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規制中の怖い話スレ

251名無しさん:2018/01/03(水) 01:24:12
「もしもし?」

足もとが急激に冷えてきた。足首から下が冷水に浸かっているような感覚。
明かりは灯っているし、外の通りを通る車の音も聞こえるのに、怖い─
ふと、壁の差し込み口に目がいった。ジャックには何も繋がっていない。
電話線は台の上から床に向かってダラリと垂れ下がっていた。
電話を切ろうとしたその時、受話器の向こうから声がした。

『うしろ』

ハッキリとした女の声だった。それが姉の声だったのかは分からない。
しかし、その声を聞いた瞬間、私は反射的に後ろを振り向こうとした─

ザワ…

全身の皮膚が粟だった。背後に何ものかの気配。
受話器を握る手に力が入る。全身が硬直して、息ができない。
いま振り向いてはいけない。本能がそう告げているような気がした。

…クスクス…クス…
どこからか、小さな笑い声が聞こえてくる。
それが電話からなのか、それとも部屋のなかから聞こえるのか、もう判別がつかない。
足元の冷気が水面のように波打ちはじめたような気がした…

「お姉…ちゃん?」

ようやく、その言葉だけを絞り出した。
途端に笑い声が止んだ。
一瞬の空白の後、

『アハハハハハハハハハハハハ…』

けたたましい笑い声。
足元の冷気が、ぬるり、といった感じでうごめき、最後に、粘り気のあるゼリーのような感触を残して足首から離れた。
背後の気配がスーっと薄れていく…

『ハハハハハハハハハ─…
不意に声が途切れた。後は発信音もなく、無音。
その一瞬前、笑い声の彼方に、女の声がかすかに聞こえた。
消え入りそうに小さな声で、

『…バカ…』

徐々に全身の力が抜け、私は床にへたり込んだ。
しばらくは、そのままの姿勢で何も考えられなかった。




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