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避難所用SS投下スレ11冊目

779ルイズと無重力巫女さん ◆1.UP7LZMOo:2017/05/31(水) 21:13:11 ID:WZ82hnBc
「まぁ何といえば良いか。『飛び降りる』ってワケではないのよ。ただ…―――」
「ただ?」
「―――――『跳ぶ』だけよ」
 首を傾げる貴族に一言述べた後に、彼女は右足で勢いよく屋上の縁を蹴り飛ばした。
 彼女が足に穿いている立派なロングブーツが勢いよく縁を蹴りあげ、纏わせていた霊力が爆発的なキック力を生む。
 その二つの動作を同時にこなす事によって、彼女の体は驚異的なジャンプ力によって屋上から飛び上がったのである。
 彼女の傍にいた若い下級貴族は突然の衝撃と共に飛び上がったかのように見えるハクレイを見て、思わず腰を抜かしてしまいそうになった。
 他の貴族たちもこれには腰を上げると仲間に続くようにして驚き、屋上からジャンプしていった彼女の後姿を呆然と見つめている。
「な、な、な…なななんだアレ?なぁ、おい…」
「お…俺が知るかよ!あんなの系統魔法でも見たことが無いぞ…!」
 後ろの方で様子を見ていた二人の貴族がそんなやり取りをしている中、その場にいた何人かがハクレイの後姿を追いかける。
 ここから約二メイル程ジャンプしていった彼女は、微かな弧を描いて向こう側の居酒屋の方へと落ちていく。
 誰かがハクレイを指さしながら「あのままじゃあ看板にぶつかるぞ!」と叫び、それにつられてハッとした表情を浮かべてしまう。
 しかし幸運にも、彼の予想はものの見事に外れる事となった。

 屋上からジャンプしたハクレイは青白く光るブーツを、人で満ち溢れた通りに向けて飛び越えていく。
 地上にいる人々は気づいていないのか、何も知らずに通りを行き交う人々の姿というものは中々にシュールな光景だ。
  そして、思っていた以上に即行だった行動が上手くいった事に内心驚きつつも、着地の準備を整えようとしていた。
 次に目指すはあの共同住宅と向かい合っていた居酒屋―――の入口の上に掲げられた看板。
 入り口からでも見上げられるように少し地上に向けて傾けられているソレ目がけて、彼女は落ちていく。
 角度、霊力、スピード…共に良好。…だが何より一番大切なのは、勢いよく顔から激突しないよう気を付けることだ。
 しかし、それは今の彼女にとっては単なる杞憂にしかならなかった。

「よ…ッ!…っと!わわ…ッ」
 丁度看板と建物の間に出来たスペースへ綺麗に降り立った彼女は、着地と同時に驚いた声を上げる。
 原因は今彼女が着地したばしょ、傾けて設置されている看板がほんの少し揺れたからであった。
 流石に人一人分の体重までは支えきれないのか、看板と建物を繋ぐロープがギシギシとイヤな音を立てる。
 ついでその音が入り口付近で開店を待つ客たちにも聞こえたのか、下の方からざわめきも聞こえてきた。
「流石に長居はできないか…っと!」
 このままだと看板を落としかねないと判断したハクレイは独り言を呟き、急ぎこの上から離れる事を決める。
 しかし、その前に確認する事があった彼女は何かを探るように周囲を見回すと、追いかけている少女の姿をすぐに見つけた。
 
 それは前方、それまでの通りと比べてかなり人通りが少ないそこを必死で走る彼女の後姿。
 どうやら杖はしまっているらしく、何か小さなモノを大事にそうに抱きかかえて走っているのが見える。
 ――――…追いついた!彼女の魔法攻撃で大分距離を離されていた彼女は、ようやくここまで近づけることが出来た。
 まだ少女の方は気が付いておらず、もう大丈夫だろうと思ってやや走る速度も心なしか落ちているように見える。
 距離は大体にして約十一、二メイルといったところだろうか、ここから先ほどのように跳んだ後にダッシュすれば良い。
 幸い人の通りはまばらであり、着地地点が良ければ誰も怪我させずに跳ぶことだって可能だ。


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