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規制中の怖い話スレ

336cat ◆TUKUMO3rAI:2018/02/15(木) 00:27:17
山道を下りていると、脇の獣道からAが出てきた。「Aちゃん!」私はAに駆け寄った。
「Aちゃん!無事で良かった。大丈夫なの?私は引っ越すことになったよ!どうなってるのか全然わかんないけど…」
矢継ぎ早にAに話しかけた私は、Aの様子がおかしいことに気付いた。ずっと、自分の足元をみたままこちらを見ない。
「Aちゃん、どうしたの?」私がAの肩に手を置こうとしたとき、「……ない……」Aがつぶやいた。
「…え?」聞き返すと、Aはすっと顔をあげ、ぐいっと顔を近づけると「○○(私)ちゃんは××××(聞き取れなかった)だから、もうとれない。」とささやいた。
いつも周りが見えているのかどうかわからないくらい細いAの目がわずかに開いていた。
そこが黒く塗りつぶされているように見えたのは、沈みかけた太陽の光の加減のせいだったのか。にやりと笑ったAは、私の知っているAとは違う何かのようだった。
あっけにとられる私の横をAは通り過ぎ、山道を駆け上って行った。Aと会ったのは、それが最後だった。翌日、私と母は祖父母の家に引っ越した。
以来、あの集落には近づいていない。家の中でもあの件はタブーになっている。楽しい家族の思い出話はいつもあの集落以外の話だ。
祖父母の家は割と大きな町の中にあったし、田舎以外の暮らしに慣れるのに一生懸命で、いつしかあの集落の事は記憶から薄れていった。
ふと思い出したのは、押し入れの中にあった小学校のノートの中からAからもらったシールが出てきたから。考えてみるとおかしなことはたくさんあった。
山の中の小さな家にいつも一人でいたA、いつのまにかたくさんあったおもちゃ、そういえばAの両親は見たことも聞いたもなかった。
どんどん身綺麗になっていたA、なぜAからもらったらいけなかったのか、あの大人たちの態度はどういうことだったのか、Bはどうなったのか。
考えても答えの出ないときはいつも、引っ越すときに言っていた父の言葉を思い出す。「世の中には、どうしようもないことがたくさんある」と。
以上です。




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