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没ネタ投下スレ

55 ◆1qmjaShGfE:2007/12/25(火) 05:19:19 ID:JaJqAl.s0
「マリアさん、私には彼の行動も思考も全く理解出来ません。それはあなたもそうでしょう。そういう人間と行動を共にするのはこのような場所では避けるべきと考えますが」
マリアも同じ事を考えていたのか、吉良の判断には同意するが、吉良程思い切れない。
「確かにちょっと、いえ、ものすごく変な方ですけど、悪い人には見えませんし……」
吉良はずいとマリアに顔を近づける。
「今は普通の時とは違います。きちっと信頼出来る相手以外と一緒に居るのは良い事とは思えません。あの怪我をしていた男も素性も知れないと言っていたでしょう。ならば私達は早々にこの場を去るべきではないのでしょうか?」
「ですが、あの美形さんもあのままには……」
「私達に出来る治療は施しました。もう充分でしょう、彼が殺し合いの結果あの怪我を負ったのではないと誰が言い切れるというのです?」
吉良の言葉にマリアは黙り込んでしまう。
吉良はいつになく強い口調を続けながら、渋るマリアの手を引き部屋を出る。
「これ以上厄介な事になる前にこの場を離れるべきです。私は……」
そこまで言って吉良は自身の口調の強さに初めて気付いた。
『何を私はムキになっているのだ? 確かに銀時という男と共に行動するのは危険で、かつ不快だが、こんなに強い口調を出しては彼女が怯えるかもしれない。私はもっと大人しい人間であるし、そうあるよう行動してきたはず……』
言い知れぬ不安感、それが吉良の心から離れないのだ。
それに突き動かされつい大きい声を出してしまったが、それだけに支配されてはいけない。それでは冷静な判断が下せなくなる。
しかし、この言い知れぬ不安感という心の中の警鐘も無視してはいけない気がする。
そんな吉良の葛藤の最中、先に決断を下したのはマリアの方であった。
マリアは歩みを止め、きっぱりと言った。
「やはりこのような場所に意識不明の人を放っておく訳にはいきません。それにここを出るのでしたらやはり銀時さんにも一言言っておくべきでしょう」
心の中で舌打ちをする吉良。
彼女が迷いを断ち切る前に押し切らねば、この場を穏便に離れる事は出来なかったのだ。
しかし、一度こうして発言してしまった以上、彼女も面子がある。そうそうは前言を翻せないだろう。
そして、同時にそれは手遅れを意味していた。
気配も何も感じられない真後ろからの声。

「女と……男か。ふん、ひ弱そうな男だ。俺の相手に相応しいとはとても思えんな」

威圧するような野太いその声に、二人は硬直する。
後ろの何者かが誰なのかはわからない。
だが、二人共が同時に察する。
後ろのモノは、圧倒的な何かであり、その威圧だけで二人は消し飛んでしまうであろう事を。
真正面に居るわけでもないのに、その威圧感だけで倒れそうになる。
だが、それを確認しないでいるのはもっと恐ろしい。
恐る恐る、二人は後ろを振り向くと、そこには2mを越す巨漢が通路狭しと立ち塞がっていた。

不意にその威圧感が薄れる。
巨漢は、彼にしては本当に珍しい事だが、目を驚きに大きく見開いたのだ。
「ユリアか? お前が何故ここに?」
巨漢、ラオウはマリアを見てそんな事を言った。
威圧感が薄れたせいか、何とか声が出せるようになったマリアは、ラオウの言葉が自分を指している事に気付いた。
「ユリア? ……えっと、私はマリアと申しますが……」
「何?」


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