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あの作品のキャラがルイズに召喚されましたin避難所 4スレ目

645ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2018/09/30(日) 23:18:09 ID:q4fByaLE
「走れリィリア!ここから急いで逃げるんだッ!」
「え……え?でも、」
「俺に構うな!さっさと逃げろォッ!」
「……ッ!」
 兄の突然の行動に体が硬直していたリィリアは、彼の叫びを聞いて飛び跳ねるかのように走り出す。
 大男とその足を必死に掴む兄の横を通り過ぎ、暗闇広がる路地をただただ黙って疾走する。
「あっ!お、おいきみ――って、うぉ!?」
 後ろからダグラスの制止する声が聞こえたが、それは途中で小さな叫び声へと変わる。
 五メイルほど走ったところで足を止めて振り返ると、トーマスは器用にも足を出して彼を転ばせたのだ。
 哀れその足に引っかかってしまったダグラスは道の端に置いてあったゴミ箱に後頭部ぶつけたのか、頭を押さえてうずくまっている。
 ここまでした以上、何をされるか分からぬ兄の身を案じてか、リィリアは「お兄ちゃん!」と声を上げてしまう。
 それに気づいてか、顔だけを彼女の方へ向けたトーマスは必至そうな表情で叫ぶ。

「バカッ!止まるんじゃない!早く、早く遠くへ――……っあ!」
「この、野郎ッ!」
 トーマスが目を離したのをチャンスと見たのか、マイクはものすごい勢いで拳を振り上げる。
 振り上げた直後の罵声に気づき、彼が視線を戻したと同時にそれが振り下ろされ、リィリアは再び走り出した。
 直後、鈍く重い音と子供の悲鳴が路地裏に響き渡ったのを聞きながら、リィリアは振り返る事をせずに走り続ける。
 いや、振り返る事ができなかった。というべきであろうか、背後で起きている事態を直視する勇気は、彼女に無かったのだ。
 涙をこぼしながらただひたすらに路地裏を走る彼女の耳に聞こえてくるは、何かを殴りつける鈍い音と、マイクの怒声。

「このガキめ、大人を舐めるな!」
 まるでこれまでの自分たちの行動が絶対的な悪なのだと思わせるかのような、威圧的な言葉。
 それが深く、脳内に突き刺さったままの状態でリィリアは路地裏を駆け抜け、夜の王都へとその姿を消したのである。
 


「最初に言ったけど、もう一度言うわ。自業自得よ」
 リィリアから長い話を聞き終えた後、霊夢は情け容赦ない一言を彼女へと叩きつけた。
 それを面と向かって言われたリィリアは何か言い返そうとしたものの、霊夢の表情を見て黙ってしまう。
 ムッと怒りの表情とそのジト目を見てしまえば、彼女ほどの小さな子供ならば口にすべき言葉を失ってしまうだろう。
 威圧感――とでも言うべきなのであろうか、気弱な人間ならば間違いなく沈黙を保ち続けるに違いない。
 そんな霊夢を恐ろし気に見つめていたリィリアの耳に、今度は背後にいる別の少女が声を上げた。
「まぁ霊夢の言う通りよね。少なくともアンタとアンタのお兄さんは被害者だけど、被害者ヅラして良い身分じゃないもの」
 彼女の言葉にリィリアは背後を振り返り、ベンチに腰を下ろして自分を見下ろしている桃色髪の少女――ルイズを見やる。


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