれないが、自分としては階段を下りるときの音が聞こえたとき死ぬかと思ったので。




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