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避難所用SS投下スレ11冊目
56
:
ウルトラ5番目の使い魔 21話 (1/11)
◆213pT8BiCc
:2014/06/25(水) 02:28:16 ID:kt/u.sO.
第21話
無能王、英雄王
破滅魔虫 カイザードビシ 登場!
空を闇が包んでいる。それは人類滅亡の前触れなのであろうか……
才人とルイズが教皇によって消され、ロマリアで聖戦の布告がなされた悪夢の日からいくばくか。物語は舞台を再び現代の
ハルケギニアへと戻して進む。
ロマリアを起点として、ハルケギニア全土へと広がった昆虫の雲は、もうひとつの陰謀の中心であるガリア王国へも当然のように到達していた。
分厚い黒雲が空を覆いつくし、時間は正午だというのに深夜のように暗い。大国ガリアの首都リュティスは、その繁栄を象徴して
数万の市民たちによって喧騒の絶えない音と楽の都であるはずなのに、今のリュティスにあるのは無と恐であった。
人々は息を潜めて家に篭り、街の店々は固く戸を閉めて開かない。
最初、リュティスの人々は事態を深刻には捉えなかった。突如、空が闇に包まれても、珍しいこともあるものだとくらいしか思わなかった。
しかし、黒雲を調査に向かった竜騎士が子供の背丈ほどもある巨大な昆虫に襲われて街中に墜落し、次いで黒雲から数十匹の
昆虫が街に舞い降りてきて人々を襲うと、街の人間たちも太陽の光をさえぎる雲がおぞましい虫の大群だと知って、戦慄した。
だがそれでも、リュティスの人たちは、自分が大国ガリアの首都に住んでいるのだからという自信からなおも楽観していたが、
虫の退治に向かった空軍の魔法騎士がその度に全滅し、朝の来ない日が二日、三日と続くごとに、しだいに不安に負けるようになり、
今ではすっかり、その恐怖に縮こまってしまっていた。
唯一、ヴェルサルテイル宮殿の前でだけは、事態の解決を要求する市民たちが押しかけて騒動となっているが、王宮警護隊に
阻まれて、そこで押しとどめられている。まだ流血騒ぎになっていないのが奇跡的なありさまだった。
また、そのヴェルサルテイル宮殿にしても常の華やかさは失われている。使用人たちはもとより、貴族たちは屋敷にこもって
出てこないか、大臣たちと実にもならない会議に時間を費やすばかりである。すでに、ガリアを捨てて逃げ出す貴族も少なからず
現れていた。逃げ場など、どこにもないのであるが……
今や、リュティスにあって常と変わらないのは、よほど豪胆なものか、よほど阿呆なもののどちらかに限られるようになっていた。
いや……ただひとり、これらの光景を眺めながら愉悦の表情を浮かべている人間が一人いた。誰あろう、ガリアの王である。
「フフ、子供の頃から眺めてきたリュティスの街よ。強欲と虚飾の支配するこの街も、意外にしおらしい顔があったものだなあ」
ジョゼフは、グラン・トロワのテラスから、街と宮殿を見下ろしながらワイングラスを傾けていた。
彼が落ち着いている理由はふたつある。ひとつはむろん、この事態の当事者のひとりがほかならぬジョゼフだからである。
そしてもうひとつは、彼にとってリュティスも宮殿も、さらにはガリアやハルケギニアそのものすらどうでもいい存在だからだ。
昔は、ジョゼフもガリアやこのリュティスの街が好きだった頃もあった。しかし、今は違う。
「子供の頃、宮殿を抜け出してふたりで城下へ遊びに出かけたのを思い出すなあシャルルよ。思えば、あのことは俺の人生で
一番満ち足りていた頃だった。どんなにバカをやっても説教と形ばかりの懺悔で許された。俺たち兄弟ふたりで、どんなことでも
できると思っていたなあ」
懐かしそうにジョゼフは独語していた。
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