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一時投下スレ

478強化外骨格「名無し」:2008/03/26(水) 01:26:25 ID:wxOnfyXM0
乙です
TQN…逝ってしまったか…まぁあの状態じゃ仕方ないよな
パピも核鉄を心臓代わりにしてるの気づいてなかったから
サンライトハート返さない限りはそのうち長時間分離の死亡だったろうし
パピの露呈が切ないなぁ…こなたっていう存在がいかに影響を与えていっていたのか
川田への復讐心もよく分かる…どっちのカップルも好きだっただけに
この対決が実現するといたたまれない…見てみたいと思う気もするけど
本当にGJでした

指摘というか疑問を一つだけ
>>473
>黒い核鉄を握り締め〜
とあるんですが
原作10巻でヴィクターの黒い核鉄が白い核鉄によって中和された物が
白黒混じった状態になってたので黒い核鉄という表現は不適当かと
尤も、カズキの核鉄の中和後の外観は原作では出てないんですけどね
あくまでヴィクターの核鉄の状態から推測されることということで

479 ◆14m5Do64HQ:2008/03/26(水) 09:22:21 ID:OTIYJjII0
感想ありがとうございます。

>>478
しまった。少し失念してました。ご指摘有難うございます。
それでは色の事には触れない方向で修正する事にします。

それと本投下は今日の夜に行おうかと思ってます。
サーバー負荷がなければですが……。

480 ◆14m5Do64HQ:2008/03/26(水) 21:12:57 ID:OTIYJjII0
今日もアクセス負荷みたいなので本投下は諦めます。

481 ◆14m5Do64HQ:2008/03/28(金) 19:03:13 ID:WliWzDkQ0
少し思う事があったので上の自分の作品の覚悟、パピヨン、アカギの時間を深夜に変更します。
誠に申し訳ないです。

482強化外骨格「名無し」:2008/03/28(金) 20:42:20 ID:h1ZQSZpE0
乙です。TOQN、悲しい最期だなあ・・・・・

483Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:11:13 ID:aRAlvb.Y0
(空が……きれい……)

黒はこんなにも深さがあるのだという事を、かがみは今日まで知らなかった。
コーヒーのようなどこまでも淀んだ黒……、そこではミルク程度の白の脆い事……。
では、この夜空を染めている黒は、何の黒だろうか?
遠くにひとすじの流れ星が落ちて行ったのが、霞んだ瞳にもしっかりと刻み込まれた。

ヒナギクと村雨に加え、スキンヘッドのゴツイ男が自分を見下ろしている。

血は止まった。
なのにまだ何か背中から流れているような感覚がある。
とても生ぬるい物が背中から広がって消えていくような……。
これは何なのだろうか?

「かがみ……ねぇかがみ!」

自分の手をつかむヒナギクのそれを、熱いと感じる。
本来なら火傷を起こして、無礼を考える暇も無く振り払うかもしれない。
ヒナギクの体温は鉄板より熱いのだろうか?
だがそれと同時に、決して苦痛では無く、むしろそれで火傷をしたいとすら感じる、心に安堵を与える熱さ……。

────あぁ、そうか……

かがみはある事に気付いた。

────いま私から……、流れてるのは…………

自分の身体はもはや、温もりをとどめておく事すらもできなくなったのだと。

「…………ヒ…ナ……」
「かがみ、ダメ! しゃべらないで!」

ヒナギクが肩を痛みを『感じそうなくらい』に強くつかんでいる。
だが実際は、そんな感覚も無い。
それだけでも十分に理解できる……、

────もう私は助からない。

「おねが…い、き、いて……」

484Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:11:41 ID:aRAlvb.Y0
何と言われても、これだけは伝えなければならない。
もうほとんど自由が聞かなくなった唇、舌を動かして言葉をつなげる。
それが希望へも繋がる事は確かなのだ。

「──────」
「え……?」

ヒナギクの耳へ伝えられるのは、神社で行った祓いの作法。

「────────……」
「ちょ…っと待って! 何なのよソレ……一体なんの関係があるの!? 分からないわよ!」

この状況では何の役にも立ちそうに無い、むしろ不謹慎な話かもしれない。

「……………………」
「ねぇ……かがみ……! よく聞こえないよ……ねぇ、どうして……ねぇ……」

そして、最後につむいだ言葉。

────こなたの事、お願いね

その言葉がヒナギクに届いたかどうか、もう確認するスベは無い。
血液と同時に身体の中の体温は全て抜け落ちてしまった。
ただ……。

「かが……み……」

冷たくなった自分の頬に、点々と降り注ぐ温もりを感じていた。


そして、また一つ……。
本日四つ目の流れ星が落ちた。

【柊かがみ@らき☆すた 死亡確認】
【残り17人】

485Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:11:57 ID:aRAlvb.Y0
☆    ☆    ☆

…………。
ああ、オレさこの前。
神様に、『お前は人間を導くのに向いてない』って言われてクビになったんだよね。
失礼しちゃうよなー、オレほど綺麗事無しで人に尽くせる天使なんてそういないぜ?
まぁ、これからアルバイトだから、そっちを一生懸命ガンバるけどさ。

☆    ☆    ☆

透き通った空から、白い太陽光が絶えず地上へと降り注ぐ。
しかし本来なら様々な生命を注ぐこの光も、この場所ではひどく場違いでしか無い。
この太陽が、自分の知っている太陽と同じかどうかなどかがみには分からないが、少なくともここが太陽光によって育まれる生命が存在しない場所と言うのは分かった。

無限に続く白い空間にポツリと存在するバス停にて、かがみはベンチに腰掛け目の前の地平線を眺めている。
足に肘を置いて頬杖をついていると、視界の中に見慣れた青いアンテナが進入した。
やがてソレは、かがみに対して手を挙げながら────

「ぐーぐるー」
「何だそりゃ」
「『ヤフー』に続く新作法! 私が(たった今)考えました」

いつも、どんな時でも自分を翻弄してくれた憎らしいあんちくしょう…………、泉こなたがそこに居た。
彼女はトテトテと足音をたてながら、かがみの隣に座る。

「あんた……、いつの間にここにいたのよ」
「いやぁー私にもよく。何かピカッてなって気が付いたらここに来てたんだよ」
「またいい加減な……。自分が死んだ瞬間くらい理解しとけっつーの」
「一生に一回の事だったのにね、かなり失敗かも。でさぁかがみん、私の事心配してくれた?」
「ああ、すげえ心配だったよ。アンタが人様の足引っ張ってないかね」

少し前までは待ち望んで仕方が無かった再会、それがこんな所では感慨も何もあったものでは無い。
だから喜びを分かち合う抱擁は無い。
その代わり、お互いの死を嘆き悲しむ事も無い。

「でさ、そのパピヨンってのが面白い奴なんだよ。顔には蝶マスクをつけてて服装はあーなっててこーなってて……
まぁ最初は怖いヤツだと思ったんだけどね」
「滅茶苦茶怖いだろ、そんな格好……まぁあんたとなら趣味があっても不思議じゃないけど」
「いやいやかがみ殿、私とパピヨンはそれ以上で繋がっているのですよ。あの世とこの世で隔てられてもそれは変わり無いのデぃっス。
私……無事に帰ったらパピヨンが主人公で私がメインヒロインのギャルゲーをやるんだ……」
「お前って奴は〜、死んだの大して応えて無いのか?」
「アハ♪」
「こっちは散々苦労したっつーに……」

486Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:12:15 ID:aRAlvb.Y0
死んだ後に死亡フラグを立ててくれるこなたに、かがみは呆れはてるばかり。
二人が始めたのは、そんな調子での会話。
こなたが話してくれたのはこの舞台で、出会った仲間の話題……、
例えば中性的な顔つきの執事少年、いろんな意味で羨ましい体付きをしていた少女、かがみと良い勝負になりそうだというツインテール少女。
途中、自分とも関わりが深かった人物も居たが、こなたが一番話したがっていたのは……。

「驚いたわよねー、二次元にしか興味の無かったあんたが」

歯をちらつかせながら、意地悪い笑みを浮かべる。

「で、そのパピヨンさんとやらに迷惑かけまくったってワケ?」

これはほんのささやかな仕返し、いつも散々自分を引っ掻き回してくれたこなたへのささやかなからかいのつもりだった。
だがこなたは意外にも……。

「うん……」

多少、顔をうつむかせて肯定してしまった。
すぐにいつもの猫口糸目に戻るが、一瞬だけ出したその表情をかがみは見逃さない。

「結局、お礼どころか最期のお別れもできなかったんだけどね……」
「…………っっ!」

その表情を見た時、気が付けばさっきの一言をひどく後悔し、自分の無神経を恥じた。
いつもと変わらないこなたの振る舞いに甘えていたと言っていいかもしれない。

────もしかすると、自分が死んだ事も気にして無いんじゃないか?

そんな事あるはず無いのに、今の今までそう思って対応してしまったのだ。
何だかんだで仲間に看取られて、悔いなく逝けた自分と違い、こなたの場合は……。

「ホントどこで選択肢間違えちゃったんだろね? 物語を解決するキーアイテムを手に入れたのに……
普通、ああいう場面の後は感動の再会、イベントCG追加じゃん。どっかのサウンドノベル三作目くらいに不条理な展開だよね……
それともレバ剣取った時に運使い果たしちゃったかな? アハハ……」
「こなた……」

指を立てながら、こなたはまるで自虐ネタを披露するかのように話してくれた。
ワザと明るく振舞っているのが、かえって逆効果だ。
もう、歯軋りしかできない。
必死に泣き顔を見せないようにつとめる彼女を、自分に慰める資格など存在しない。

「ゴメンね……」

487Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:12:44 ID:aRAlvb.Y0
自然と口から出てきたのは────

「散々苦労したってさっき言ったけど……アレ嘘なの」

こなたの顔を見る事ができない。

「言うけどね、私……ここに来てから足引っ張ってばっかりで……:

かがみは話す。
自分のミスがきっかけで、せっかく再会できたみゆきとバラバラになってしまった事……、
自分の暴走で、仲間とはぐれてしまった事……、
何度も人質になって、足を引っ張ってしまった事。
もしかすると、自分は単なる疫病神に過ぎないのでは無いかと言う想いも……。

首輪について分かったのも、殆ど偶然のようなものだ。
もしも村雨が危険な人間だったら自分の命は無かったのかもしれない。
最悪、ジョジョの努力をムゲにしかねなかった。

「かがみ……」
「でも、こんな私でも……やる事をやりとげた、って思って……いいのかな……?」

そう言った途端、横からフゥ、と言う溜め息が聞こえた。

「ゴメンね、今のかがみは嫌いかも……」

そう言ったこなたの顔は、酷く失望しているように見えて……何も言えない。
…………気マズイの空気が流れる。

「そうね、できればやり直したいかも」
「…………ホント?」
「当たり前よ、みんなに迷惑ばっかかけてたんだもん」
「かがみ……、また殺し合いの舞台に戻りたいの? もしかしたら、今度はもっと酷い死に方するかもしれないんだよ、それでも戻りたいの?」

こなたの不安そうな顔が、すぐ目の前にある。
眉をひそめた、寂しさに今にも壊れそうな顔。
今なら、『大丈夫よ、もう二度とあんたから離れたりしないから』と普段は言えないような恥ずかしい台詞も言える。
むしろ、彼女の顔を見ると言って上げたくすらなった。
しかしかがみは──────

「当然よ、みんなに迷惑ばっかかけておしまいじゃあ死に切れんわ」

488Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:13:12 ID:aRAlvb.Y0
それは本心。
だが言ってしまった、という後悔があった。
いま顔をあげたら、こなたはどれだけ辛そうな顔を自分に向けているだろう?
誰よりも小さい身体を持つ彼女を無神経にも傷つけて、あげくに傍にいてあげる事より他の事を優先しているのだ。
つくづく最低だな、と思う。

「さっすがー、ソレでこそ私の自慢のかがみんだよ!!」
「──────えっ?」

先ほどの寂しげな表情はどこへやら。
両手をグッと握り締め、目を輝かせるこなたがそこには居た。

「さっきからどうもかがみらしく無いと思ってたんだよ。さっきからダンマリ、その後は謝ってばっか自分を卑下してばっかで……、
やっぱかがみはさー、そうやって自分にできる事をしようとする方がいいよ。
どんな壁にぶち当たっても口から火を吹いてその壁を燃やしつくし、進路を妨害する者あらば熊をも仕留めるその拳で──」
「あたしゃ化け物か!」
「さぁーさぁー、かがみの意思も確認した所で早速現世に戻って大活躍していただきましょうか!」
「ムリだろ」
「へ?」

ノリノリなこなたの言葉を一言で片付ける。
自然と呆れ顔になっているのを感じながら、いつものこなたを少しだけ戻せた自分を少しだけ誇っていいのかもしれない、と思ってはいる。
でも……。

「あんたも覚えてるでしょ、私達……ここのバスで連れてこられたのよ? ここが終点、もう戻るなんて……」
「あーそんな事。だったら、ね」

目から星を輝かせるウインク。
だがその対象はかがみでは無く、その後ろの───

「──────反対向きのバスに乗ればいいじゃないですか」
「そうだよ〜」

☆    ☆    ☆


「行ってしまいましたね…………。もしかしたら、戻らない方が……いえ、スイマセン」


「まぁ大丈夫でしょ、かがみはやればできる子」

489Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:13:30 ID:aRAlvb.Y0
「お姉ちゃん……、『さよなら』」



煙幕をあげながら走り去っていくバスを、三つの人影が見送っていた……。



☆    ☆    ☆

(……………………)

全身を襲う強い圧迫感。
暗闇の中で最初に感じたのがそれだった。
息をしようとしても肺の中には何も入ってこない、指一本動かせない、目を開く事すらできない。
ひょっとして棺桶の中に入れられたのかと思ったが、それだったら呼吸くらいはできるだろう。
そして、意識が戻ったかがみの最初に思い浮かべた事と言えば……、

(し、死ぬぅ〜……)

そんなんだった。

(とにかく何とかしないと…………ヤバイッ……)

両手両足を必死に動かすが、どっちが上でどっちが下かも分からない。
というか進んでいる感覚すら無い。

ようやく、やけに違和感のあった左腕が別の空間に出たらしい。
サウナから出た後のような、ヒンヤリとした外気がそこに触れた。
あと一歩だ……。

(あ……でも、意識が、遠…く……)

バス停のような所で、なぜか3人の親友が大慌てしている幻覚が見えた所で────

「ぶはぁ!!」

────かがみの身体が引き上げられた。

「ゲ、ゲッゲホ! ゴホォ!!」

肺が酸素を取り込んだ瞬間、一気に咳き込んでしまう。
よりによって生きたまま土葬されたのだ。
口や鼻、喉にも土や砂が大量に進入していたのである。
胃袋にまで行ってたら、それこそ意識が戻る前に死んでいただろうし。

「ホラよお嬢ちゃん。ゆっくり飲みな」
「あ、ありが…ど……ケホッ」

490Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:14:06 ID:aRAlvb.Y0
かがみを引き上げた男は割と驚いた顔はしたものの、それでも普通に接してくれた。
スキンヘッドのいかつい男…………、独歩と言っただろうか、が渡してくれたペットボトルを受け取る。
アイツが言っていた通りいい人のようだ。

(『アイツ』……? 誰だっけ)

疑問符を浮かべながらも喉に流し込んだ水は、吐いても吐いてもこびり付いていた砂のジャリジャリ感を綺麗に洗い流してくれた。
中身は水道水だろうに、なぜだか自分の身体の芯から透き通っていくような感覚を覚える。
多分この水はどんな聖水よりも価値があるのでは無いか、そんな風にすら思えた。

(ああそうだ、『零』だったわね。アイツがこの人の頭を調べてくれたんだっけ)

潤いが脳の淀みを清めてくれるのと同時に、何か忘れているような感覚もどこかに消えて行った。

ふとヒナギクを見ると、どうやら腰を抜かしているようだ。
失礼だな、と思ったが仕方が無い。
村雨の方も多分驚いているのだろう。


かがみは、周りがこれまで何を話していたかは分からない。
あの男を追うのか、スキンヘッドの男も自分達と同じでS8駅に向かう事になったのか。
失血でめまいが酷いが、どっちにしても、ここでじっとしているワケにはいかないのは分かっている。

彼女は自分の顔にペットボトルの水を浴びせた。

「何ボンヤリしてんのよ! モタモタしないで、さっさと行くわよ!」

491Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:14:25 ID:aRAlvb.Y0

【D-2 南部 2日目 深夜】
【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:体にいくつかの銃創、頭部に小程度のダメージ、左肩に大きな裂傷
[装備]:キツめのスーツ、イングラムM10(9ミリパラベラム弾32/32)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する
1:ヒナギク、かがみ、村雨と情報交換する。
2:ジグマールを見付け出し倒す。
3:学校へ行き、アカギと合流。鳴海の事を伝える。
4:ゲームに乗っていない参加者に、勇次郎の事を知らせ、勇次郎はどんな手段をもってでも倒す。
5:その他、アミバ・ラオウ・ジグマール・平次(名前は知らない)、危険/ゲームに乗っていると思われる人物に注意。
6:乗っていない人間に、ケンシロウ及び上記の人間の情報を伝える。
7:可能なら、光成と会って話をしたい。
8:可能ならばエレオノールを説得する。
9:手に入れた首輪は、パピヨンか首輪解析の出来そうな相手に渡す。
[備考]
※パピヨン・勝・こなた・鳴海と情報交換をしました。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。
※こなたとおおまかな情報交換をしました。
※独歩の支給品にあった携帯電話からアミバの方に着信履歴が残りました。

【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 顔と手に軽い火傷と軽い裂傷。右頬に赤みあり。
[装備] バルキリースカート@武装錬金
[道具] 支給品一式。ボウガンの矢17@北斗の拳
[思考・状況]
基本:BADANを倒す。
1:ゾ……ゾンビ!?
2:村雨、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。その後、首輪、BADAN、強化外骨格について考察する。
3:ラオウ、斗貴子に復讐する。(但し、仲間との連携を重視)
[備考]
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1〜3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。

492Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:14:40 ID:aRAlvb.Y0
【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]全身に無数の打撲。
[装備]十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (0/2) 、マイクロチェーン(2/2) 核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金
核鉄(モーターギア)@武装錬金
[道具]地図、時計、コンパス 454カスール カスタムオート(0/7)@HELLSING、13mm爆裂鉄鋼弾(35発)、ニードルナイフ(15本)@北斗の拳 女装服
    音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、ベレッタM92(弾丸数8/15)
[思考]
基本:BADANを潰す!
1:────!!
2:ハヤテの遺志を継ぎ、BADANに反抗する参加者を守る
3:かがみ、ヒナギクの安全の確保後、ラオウを倒しに行く。
4:ヒナギク、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。
5:ジョセフ、劉鳳に謝罪。場合によっては断罪されても文句はない。
6:パピヨンとの合流。
[備考]
※傷は全て現在進行形で再生中です
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※また、零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※零はパピヨンを危険人物と認識しました。
※零は解体のため、首輪を解析したいと考えています。
※記憶を取り戻しました

【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:全身に強度の打撲、左腕欠損(止血済み)
[装備]:巫女服
[道具]:
[思考・状況]
基本:BADANを倒す
1:とにかくジッとしてられないわね!
2:村雨、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。その後、首輪、BADAN、強化外骨格について考察する。
3:仲間と共にジョセフと合流。
4:さっき見た首輪の異変について、考えてみる。
5:神社の中にある、もう一つの社殿が気になる。
6:ジョセフが心配。
7:こなたと合流する。

493Star Of The Dead 〜最後の幸運星〜 ◆YbPobpq0XY:2008/04/01(火) 11:14:59 ID:aRAlvb.Y0
【三人の備考】
※一通りの情報交換は終えています
※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。
※主催者の目的に関する考察
主催者の目的は、
①殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
②最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。
※3人の首輪に関する考察及び知識
首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首2には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている
※3人の強化外骨格に関する考察。
霊を呼ぶには『場』が必要。
よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論
※BADANに関する情報を得ました。
【BADANに関する考察及び知識】
このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。
※かがみの主催者に対する見解。
①主催者は腕を完璧に再生する程度の医療技術を持っている
②主催者は時を越える"何か"を持っている
③主催者は①・②の技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
④だが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。
※首輪の「ステルス機能」および「制限機能」の麻痺について
かがみがやった手順でやれば、誰でも同じことができます。
ただし、かがみよりも「自己を清める」ことに時間を費やす必要があります。
清め方の程度で、機能の麻痺する時間は増減します。
神社の手水ではなく、他の手段や道具でも同じことが、それ以上のことも可能かもしれません。
※ステルス機能について
漫画版BRで川田が外したような首輪の表面を、承太郎のスタープラチナですら、
解除へのとっかかりが見つからないような表面に 偽装してしまう機能のことです。
ステルス機能によって、首輪の凹凸、ゲームの最中にできた傷などが隠蔽されています。
※S1駅にハヤテのジョセフに対する書置きが残っています。
※ボウガン@北斗の拳と強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメとクルーザー(全体に焦げ有り)はD-2 南部の路上に置いてあります。



あーあ……。
何なんだろうね、コイツら?
地上では『ばとるろわいある』とか言う殺し合いがなされてんだろ?
このまま死んだ方が、引っ張ってでも連れてった方がアイツのためにもなるだろうに。
バカじゃね?

…………どうでもいいか。
人間なんて。

494深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇がまってたとしても……!:2008/04/04(金) 17:43:37 ID:5bMdEXzc0
(空が……きれい……)

黒はこんなにも深さがあるのだという事を、かがみは今日まで知らなかった。
コーヒーのようなどこまでも淀んだ黒……、そこではミルク程度の白の脆い事……。
では、この夜空を染めている黒は、何の黒だろうか?
遠くにひとすじの流れ星が落ちて行ったのが、霞んだ瞳にもしっかりと刻み込まれた。

☆   ☆   ☆

「かがみ……」

かがみのその瞳がドス黒く濁ったかと思うと、その首がカクンと後ろに垂れてしまう。
バサリと力無く地面に広がるツインテールが、まるで最悪の事態を表しているかのように見えた。

「かがみっ!!」
「──ッかやろぉ!」

かがみを呼び起こそうと肩を掴み揺さぶった途端、罵声と共に独歩の拳がヒナギクへと飛んだ。
平たい胸に重たい衝撃。
虎殺しの拳になす術は無く、彼女の体は数メートル後ろに飛ばされてしまう。

「な」 ────何すんのよ!
舌まで乗りかかったその言葉が、声となる事は中断された。
見れば、独歩は依然としてかがみの腕を止血しながらも、先ほどまでヒナギクが持っていたはずの核鉄を傷口に強く押し当てている。
まだ塞がっていなかった傷口から流れてた出血が再び収まる。
「…………あ!」
ようやく自分がかがみから核鉄を外してしまったのだと理解した。

────また……私……!!

「ご、ごめんなさ──」
「後にしな、それより早くコイツを押さえてくれ」

言われたとおりに独歩に変わって、再び核鉄を持つ。
かがみの『断面』から、つかさの腹部からこぼれる血をどうしても連想してしまう。
つかさに続いてかがみまで殺してしまう所だったのだ……。
涙ぐみそうになるのを堪え、ヒナギクはかがみの腕を肩を強く握り締めていた。

495深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても…… ◆YbPobpq0XY:2008/04/04(金) 17:44:44 ID:5bMdEXzc0
「それと……いや、何でも無ぇ」
「………………そうか」

かがみの傍らにて村雨の掌は、その半分程度の大きさしかないかがみの右腕を包み込むようにして握り締めている。
それを見ると、何とも居た堪れない気持ちが溢れてしまう……。

「かがみ……」

彼女は、もう一度目の前の少女の名前を呼んだ。
起きるはずの無い、奇跡を信じて……。

☆   ☆   ☆

透き通った空から、白い太陽光が絶えず地上へと降り注ぐ。
しかし本来なら様々な生命を注ぐこの光も、この場所ではひどく場違いでしか無い。
この太陽が、自分の知っている太陽と同じかどうかなどかがみには分からないが、少なくともここが太陽光によって育まれる生命が存在しない場所と言うのは分かった。

無限に続く白い空間にポツリと存在するバス停にて、かがみはベンチに腰掛け目の前の地平線を眺めている。
足に肘を置いて頬杖をついていると、視界の中に見慣れた青いアンテナが進入した。
やがてソレは、かがみに対して手を挙げながら────

「ぐーぐるー」
「何だそりゃ」
「『ヤフー』に続く新作法! 私が(たった今)考えました」

いつも、どんな時でも自分を翻弄してくれた憎らしいあんちくしょう…………、泉こなたがそこに居た。

☆    ☆    ☆

眩しいくらいに夜空を照らす繁華街が、やけに滲んで見えた。
まるで全ての光が自分達に集まっているように感じる。
もっとも、その中に夜空の星は含まれてはいない……。
人口の光に紛れて、全て覆い隠されてしまっている。

「……………………」

再び核鉄を地面に落としても、もう誰も何も言わなかった。
かがみの呼吸が止まり、心拍が止まり、脈拍が止まり、全てが止まって数分ほどしただろうか?
少し顔をあげると、苦虫を噛み潰しながら、かがみの白い顔を見下ろしている独歩。
俯いているため表情の見えない村雨。
零にしても、何を言っていいのか分からないのが良く分かった。

────また、守れなかった……

496深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても…… ◆YbPobpq0XY:2008/04/04(金) 17:45:05 ID:5bMdEXzc0
その呟きが誰のものか、あるいは自分の物だったのか。
ヒナギクには分からない。
毛利小五郎、本郷、つかさ、そしてハヤテ……ここに来てから、自分は誰か一人でも助けられただろうか?
答えは……否だ。
いつだって自分は守られて、助けられて、何もできていない……。
傍に居るものも守れず、無残に死なせている。

乗り越えたと思っても乗り越えたと思っても、挫折は常に彼女を包み込んでいた。
ヒナギクは知らないが、村雨もまた同じように姉を失っているのだ。

もしかすると…………、と、ヒナギクは思う。
目の前できっと打ちひしがれた表情をしているだろう独歩もまた────
「え…………?」
そんな表情などしていない。
『何かをしようとしている』決意の表情だ。

見上げると、彼はその握り締めたその拳を、力いっぱい掲げている。
聞き様によっては爆発にも聞こえる音が、彼女達のいる繁華街に響き渡る。

「な……!」

あまりにもの事に、ヒナギクは呆気にとられてしまった。
どうしたと言うのだろう?
先ほどかがみの止血をしてくれていた独歩が、今度は彼女のその胸に拳をめり込ませている。

────すなわち、かがみの亡骸を思い切り殴りつけた。

「お前っ!」
「ちょ、ちょっと……何するの止めなさいよ!!」
『何をしてる! 貴様、何故死人に鞭打つのだ!』

村雨とヒナギク、そして零。
三者三様の咎める言葉も何のその。
独歩はかがみの左胸を、コンクリートをも砕くその拳で、打つ、打つ、打つ……。

「やめて!!」

ヒナギクは優等生ではあるが、決して感情より理性を優先できるタイプ無い。
叫んだ時には、すでに独歩の頬を思い切り叩いた後だった。

「あんた……一体なに考えてんのよ!!」

ヒリヒリと痛む手を撫でながら、ヒナギクが叫んだ。
先ほどまでは絶望から流していた涙が、今は激しい怒りによる涙となっている。

もう無駄なのに……。
なぜこの男はこんな事をするのか?
そんな事をしたって奇跡など起こらない、起こった所で────

497深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても…… ◆YbPobpq0XY:2008/04/04(金) 17:45:33 ID:5bMdEXzc0
「かがみは……かがみは……これまで頑張って来たんだから……だから、だからもう────」
「休むかどうかは、あんたが決める事じゃねえだろう」

ヒナギクの言葉は、独歩の顔がズズイとよって来た事でせき止められる。
微妙に心臓に悪いが、その瞳からは────

「違うかい?」

────少なくとも、半端な気持ちでやっているのでは無い事が理解できる。
言葉が行き着く先は耳だけでは無いのだろう。
現に、その短い言葉の一文字一文字はヒナギクの胸へと突き刺さっているのだ。

「…………悪いが、邪魔しねぇでくれ。さっさとこの嬢ちゃん起こして、悪者退治しなきゃいけねぇんでな」
「助けられるのか?」

村雨がそう言うと、握りつぶさんばかりの力で独歩の手首を締め付けていた
よほど強い力で握り締めていたのだろう、緩んだ隙間から垣間見える独歩の皮膚はやや赤くなっている。

「それで……本当に、助かるのか?」
「俺も、昔コレで一回助かったらしいからな。もし、ダメだったら……」

再度問いかけるその表情は、まるで咎めるかのように厳しいもの。
しかしその語調には明らかに、希望に縋り付く物が含まれていた。

「この嬢ちゃんを殴った一万倍、俺を殴ってもいいぜ」

再びかがみの鳩尾付近に打ち込みを始める独歩。
それに対して文句を言う者は、もう誰もいない。

「────!」

ヒナギクは、かがみの後頭部を持ち上げて、鼻を摘む。

もう迷わない。
最期まで諦める物か。

そして、その吐息を思い切り吹き込んだ。


☆    ☆    ☆


彼女はトテトテと足音をたてながら、かがみの隣に座る。

「あんた……、いつの間にここにいたのよ」
「いやぁー私にもよく。何かピカッてなって気が付いたらここに来てたんだよ」
「またいい加減な……。自分が死んだ瞬間くらい理解しとけっつーの」
「一生に一回の事だったのにね、かなり失敗かも。でさぁかがみん、私の事心配してくれた?」
「ああ、すげえ心配だったよ。アンタが人様の足引っ張ってないかね」

498深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても…… ◆YbPobpq0XY:2008/04/04(金) 17:45:58 ID:5bMdEXzc0
少し前までは待ち望んで仕方が無かった再会、それがこんな所では感慨も何もあったものでは無い。
だから喜びを分かち合う抱擁は無い。
その代わり、お互いの死を嘆き悲しむ事も無い。

「でさ、そのパピヨンってのが面白い奴なんだよ。顔には蝶マスクをつけてて服装はあーなっててこーなってて……
まぁ最初は怖いヤツだと思ったんだけどね」
「滅茶苦茶怖いだろ、そんな格好……まぁあんたとなら趣味があっても不思議じゃないけど」
「いやいやかがみ殿、私とパピヨンはそれ以上で繋がっているのですよ。あの世とこの世で隔てられてもそれは変わり無いのデぃっス。
私……無事に帰ったらパピヨンが主人公で私がメインヒロインのギャルゲーをやるんだ……」
「お前って奴は〜、死んだの大して応えて無いのか?」
「アハ♪」
「こっちは散々苦労したっつーに……」

死んだ後に死亡フラグを立ててくれるこなたに、かがみは呆れはてるばかり。
二人が始めたのは、そんな調子での会話。
こなたが話してくれたのはこの舞台で、出会った仲間の話題……、
例えば中性的な顔つきの執事少年、いろんな意味で羨ましい体付きをしていた少女、かがみと良い勝負になりそうだというツインテール少女。
途中、自分とも関わりが深かった人物も居たが、こなたが一番話したがっていたのは……。

「驚いたわよねー、二次元にしか興味の無かったあんたが」

歯をちらつかせながら、意地悪い笑みを浮かべる。

「で、そのパピヨンさんとやらに迷惑かけまくったってワケ?」

これはほんのささやかな仕返し、いつも散々自分を引っ掻き回してくれたこなたへのささやかなからかいのつもりだった。
だがこなたは意外にも……。

「うん……」

多少、顔をうつむかせて肯定してしまった。
すぐにいつもの猫口糸目に戻るが、一瞬だけ出したその表情をかがみは見逃さない。

「結局、お礼どころか最期のお別れもできなかったんだけどね……」
「…………っっ!」

その表情を見た時、気が付けばさっきの一言をひどく後悔し、自分の無神経を恥じた。
いつもと変わらないこなたの振る舞いに甘えていたと言っていいかもしれない。

────もしかすると、自分が死んだ事も気にして無いんじゃないか?

そんな事あるはず無いのに、今の今までそう思って対応してしまったのだ。
何だかんだで仲間に看取られて、悔いなく逝けた自分と違い、こなたの場合は……。

「ホントどこで選択肢間違えちゃったんだろね? 物語を解決するキーアイテムを手に入れたのに……
普通、ああいう場面の後は感動の再会、イベントCG追加じゃん。どっかのサウンドノベル三作目くらいに不条理な展開だよね……
それともレバ剣取った時に運使い果たしちゃったかな? アハハ……」
「こなた……」

指を立てながら、こなたはまるで自虐ネタを披露するかのように話してくれた。
ワザと明るく振舞っているのが、かえって逆効果だ。
もう、歯軋りしかできない。
必死に泣き顔を見せないようにつとめる彼女を、自分に慰める資格など存在しない。

「ゴメンね……」

499深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても…… ◆YbPobpq0XY:2008/04/04(金) 17:46:24 ID:5bMdEXzc0
自然と口から出てきたのは────

「散々苦労したってさっき言ったけど……アレ嘘なの」

こなたの顔を見る事ができない。

「言うけどね、私……ここに来てから足引っ張ってばっかりで……:

かがみは話す。
自分のミスがきっかけで、せっかく再会できたみゆきとバラバラになってしまった事……、
自分の暴走で、仲間とはぐれてしまった事……、
何度も人質になって、足を引っ張ってしまった事。
もしかすると、自分は単なる疫病神に過ぎないのでは無いかと言う想いも……。

首輪について分かったのも、殆ど偶然のようなものだ。
もしも村雨が危険な人間だったら自分の命は無かったのかもしれない。
最悪、ジョジョの努力をムゲにしかねなかった。

「かがみ……」
「でも、こんな私でも……やる事をやりとげた、って思って……いいのかな……?」

そう言った途端、横からフゥ、と言う溜め息が聞こえた。

☆   ☆   ☆

約二十秒の間に、押しつぶさない程度の力で心臓マッサージを14回。
肺の八割ほどの息を吹き込む人口呼吸を二回。
これを交互に繰り返す。
お互いの体格により誤差はあるが、これが一般的な人口呼吸だ。

3分ならまず蘇生可能、だが10分以上経ってから息を吹き返したのは、たった一つの例外を除いて存在しない。
ましてや、水難事故による呼吸停止の場合だ。
失血状態になってからの心臓マッサージなんて行えば、医者なら免許剥奪、ライフセイバーも持たない一般人なら過失致死として書類送検。
仮面ライダーなら……定かでは無いが。

現在、アバラを砕かんほどの心臓マッサージ一回、頭が白くなりそうなほどの息を吹き込む人口呼吸が一回。
そんな独歩ヒナギク流蘇生法が始まってから15分が経過した所だ。

「独歩さん……、で、いいのよね?」
「ああ、なんだい?」

額に汗の雫を浮かべている彼に、ヒナギクは声をかける。
そこにはもはや初対面の時みたいに、刺々しい雰囲気は無い。

「さっきから何分もそうしてるわよ、私が代わるわ」
「となると、俺がそのお嬢ちゃんにチューする事になっちまうな」

こんな状況でおちゃらけて応える独歩の顔には不敵な笑み。
だが、決して腹が立つような物では無い。
むしろ、人の命がかかっている状況なのに自分も笑いそうになった。
なぜだか、まだ希望があるようにすら感じる……。

500深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても…… ◆YbPobpq0XY:2008/04/04(金) 17:46:50 ID:5bMdEXzc0
一人の少女を救うための行動、それが結果として二人の間の何か黒い物を奪い取っていた。
たとえ、それが無駄である事を心のどこかで感じていても……。

「それに、お前さんの力だとコイツを起こすのは難しいぜ? だからアンタはそっちを担当────」
「俺がやる」

村雨に声をかけられた。
彼は、二人がかがみの蘇生を試みている間付近を見張るようにさせていたのだが……。
やはり、彼も仲間のために何かをしたいのだろう。

「そうか……すまん、任せるぜ」

それだけ言って、独歩は後ろへと下がる。
先ほどまで自分が座っていた位置に付く村雨が、同じように拳を高く振り上げる。

「こんな感じでいいのか?」
「俺が口出ししちゃ意味がねぇ。好きにやりな」

自分は紅葉のような医者では無い。
医学の知識など、スズメの涙。
この蘇生法だって、後々自分がやられた事を聞いてやってみただけだ。
正しい方法では無いのは分かっている。

(それでもよ…………)

村雨の心臓マッサージは、独歩より幾分か弱々しいかもしれない。
だが、何か想いが込められている、傍目にそう感じた。
────初対面である自分がやるより、よっぽど効果的だとも。
それはまるで、拳からかがみに生命を吹き込んでいるようにも見えたのだった。

☆   ☆   ☆


見上げると、いつの間に到着したのか?
そこには一台のバス。

「いいよ、かがみも頑張ったんでしょ?」

乗り込んでいるこなたが、かがみにその手を差し伸べる。

「もう行こう、向こうじゃつかさやみゆきさん達も待ってくれてるみたいだし……」

こんな所にも風が吹くのだろうか?

「後は、残ったみんながきっとやってくれるよ? ね」

なびかれる蒼くて長い髪が、何だか七夕に見た天の川を連想させた。

「ホラ、乗ってよ」

早く早くと急かすこなた。

かがみは、答えた。

501深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても…… ◆YbPobpq0XY:2008/04/04(金) 17:47:27 ID:5bMdEXzc0
【D-2 南部 2日目 深夜】
【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:体にいくつかの銃創、頭部に小程度のダメージ、左肩に大きな裂傷
[装備]:キツめのスーツ、イングラムM10(9ミリパラベラム弾32/32)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する
1:かがみの蘇生後にヒナギク、かがみ、村雨と情報交換する。
2:ジグマールを見付け出し倒す。
3:学校へ行き、アカギと合流。鳴海の事を伝える。
4:ゲームに乗っていない参加者に、勇次郎の事を知らせ、勇次郎はどんな手段をもってでも倒す。
5:その他、アミバ・ラオウ・ジグマール・平次(名前は知らない)、危険/ゲームに乗っていると思われる人物に注意。
6:乗っていない人間に、ケンシロウ及び上記の人間の情報を伝える。
7:可能なら、光成と会って話をしたい。
8:可能ならばエレオノールを説得する。
9:手に入れた首輪は、パピヨンか首輪解析の出来そうな相手に渡す。
[備考]
※パピヨン・勝・こなた・鳴海と情報交換をしました。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。
※こなたとおおまかな情報交換をしました。
※独歩の支給品にあった携帯電話からアミバの方に着信履歴が残りました。



【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 顔と手に軽い火傷と軽い裂傷。右頬に赤みあり。
[装備] バルキリースカート@武装錬金
[道具] 支給品一式。ボウガンの矢17@北斗の拳
[思考・状況]
基本:BADANを倒す。
1:かがみを蘇生する。
2:村雨、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。その後、首輪、BADAN、強化外骨格について考察する。
3:ラオウ、斗貴子に復讐する。(但し、仲間との連携を重視)
[備考]
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1〜3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。

502深い傷を抱いて、繰り返そう 悲劇が待ってたとしても…… ◆YbPobpq0XY:2008/04/04(金) 17:48:18 ID:5bMdEXzc0
村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]全身に無数の打撲。
[装備]十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (0/2) 、マイクロチェーン(2/2) 核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金
核鉄(モーターギア)@武装錬金
[道具]地図、時計、コンパス 454カスール カスタムオート(0/7)@HELLSING、13mm爆裂鉄鋼弾(35発)、ニードルナイフ(15本)@北斗の拳 女装服
    音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、ベレッタM92(弾丸数8/15)
[思考]
基本:BADANを潰す!
1:かがみを蘇生する。
2:ハヤテの遺志を継ぎ、BADANに反抗する参加者を守る
3:かがみ、ヒナギクの安全の確保後、ラオウを倒しに行く。
4:ヒナギク、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。
5:ジョセフ、劉鳳に謝罪。場合によっては断罪されても文句はない。
6:パピヨンとの合流。
[備考]
※傷は全て現在進行形で再生中です
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※また、零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※零はパピヨンを危険人物と認識しました。
※零は解体のため、首輪を解析したいと考えています。
※記憶を取り戻しました


【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:全身に強度の打撲、左腕欠損(止血済み)、仮死状態
[装備]:巫女服
[道具]:
[思考・状況]
基本:?????
1:?????
※仮死状態です、このまま死ぬか、もう一度目覚めるかは後の書き手氏にお任せします

【三人の備考】
※一通りの情報交換は終えています
※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。
※主催者の目的に関する考察
主催者の目的は、
①殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
②最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。
※3人の首輪に関する考察及び知識
首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首2には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている
※3人の強化外骨格に関する考察。
霊を呼ぶには『場』が必要。
よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論
※BADANに関する情報を得ました。
【BADANに関する考察及び知識】
このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。
※かがみの主催者に対する見解。
①主催者は腕を完璧に再生する程度の医療技術を持っている
②主催者は時を越える"何か"を持っている
③主催者は①・②の技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
④だが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。
※首輪の「ステルス機能」および「制限機能」の麻痺について
かがみがやった手順でやれば、誰でも同じことができます。
ただし、かがみよりも「自己を清める」ことに時間を費やす必要があります。
清め方の程度で、機能の麻痺する時間は増減します。
神社の手水ではなく、他の手段や道具でも同じことが、それ以上のことも可能かもしれません。
※ステルス機能について
漫画版BRで川田が外したような首輪の表面を、承太郎のスタープラチナですら、
解除へのとっかかりが見つからないような表面に 偽装してしまう機能のことです。
ステルス機能によって、首輪の凹凸、ゲームの最中にできた傷などが隠蔽されています。
※S1駅にハヤテのジョセフに対する書置きが残っています。
※ボウガン@北斗の拳と強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメとクルーザー(全体に焦げ有り)はD-2 南部の路上に置いてあります。

503投下スレ712修正版 ◆S52NT51/9g:2008/04/06(日) 20:44:05 ID:I4XKgZZk0


クレイジー・ダイヤモンドの右手が迫る、対する絶影は身を屈め、拳は宙を切る。
続いて迫りくるは左手、岩をも砕く一撃を、絶影は屈めた体を伸ばし、後ろへ飛び退く。
服部との間に距離が開いたが、クレイジー・ダイヤモンドは、番犬の様に服部の傍から離れない。
絶影が再び間合いを詰める、応じてやってくるのはカウンターの中段蹴り
屈んで避けるのは不可能、宙へ飛んで避けてしまっては、隙が出来る。
「早いっ」
すんでのところで触鞭で打ち払うが、蹴り足を完全に避けきれず、絶影の体をかする 。
かすっただけの一撃でありながら、絶影の体は削り取られる。
間合いに入った絶影を待っているのは、絶影の触鞭を使っていても、全てを避けきる事の出来ない怒涛の連撃。
このまま戦うのは圧倒的に不利、そんなことは劉鳳にも判っていた、だがそれでもこれしか手はない。
劉鳳はそう信じて、拳を払い、蹴りを捌き、アルター削られようとも戦い続ける、全ては友を救うために。
だが戦えば戦うほど、目に見えるほどに絶影は徐々に削られていき、劉鳳の体には疲労は溜まっていくのは誰の目にも明らかだ。
絶影は、服部を中心とした円を描くように移動しながら、クレイジー・ダイヤモンドを戦っていく。
何度目かも判らない、ギリギリの回避を続けながら、劉鳳は服部に問いかける


「服部!いつまでこんな事をする気だっ!仲間達の為にも戦い続けるのではなかったのか!?」
劉鳳の言葉を受け、クレイジー・ダイヤモンドの動きが、刹那の間止まる、たとえ刹那の間であろうとも劉鳳にはそれで十分。
クレイジー・ダイヤモンドは、ジョセフの反対側へと誘導済み、仕掛けるタイミングは、今をおいて他に無い。
刹那の隙を突き、地面から一匹の蛇が飛び出し、大蛇はクレイジー・ダイヤモンドを雁字搦めにしてみせる
地中に忍ばせておいた触鞭によって、クレイジー・ダイヤモンドを拘束する、その為に危険を承知で今まで一本打ちあってきた。
劉鳳の策は実り、クレイジー・ダイヤモンドは動くことは出来ない、後はこのまま締め付け続ければいい。

504投下スレ713修正版 ◆S52NT51/9g:2008/04/06(日) 20:44:40 ID:I4XKgZZk0

「今だ、やれジョセフ」
「ウオォォォォォリャァァァァ」
劉鳳の言葉が発せられた瞬間には、すでにコールタールに塗れた右手を波紋の光で輝かせたジョセフは、雄叫びと共に屋根から飛び出し服部へと迫る。
ジョセフを見て安堵し力が緩んだのだろうか、クレイジー・ダイヤモンドは触鞭を引きちぎって拘束を振りほどき、本体の危機を救うためにジョセフ向かっていく。
自らの未熟を悔いたが、逡巡すること無く劉鳳は力を振るう
「させん」
絶影がクレイジー・ダイヤモンドへ向けて突撃する、最早技も何も無い、ただ渾身の力を込めたタックルをぶつけにいく。
カウンターの拳が絶影の腹へと響いた、だがそれでも絶影は止まらない
その身を弾丸に変え、クレイジー・ダイヤモンドと共に倒れこむ。
腹部へのダメージは無視できないが、服部に飛び掛らんとするジョセフを見て劉鳳は満足げに笑みを浮かべる。

しかし服部を見て彼の笑みが強張る、今まで反応を示していなかった服部の体が、本能的に頭部を腕で庇っている。
宙に舞っているジョセフは、今更止まることなどは出来ない、ならば劉鳳があの手を除けなければならない。
「届けっ、絶影!」
残る触鞭が服部へと迫る、だがジョセフはもう拳を振り下ろせば服部に届く距離だ。
ジョセフの拳が服部にぶつかるまであとわずか、瞬きをすれば拳はすでに振るわれているだろう。
「間に合えぇぇぇぇ」
劉鳳の執念が宿る触鞭は、服部の両腕を弾き飛ばし、頭部を空ける。

505投下スレ723修正版 ◆S52NT51/9g:2008/04/06(日) 20:45:41 ID:I4XKgZZk0
服部は無言で欄外を指差しながら劉鳳と名簿を交換する。
興奮して震えている服部を、怪訝な目で見つめていた劉鳳も、この情報を見ては衝撃を隠しきれなかった
「ハヤテ……、綾崎ハヤテか」
「どないしたん劉鳳はん」
劉鳳が珍しく、眉をひそめ、困惑した様子で唸っていた。
「その名前、先ほどの放送で聞いた記憶がある、それと丸が付けてある三千院ナギ、加藤鳴海も聞いた記憶がある」
ジョセフは大きく息をのむ
「あのハヤテが死んだぁ、しかもハヤテが探しにいった、ナギお嬢様とやらも、二人ともか」
「そうなる、な」



「オイオイつまりどーゆうこった、俺とハヤテは11時30分にS1駅に集合してから赤ムシ野郎を倒しに神社行くって約束してたのに
 ハヤテの奴と、ハヤテが探しにいったナギお嬢様とやらは、二人とも死んだってことか?」
「劉鳳はん、その三人の名前が呼ばれたのは、間違いあらへんか?」
「間違いない、吉良吉影、三村信史の様な日本人風の名前が、5人くらい連続で呼ばれ
 そのなかで、綾崎ハヤテと三千院ナギは、二人連続で呼ばれていた、記憶がある」
「何てこった、ハヤテの野郎も死んじまったのか」
ジョセフは宙を仰ぎ、いつもの陽気な姿とは程遠い、憂いを帯びた表情を浮かべる。
「ジョセフはん、ハヤテはんと別れたのって、何時頃か覚えとる?」
「ん、確か9時前後だったぜ」

506投下スレ724修正版 ◆S52NT51/9g:2008/04/06(日) 20:48:14 ID:I4XKgZZk0
服部は考えを巡らせ始める、綾崎ハヤテは11時30分にS1駅でジョセフと待ち合わせて、三千院ナギを探しに行った。
そして綾崎ハヤテは死亡している、綾崎ハヤテの死亡時刻はジョセフと分かれた21時前後から12時の間。
放送で呼ばれていたと、劉鳳が断言しているのだから、死んだのは間違い無い。
これらの情報から、綾崎ハヤテ達の行動を推理し始める。

劉鳳は、連続で名前を呼ばれたと、言っていた。
そういえば、放送で名前を呼ぶ順番は、どう決まっているか
50音順、アルファベット順、名簿順では無い、となると死亡した順だろうか
そう考えて、今まで聞いた第三回までの放送を、思い出してみる。
カズマ、平賀才人、桐山和雄の順番を、思い返すと矛盾は無い。

では死亡した順で、放送してると仮定する。すると二人は連続して死亡したことになる。
綾崎ハヤテは三千院ナギと合流を果たしたが、何者かによって二人纏めて殺された。一応は筋は通る。
じゃあ殺したの村雨だろうか?だが11時30分にS1駅で待っていた人間が、神社へ行って12時以前に死ぬとは考えにくい。
それに、ナギ「お嬢様」などと、呼ばれる人間を連れて、先走るというのも考えにくい。
となると、S1駅で二人が待っている間に殺された、もしく二人が合流してS1駅へ行く途中に、殺されたと考えるのが妥当。
ここまで考えたが、情報が圧倒的に足りない、そもそも放送順の仮定が間違っているかもしれないし
合流したのではなく偶然二人が、連続で死んでしまった、という可能性も有り得る。
結局は直接神社に、行ってみるしかないという、当たり前の結論が出た。

そんな結論は判りきっていたはず、だが服部は今まで何度もいろんな事件で、推理をしてきた。
幾度と無く反復してきた思考は、服部の心を落ち着かせてくれた
劉鳳のアルターやジョセフの波紋の様な力を持たない服部にとって、探偵として培われた推理力こそが彼の最大の武器なのだから。

(あんまり考えるだけじゃあかんなぁ、今はとにかく神社へ行ってかがみって娘を助けにいかなあかん
 ハヤテはんから、直接話しを聞いてみたかったが、それも叶わへん、だが村雨って人はBADANの一員だったちゅー事は
 貴重な情報を持っててもおかしない、となると何とかして情報を頂きたいところやな)

507神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:37:37 ID:kXAvCPmE0
>>452

 砂で出来た山がいくつも存在し、風が吹くたびに砂が舞い、さらさらと流れ落ちていく。
 ただただ広大な砂漠が広がる中、対峙する男が二人。
 片方は黄金の身体に隻腕、カミキリムシに似た仮面と触角を持ち、黒いマントをはためかせていた。
 もう片方は銀髪の痩身の男。鋭い顎と鼻、猛禽類を思わせるような視線で黄金の怪人を射抜いている。
 銀の髪を持つ者の名は、赤木。
 殺し合いに参加して、プログラムを潰すことにたった一つしかない命を投げだす、酔狂な男である。
 黄金の怪人の名はJUDO。
 仮面ライダーたちに大首領と呼ばれた男であった。
 その外見は参加者の一人、村雨良が変身したZXに酷似していた。赤木はZXの存在を知らないため、その事実に気づくことはないが。
 彼が今しがたコンビを組んでいた相手、パピヨンなら気づいたであろうが、赤木はパピヨンからZXの情報を得ていない。
 そこまで、信頼されていないということだろう。
 もっとも、その情報を得ても赤木は気にも止めなかっただろう。
 主催者と似た姿の男がいる。ただ、それだけの情報が手に入った、そうとしか思わない。
 それよりも、現在の状況が赤木にとっては興味深かった。
 膝をついて、お椀を振り下ろしたままの体勢で大首領を睨みつけているだけの赤木。
 赤木はゆっくりと口を開いた。
「半か…………丁か…………」



 赤木が歩くたびに、木製の床がギシギシ不快な悲鳴をあげてくる。
 視界に入るのはおおよそ、薄汚れたコンクリートの壁。赤錆が浮かぶ古い蛇口。風でガタガタうるさい窓。降りしきる雨。
 かなり年季が入った校舎を見回しながら、赤木はタバコを吸おうとして、自分がタバコを手に入れていなかったことを思い出し、僅かに眉を曇らせる。
 まあ、別に問題ないとパピヨンがいる方向へと視線を向ける。
 特に感情はこもっていない。せいぜい、パピヨンがここに来る。その事実を認識しているだけだ。
 赤木はパピヨンをどう見ているのか?

508神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:38:10 ID:kXAvCPmE0
>>459
『馬鹿……とは?』
『罠以外なんでもない。しかも、子供でも引っかかるか怪しいほど単純なもの。
こちらに有利な情報が多すぎる。敵に裏切り者が出ない限り、この情報を得ることは不可能だ』
『俺はこの情報、真実だと思う』
『根拠は?』
『一致している……いや、型にはまりすぎている、といった方がいいか』
『どういう意味だ?』
 パピヨンは不快感を示しながら、赤木の顔をうかがう。彼の表情は変わらない。
『俺が遭遇した参加者に、面白い制限を受けた男がいる』
『ほう? どんな制限だ?』
『その男は『人間ワープ』というアルター能力持ちだ。奴の意思一つで自在に移動が出来る。
しかし、奴の能力は制限を受けた。疲労の少ない能力に多大な負担を課し、距離をたった二メートルまでに縮める。
まるで、奴の能力に恐れるように』
『…………なるほど。お前はこの迎撃装置のことを言いたいのか』
『理解が早くて助かる』
 パピヨンは舌打ちをし、赤木から聞いた迎撃装置のことを頭から引き出す。
 時速六百㎞以上の速度でないと避けることのできない雷。
 その攻撃を避けるのなら、何らかの乗り物で乗り越えるか、はたまた『人間ワープ』によって雷を避けながら敵の本拠地へと接近していけばいい。
 つまり、主催者側にとって『人間ワープ』を重く制限するのは必須だといえる。
 ここまで推理できれば、後は子供でも簡単に答えを導けれる。
 赤木は本拠地の情報が信実である根拠をもっている。
 ゆえに、この情報の信憑性が高い。そういいたいのだ。
『しかし、罠を仕掛けるなら美味しい餌を入れておくのが常套手段だろう。
本拠地の話が真実だとして、なぜそこまで信頼する?』

509神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:38:37 ID:kXAvCPmE0
>>472
 民家を何軒も通り抜け、無機質に青から赤へと変わる信号のある交差点を疾風のごとく駆け抜けた。
 降りしきる豪雨に全身ぬれねずみだが、構わず進む。
 目指すのは学校。復讐の邪魔をしたと思わしき赤木、もしくはパピヨンの始末。
 今の自分はライダーマンヘルメット、ハルコンネン、ライドル。
 支給品をかき集め、全力で復讐を果たす。たとえ、憧れた正義の象徴、仮面ライダーを汚しても。
 川田にとって柊つかさとは、そういう存在だ。己の全てを賭けて、生かしてやりたかった少女だ。
(思い出すな……最初にプログラムに巻き込まれたときを……)
 あの時、慶子を川田は守れなかった。その苦味を糧に、二回目のプログラムはくそったれな政府にカウンターパンチを食らわせることを誓った。
 まさか、ここで同じ気持ちを味わい、殺し合いに乗って生き返らせるなどという願いを持つとは思わなかった。
 自分が死んでいなければ、きっと二度目の消失の重さに耐え切れず自らの命を絶ったのかもしれない。
 たった一日の付き合いなのに、たった一日傍にいただけなのに、こんなにも想ってしまう。
 坊主頭に無精ひげの自分じゃ似合わないな……と自嘲しながら、身体を傾け交差点を右折した。
 ヘルダイバーの後輪が火花を散らしてすべり、排気音が甲高く無人の市街地に響いた。
(本郷さん……俺は殺す。仮面ライダーの力を使って。
いや、今の俺に『仮面ライダー』の力なんて相応しくない。この力は、この能力は……)
 バイクのスピードを加速させ、川田は進む。まるで、罪悪感から逃げるように。
 そうでなければ、崩れ落ちそうだったのだ。

「俺は……復讐の鬼だ!」

 かつて、ライダーマンヘルメットを装着した男と、同じ宣言をする。
 そうとは知らずに、そうとは気づかずに。
 後に、その男が仮面ライダーと名乗ったことも知らずに。


 ヘルダイバーを停車して、ライダーマンヘルメットによるカメラアイで校舎を探る。

510神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:38:57 ID:kXAvCPmE0
>>475
 窓際に移ったのは……パピヨン、そして赤木。
 好都合だ……川田は呟いて、両腕でハルコンネンを持ち上げた。
 ライダーマンの強化服からもたらせる、身体能力はハルコンネンの反動に耐えられる怪力をもたらせてくれた。
 もはや身体とハルコンネンを固定する必要などなくなった。
 銃口を赤木とパピヨンの間を彷徨わせる。
 どちらを殺すか、一瞬だけ迷うが、構わず銃口を固定した。
 川田は照準がぶれないようにハルコンネンのストックを肩に乗せ、ハルコンネンの砲身を左腕で持ち上げる。
 右頬をハルコンネンのストックにつけ、一定箇所に密着させた。膝をついて、銃口を徐々に持ち上げていく。
 かすかなぶれもなく、ハルコンネンが固定された。
 ライダーマンヘルメットと、強化服がなければこうはいかなかっただろう。
 引き金に触れて、目を瞑る。瞼の裏に撃ち抜かれる覚悟の姿が再生された。
 ゆっくりと目を開いていくと、静かな炎が川田の目に表れる。
 急に、ピタリと雨が止んだ。
 ありえないことだったが、川田は構わなかった。いまさら、どんな奇跡が起ころうとも構いやしない。
 川田の右手の人差し指がゆっくりと引き金を押し込んでいく。
 まるで時の流れがゆっくりになったような状況だが、川田には馴染み深い感覚だ。
 凄まじく集中したときに起こる、周囲の認識感覚の異常な発達。
 砲身に火薬が広がる様子が見え、砲弾が放たれていく。反動が川田の肩を駆け抜け、身体が僅かに揺れる。
 砲弾は神速の勢いで飛び出し、校舎の壁に炸裂する。
 再び、花火のような爆発が校舎に轟いた。
 川田はライダーマンヘルメットを取り、タバコを吹かす。じっと、校舎から誰か飛び出てくるのを待ち続けた。



 カラン……と乾いた音と共に金属の塊が零れ落ちる。

511神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:39:15 ID:kXAvCPmE0
>>485
 先ほどはこなたの死が影響したのか、赤木と大首領の会話に圧倒されるだけだった。
 なんと言う、蝶人パピヨンらしくない反応だと、自嘲する。
 これでは斗貴子を笑えないではないか。パピヨンは瓦礫を跳ね除ける。
 よく考えれば、赤木の言うとおりこの殺し合いには不審な点が多かった。
 弱者の強化、強化外骨格の存在、第ニ回放送で死者の復活を告げるほど、殺し合いに乗る人間の不足。
 一つの目的をかなえるにしては、余りにも不確定の要素しかない。
 だからこそ、赤木の推理は正しかったのだ。今の頭の冷えたパピヨンにも理解できるほど。
 敵は一枚岩ではない。あのJUDOという主催者、少なくともBADANという部下とJUDOは連携が取れていない。
 いや、連携を必要としていない。こちらの協力者の存在もそうだ。
 BADAN側の連中は驚くほど足並みが揃っていない。
 あの様子を見るに、JUDOのワンマン組織だったのかもしれない。なら、あの情報は十中八九正しい。
 首輪の手がかりは得た。JUDOとかいう奴も、こちらの行動を制限する気はないと知った。
 気をつけるのは、不揃いなBADANの連中。
(武藤……俺はやるぞ。やつらを、BADANを、あのJUDOを、そして……俺を翻弄したと勘違いしている赤木を、すべてねじ伏せる!
ああ……俺も甘くなった。泉があんな目に遭ったのが原因だ。もう、それは認める。逃げはしない。
だからだ、武藤、いず……こなた。俺は全てを賭ける。この殺し合いを潰すことに、蝶人パピヨンの全てを!)
 パピヨンは全身に力を込めて、地面を蹴る。
 まさに蝶人に相応しい跳躍。三階から一気に躍り出る。
 外に軽やかに着地して、川田を前にする。心なしか、パピヨンの股間は勢いを取り戻し、隆々とそそり立って存在を主張していた。


「いよ、一つ聞かせろ。お前が津村を殺したか?」
「そうだな。正確には違うが、殺すところまで追い詰めた」
「そうか、ならいい。ちょうどお前に用があるからな」

512神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:39:31 ID:kXAvCPmE0
>>488
 川田は右前方にヘルダイバーを止め、ライダーマンヘルメットを両手で掲げた。
 大首領が退いたからだろう。雨がまた、降り始める。
 大雨のなか対峙する二人。それぞれ、抱えるものは闇。
 別に、斗貴子が死んでも川田は心を痛めない。むしろ、自分の手で殺したかったのだ。
 斗貴子を殺せず、川田の心に不完全燃焼する恨みの心が残っている。
 だから、合理的でない、ただの八つ当たりのような感情をぶつけることを平気でする。
 随分道に外れたもんだと、川田は自分に嫌悪を持つ。しかし、ヘルメットを振り下ろす勢いは止まらない。
 そのまま無言で、ライダーマンメットを頭に被る。
 光が包まれ、川田の身体が強化スーツに包まれた。
 青い頭部。Ⅴ字のラインに二つの触角が生える。剥き出しの口元は真一文字に結ばれた。
 赤いプロテクターが鈍く光り、黒いスーツが川田の鍛え抜かれた身体を包んだ。


「奇遇だな。俺もお前に用があった」
「泉さんのことか。皮肉だな」
 たしかに皮肉だ。あのこなたが、楽しそうに語っていた友達と繋がりの深い男なのだから。
 覚悟なら苦悩しただろう。こなたを殺し、友であった川田を殺すことに。
 そんな偽善、パピヨンにはない。
 あるのは罪を贖わせることのみ。斗貴子と共に、パピヨンの中にある確固としたつながりを断った罪は軽くはない。
 パピヨンが全身に力を込めて、筋肉が隆起して両腕を蝶が羽を広げるように、上に持ち上げる。
 どぶ川のように濁った瞳は川田へと向き、左足は膝を曲げて持ち上がる。
 芋虫から蝶への変身。それを果たしたのは自分。
 赤木であろうと、JUDOであろうと、自分を軽んじたことを後悔させる。
 この殺し合いを終らせるのは、蝶人たる自分だ。
 パピヨンは再び羽ばたくためにその構えをとる。

513神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:40:01 ID:kXAvCPmE0
>>504
「賭けだと?」
 赤木がデイバックから取り出したのは、お椀とサイコロ。
 どちらも学校から調達したものだ。
「半丁賭博という賭け事がある。二つのサイコロをこいつの中で転がし、下に降ろす。
二つのサイコロの目を足した数が……丁(偶数目)か半(奇数目)か」
「それくらい我が力で臨む結果を出せる」
「いいや……あんたは出来てもやらない。
分かっているはずだ……これは久しぶりの……勝敗の分からない勝負のチャンスだと……」
 赤木はさらに大首領に近寄る。
 鷲巣の時に感じた共感を、鷲巣以上に大首領へと赤木はぶつけた。まるで、恋焦がれていたように。
「JUDO。俺は賭けよう……この半丁賭博に……俺の命を……!!」
「ほう……」
「こいつを俺が振り、降ろした時の目……JUDO、お前が勝てば俺は自らの手で首を切ろう……。
お前に俺が勝ったら……そうだな。勝ったとき、一つ軽い願い事をかなえてもらおう……」
 どうだ、とJUDOに赤木は声をかけて、サイコロを弄ぶ。
 大首領は呆れたような視線を赤木へと向けた。ため息まで吐いている。
「余りにも、キサマが死ぬ確率が大きいぞ。我はその目を操作するなど、造作もない。
たとえしない、と我が約束をしたとしても、それを破ってお前を殺すかもしれないが?」
「それなら、俺はそこまでの男だったと言うことさ……」
 常人では考えられないほどの狂気の行動。
 赤木はこの殺し合いを潰すことに全力を賭ける、といった証明である。
 もともとこの殺し合いを潰す確率など、無に近い。この機会、大首領との接触は殺し合いを潰す確率を上げるために必須。
 命ごとき賭けなければ、おおいな利益は得られない。
 とはいえ、大首領との接触事態、幸運中の幸運、奇跡に近い。
 首輪まで外れた。いつ赤木の運が尽き、無残に死ぬか。

514神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:40:26 ID:kXAvCPmE0
>>509
 窓からぞのく空の闇が晴れていき、紫色へと変化していくなか、赤木は悠々とタバコをふかしていた。
 外から聞こえる雨の音が心地よい。
 久々のニコチンの味を感じながら、静かに煙を吐いた。
 見る人間が見れば、神に対して不遜だと罵ったのだろう。
 赤木は北にある神社の、ご神体が祭られる社で堂々とタバコをふかしていたのだから。
 最も祭られているのは、この殺し合いの参加者にとって馴染み深いもの。
 誰もが目撃したもの。
 強化外骨格、大首領の魂を宿す存在。
 赤木は勝負に勝った。戦利品を手に強化外骨格に背を向ける。
 台座に機械に組み込まれた核鉄を――赤木は知らないが、核鉄を組み込んだ機械をRS装置という――を尻目に。
 みたところ、厳重に固定されて、生半可な行為では外れないようになっている。爆弾も見え隠れするが、赤木は興味はない。
 扉に手を当て、赤木は一旦後ろを振り向いた。
「……JUDOだな。機会があれば……また会おう」
 初めて会えた同類よ、赤木は内心でそう言い残し、扉を開ける。
 その先には――


【D-1 神社・強化外骨格が祭られている社 二日目 早朝】


【赤木しげる@アカギ】
[状態]:脇腹に裂傷、眠気、首輪がありません。
[装備]:基本支給品、 ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス (残り9本)、マイルドセブンワン二箱
[道具]:傷薬、包帯、消毒用アルコール(学校の保健室内で手に入れたもの)
 始祖の祈祷書@ゼロの使い魔(水に濡れふやけてます)、
 水のルビー@ゼロの使い魔、工具一式、医療具一式 沖田のバズーカ@銀魂(弾切れ)
[思考・状況]

515神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:40:54 ID:kXAvCPmE0
>>512
3:既にその霊的守護を外した者が居る。そいつが首輪を外したかは不明だが、おそらく外してはいない
4:監視カメラは存在せず。首輪についた盗聴器のみでこちらを監視。その監視体制も万全ではない
5:敵には判断能力と機転に乏しい戦闘員が多い
6:地図外に城? がある
7:城には雷雲を突破しなければならず、そのためには時速600キロ以上の速度が必要

※大首領との接触により、大首領とBADANとの間のズレを認識。


【その他共通事項】
※社には強化外骨格が祭られており、RS装置に核鉄『バスターバロン』が組み込まれています。
 また、固定がされており、RS装置が外れると、核鉄も一緒に爆破するようになっています。




 降り注ぐ日差しの中、大首領は地面に置かれたお椀とサイコロを見つめる。
 賭けは赤木の勝ち。
 サイコロの目は六ゾロの丁。大首領は半を選択した。
 赤木との約束を守って、自らの能力を使わなかったわけではない。むしろ、使ったのだ。
 赤木を生かすために。
 やがて、大首領の右前方に、亡霊のように同じ姿の黄金の怪人が現れた。
 名を、ツクヨミ。
 大首領をこの時の牢獄に閉じ込め、今また裏切り者であるZXを支援する邪魔者である。
「何か言いたげだな?」

516神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:41:10 ID:kXAvCPmE0
>>518
「……なぜあの男を生かした? よりにもよって、お前が……」
 大首領は無言で歩き、サイコロを手に取る。
 肩の震えが大きくなり、やがては天を仰いで笑い出した。
「ツクヨミ……我は奴の望みが気になり、答えを待った……」

 ―― キサマの勝ちだ。願いを言ってみよ。そうだな、死者を蘇らせてもいいぞ?
 ―― そうだな。……タバコをくれ。
 ―― なに?

「ククク! ツクヨミ、我は虫けらなど、どうでも良い」
 実際そのはずだった。
 大首領は、己の肉体になる人間などに興味はない。
 ただこの牢獄から脱出さえ出来ればいい、それでよかった。
 そのために、ZXを開発させた。
 そのために、強化外骨格に目をつけた。
 平行世界への干渉する能力を得たのは偶然だ。
 そこで目に付けた強化外骨格の技術は、己が肉体を得るのに相応しい技術。
 強化外骨格に必須な英霊を集める手段に、このプログラムを選択したのはただの気まぐれ。強化外骨格の完成までの余興。
 BADANは、ガモンあたりは優勝者を、最も優れた能力者を自分の肉体にしようと画策している。
 それとは反対に、大首領は人間など、虫けら(ワーム)など歯牙にもかけたことはない。
 最強の生物範馬勇次郎も、零式防衛術継承者葉隠覚悟も、吸血鬼アーカードも、北斗神拳伝承者二人も、興味を示さない。
 強化外骨格は完成間近。あと必要なのは、数人の魂と大首領が強化外骨格に乗り移るためのエネルギー。
 エネルギーの確保自体もまた、容易であった。RS装置――エネルギー物質変換装置――は火薬もプルトニウムも必要としない。
 核爆発を引き起こせるほどのエネルギーを生み出せる悪魔の機構。
 核鉄「バスターバロン」の質量をすべてエネルギーに変換させ、牢獄と強化外骨格へのゲートを開く。
 とはいえ、それは完全でない。バスターバロンとの相性もあり、牢獄に作れるほころびは魂が通る程度だ。
 キングダークも失ったゆえ、核鉄「バスターバロン」を使うしか道はないが。
 すべて上手くいくほど、甘くはなかった。ゆえに強化外骨格に頼らざるを得ない。
 そして装着者。

517神に愛された男(修正) ◆WXWUmT8KJE:2008/05/03(土) 18:42:15 ID:kXAvCPmE0
修正版投下終了。
丁半、その他指摘事項の修正です。
それでは、指摘ありがとうございました。

518 ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:32:08 ID:.9W3guDE0
part15>>565
そういう事である。当然バイクは大破している。
コールタール塗れではマジシャンズレッドもニアデスハピネスも使いづらいと、
適当な店で見つけた新しい衣服に着替えた矢先の出来事である。
バイクは大事な足である。
強敵と偶発的に遭遇してしまったとしても、これさえあれば逃げるだけなら何とかなる。
むしろこの足無しで危険地帯に飛び込むのは無謀極まると言っていい。
幸いフレームは曲がってなかった事から、服部はこれの修理を試みたのだが、そこである事実が判明する。
服部が自分でバイクを組み上げた際、燃料計の接続をミスっていたのだ。
まだ余裕があると思われていたタンクの中を確認すると、案の定残量は微々たる物。
止む無くバイクは放棄する事としたのだ。
花火が上がってから既に結構な時間が経っている。
二人は何かに急かされるように先を急ぐ。
そこに、勇次郎の雄叫びが聞こえてきた。
込められている圧倒的なまでの存在感に身震いする服部。
「……何やコレ?」
同種の存在感に覚えのあるジョセフは視線を鋭くする。
「さあな。だけど、コイツはやべぇ気配がぷんぷんしてきやがる……急ぐぞ服部」



村雨は後ろに乗るかがみを気遣うようにしながら、クルーザーを走らせる。
目指す神社まであと1キロまで迫った所で、二人はラオウの叫びを聞いた。
そこに込められている感情を何と形容すればいいものか。
敵意、殺意、害意……ありとあらゆる攻撃的な衝動が交じり合う。
ただ、一つだけわかる事は、それが敵への呼びかけであるだろうという事。
村雨は背中に当たるかがみの体が、小刻みに震えている事に気付く。
「かがみ、大丈夫か」

519決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:34:30 ID:.9W3guDE0
part15>>577
搾り出すようにヒナギクは問う。
「……私達にも死ねっていうの」
「嫌も応も無く死んじまうって言ってんだ。
 だから、生きて帰る事なんざハナから諦めちまえば、随分と出来る事増えるんじゃねえのか」
そこでようやく覚悟が口を挟む。
「独歩、それは彼女には……」
独歩は覚悟の言葉に首を横に振る。
「一緒だ。ヒナギク嬢ちゃんが戦おうと戦うまいと、
 勝やシェリスやナギやさっきの小僧がそうだったように死ぬさ。
 だったら死に方ぐらい選ばせてやってもいいんじゃねえのか」
尚も独歩の言葉を認めたくない覚悟は、大きく被りを振る。
そんな覚悟に独歩は言い放った。
「いい加減認めろや。この場に安全地帯なんてありゃしない。全部が戦場なんだよ。
 俺も、ヒナギクの嬢ちゃんも、お前もここで死ぬしかねえんだ」
そして独歩が一番問いたい言葉を覚悟に向ける。
「だとしたら、お前はどうやって死ぬんだ覚悟?」
「無論戦って死ぬ」
覚悟の即答を受けた独歩は、今度はヒナギクに問う。
「嬢ちゃん、あんたはどう死ぬ?」
いきなり死に方なぞ問われ、即答出来る者など一握りのみだろう。
ましてやヒナギクは、覚悟と違う平和な生活を十年以上営んで来た人間だ。
事故や病気などではない死など、想像もした事が無い。
それでも、この場に来てからの二十四時間が、彼女に答えを指し示してくれた。
出会ってロクに時間も経ってない見ず知らずの自分を守る為、命を落とした小五郎。
自らの正義に従い、ラオウに立ち向かい倒れた本郷。
川田を想い、死の間際まで彼の為に出来る事を探し続けて逝ったつかさ。
大切な物を守る為、恐れる気も無く強敵に立ち向かい倒れたハヤテ。
ヒナギクの眼前で倒れた仲間達が、ヒナギクの進む道を教えてくれた。

520決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:35:41 ID:.9W3guDE0
状態表は以下の形に全て修正致します
【E-2 中央/2日目 早朝】
【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]全身に無数の打撲、頬に軽い腫れ 全身に更なる重度の打撲傷を負う
[装備]十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (0/2) 、マイクロチェーン(2/2) 核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金
[道具]地図、時計、コンパス、 女装服
    音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、
[思考]
基本:BADANを潰す!
1:ハヤテの遺志を継ぎ、BADANに反抗する参加者を守る
2:ジョセフ、劉鳳に謝罪し、協力を要請する。
3:ケンシロウ、コナン、服部、神楽の捜索。勇次郎、エレオノール、川田、ジグマールには警戒。
4:3が終わり次第学校へ向かい、パピヨン、アカギ、覚悟、ヒナギク、独歩との合流。
5:かがみを守る
[備考]
※傷は全て現在進行形で再生中です
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※記憶を取り戻しました
※独歩、覚悟と情報交換をしました。
※光成がBADANに脅されていると考えています。また、BADAN側にも強化外骨があると推測しています。
※勇次郎の放送を聴きました。
※エレオノールから改心に至る事情を聞きました
※ラオウ、勇次郎との戦闘を経て戦闘技術が劇的に向上しました
※ジョセフと和解しましたが、事情は未だ伝えていません

521決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:36:09 ID:.9W3guDE0
※神社で立ったまま微笑んで死ぬ死体(劉鳳)を見ました
※怒り等感情に任せて行動しないよう自制する事を覚えました



【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:全身に強度の打撲、左腕欠損(止血済み)、休息により(?)それなりに回復 、核鉄の治癒力により回復中、深い悲しみ
[装備]:巫女服
[道具]:モーターギア(核鉄状態)@武装錬金
[思考・状況]
基本:BADANを倒す
1:みんな元気になれっ……もちろん自分も
2:村雨と行動を共にする
3:神社の中にある、もう一つの社殿が気になる。
4:川田を止める
5:劉鳳、ジョセフ、ケンシロウ、コナン、服部、神楽の捜索。勇次郎、エレオノール、川田、ジグマールには警戒

[備考]
※光成がBADANに脅されていると考えています。また、BADAN側にも強化外骨があると推測しています。
※勇次郎の放送を聴きました。
※零の暗雲についての推測を知りました。
※かがみの主催者に対する見解。
①主催者は腕を完璧に再生する程度の医療技術を持っている
②主催者は時を越える"何か"を持っている
③主催者は①・②の技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
④だが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。
※首輪の「ステルス機能」および「制限機能」の麻痺について

522決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:36:35 ID:.9W3guDE0
かがみがやった手順でやれば、誰でも同じことができます。
ただし、かがみよりも「自己を清める」ことに時間を費やす必要があります。
清め方の程度で、機能の麻痺する時間は増減します。
神社の手水ではなく、他の手段や道具でも同じことが、それ以上のことも可能かもしれません。
※ステルス機能について
漫画版BRで川田が外したような首輪の表面を、承太郎のスタープラチナですら、
解除へのとっかかりが見つからないような表面に 偽装してしまう機能のことです。
ステルス機能によって、首輪の凹凸、ゲームの最中にできた傷などが隠蔽されています。
※S1駅にハヤテのジョセフに対する書置きが残っています
※神社で立ったまま微笑んで死ぬ死体(劉鳳)を見ました
※村雨との協力を申し出てくれた服部に感謝しています



【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:体にいくつかの銃創、頭部に小程度のダメージ、左肩に大きな裂傷 左腕を深く抉られている
[装備]:キツめのスーツ、(15本)ベレッタM92(弾丸数0/15)
[道具]:基本支給品一式×2、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂、ジャッカル@HELLSING(残弾数1)、 陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた、首輪×2
    ハート様気絶用棍棒@北斗の拳 、懐中電灯@現地調達、包帯と湿布@現地調達 スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
    鷲巣麻雀セット@アカギ、 空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本:闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する
1:ジグマールを見付け出し倒す。
2:学校へ行き、アカギと合流。鳴海の事を伝える。
3:劉鳳、ジョセフ、ケンシロウ、コナン、服部、神楽の捜索。勇次郎、エレオノール、川田、ジグマールには警戒。
4:可能なら、光成と会って話をしたい。
5:エレオノールは何だってあそこに居やがんだ?

523決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:37:06 ID:.9W3guDE0
[備考]
※パピヨン・勝・こなた・鳴海・覚悟・村雨・ヒナギク・かがみと情報交換をしました。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。
※こなたとおおまかな情報交換をしました。
※独歩の支給品にあった携帯電話からアミバの方に着信履歴が残りました。
※BADANの存在を知り、かがみから首輪のステルス機能の事、解除方を知りました。また零の暗雲についての推測も知りました。
※愚地流奥義にしたいと思っている技を会得しました(意を消した拳、これを拳のみならず他の空手技にも用いる事が出来る)
※エレオノールがこの場に居る理由を理解していません



【葉隠覚悟@覚悟のススメ】
[状態]:全身に火傷(治療済み) 胸に火傷、腹部に軽い裂傷。頭部他数箇所に砲弾による衝撃のダメージあり
    胴体部分に銃撃によるダメージ(治療済み) 頭部にダメージ、
    両腕の骨にひびあり、(残り戦闘可能時間約40分 注:これは零を纏いその治療を受ける事で延長可能)
[装備]:強化外骨格『零』@覚悟のススメ
[道具]:大阪名物ハリセンちょっぷ 滝のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS(ヘルメットは破壊、背中部分に亀裂あり)
[思考]
基本:牙無き人の剣となる。この戦いの首謀者BADANを必ず倒し、彼らの持つ強化外骨格を破壊する。
1:川田を説得する。
2:劉鳳、ジョセフ、ケンシロウ、コナン、服部、神楽の捜索。勇次郎、エレオノール、ジグマールには警戒。
3:斗貴子を牙無き人々の一人と見なし、守る。
4:学校へ戻る。
5:村雨が再び記憶を失い、殺し合いに乗るようならば倒す
【備考】
※パピヨンの詳細名簿からケンシロウ、独歩の情報を得ました。
※こなたの死を知りました。それが川田のせいである事も知っています。

524決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:37:34 ID:.9W3guDE0
※パピヨンとアカギを全面的に信用しています。
※三村とかがみについて
三村の吹き込んだ留守禄の内容を共有しています。
かがみと三村に対してはニュートラルなら姿勢です。
とにかくトラブルがあって、三村がかがみを恨んでいると事実がある、
とだけ認識しています。
※ラオウを倒した男が劉鳳だと知りました
※零と一体になる事に迷いはありません

※零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※零はパピヨンを危険人物と認識しました。
※零は解体のため、首輪を解析したいと考えています。
※零は村雨の体を調べ、その構成が、極めて高位の霊魂ならば、強化外骨格同様受け入れられる構造になっていると知ります



【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 顔と手に軽い火傷と軽い裂傷。右頬に赤みあり。右肩が外れている、手の平に裂傷、勇次郎平手によるダメージ
[装備] バルキリースカート(核鉄状態)@武装錬金(アーム四本中三本破損) シルバースキン(核鉄状態)@武装錬金
   イングラムM10(9ミリパラベラム弾0/32)ニードルナイフ@北斗の拳454カスール カスタムオート(6/7)@HELLSING 13mm爆裂鉄鋼弾(28発)
[道具]支給品一式、ボウガン@北斗の拳、ボウガンの矢17@北斗の拳
[思考・状況]
基本:BADANを倒す。
1:斗貴子については戸惑い
2:劉鳳、ジョセフ、ケンシロウ、コナン、服部、神楽の捜索。勇次郎、エレオノール、ジグマールには警戒。
3:2が終わった後、学校へ行く。
4:川田を説得する。

525決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:38:04 ID:.9W3guDE0
[備考]
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1〜3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。
※エレオノールに殺人の意思が無い事を知りましたが、事情は聞いておらず、納得もあまりしてません
※半裸です。下着しか着てませんが一応独歩の上着を羽織ってはいます



【村雨、かがみ、覚悟、ヒナギク、独歩、五人の共通備考】
※一通りの情報交換は終えています
※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。
※主催者の目的に関する考察
主催者の目的は、
①殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
②最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。
※五人の首輪に関する考察及び知識
首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首輪には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている 。
首輪にはステルス機能があり、身を清め水を掛ける事で解除可能
※五人の強化外骨格に関する考察。
霊を呼ぶには『場』が必要。

526決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:38:31 ID:.9W3guDE0
よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論
※BADANに関する情報を得ました。
【BADANに関する考察及び知識】
このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
光成は司会役として脅されている。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。



【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:肉体疲労中(ニアデスハピネス換算で一発分のみ)、精神疲労極大、三村を殺したことから大分立ち直りました。衝撃によるダメージにより活動困難
[装備]:スーパー光線銃@スクライド、携帯電話、核鉄ニアデス・ハピネス@武装練金、クレイジー・ダイヤモンドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式(食料一食消費)、首輪、「ざわ……ざわ……」とかかれた紙@アカギ(裏面をメモ代わりにしている)、
    色々と記入された名簿、ノート数冊、ノートパソコン@BATTLE ROYALE
    ジャギのショットガン@北斗の拳(弾は装填されていない)、綾崎ハヤテ御用達ママチャリ@ハヤテのごとく(未開封)、
    ギーシュの造花@ゼロの使い魔、
    キュルケの杖、拡声器、 核鉄ソードサムライX@武装錬金、包帯・消毒薬等の治療薬、点滴用セット(十パック)
    病院内ロッカーの鍵(中に千切れた吉良の左手首あり)、才人のデイパック(内容は支給品一式、バヨネット×2@HELLSING、
     紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)未確認)
[思考・状況]

527決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:39:01 ID:.9W3guDE0
基本:首輪のトリック、事件の謎を解除する。三村や仲間達に恥じることの無い行動をする。
1:こいつら何者やろ?
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:三村をちゃんと埋葬してやりたい
4:範馬勇次郎以外の光成の旧知の人物を探り、情報を得たい。
5:自分自身にバトルロワイアル脱出の能力があると偽り、仲間を集める(一時的に保留)
6:第5回放送時に市役所で劉鳳を待つ。
[備考]
※劉鳳と情報交換を行い、シェリスの名前を知りました。
※劉鳳、コナン、神楽、ジョセフの事は全面的に信用しています。
※自分自身にバトルロワイアル脱出の特殊能力があると偽る策を考えています。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力は10人集まらないと発動しません。(現時点での服部設定)
※脱出作戦を行うかどうかは考え中。
※銀髪銀眼の人物が殺し合いに乗った事を知りました。
※コナンと二人で立てた仮説、「光成の他の主催者の可能性」「光成による反抗の呼びかけの可能性」「盗聴器を利用した光成への呼びかけの策」 等について
 は、まだ他の人間に話していません。又、話す機会を慎重にすべきとも考えています。
※スーパーエイジャが、「光を集めてレーザーとして発射する」 事に気づきました。
※三村信史の死ぬ直前の記憶を見ました。
※第四回放送の内容は劉鳳からの又聞きでしか記憶にありません。
※ハヤテとナギは一緒に死んだと推理しています。
※服部の持つ名簿には以下の内容が記載されています。
 名簿に青い丸印が付けられているのは、カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・
 ルイズ・防人・カズキ・斗貴子・タバサ・キュルケ・コナン・服部 ・灰原
 ハヤテ、かがみ、こなた、ナギ、鳴海、エレオノール、ヒナギク、覚悟
 赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード・散・村雨
 緑色の丸印+青色の丸印が付けられているのは、蝶野
※劉鳳、服部、コナン、神楽は吉良がスタンド使いということを知りました。

528決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:39:30 ID:.9W3guDE0
※ルイズをF-3の川岸に埋葬しました。折れた軍刀は墓標として刺してあり、キュルケの杖、拡声器は服部が所持しています。
※ルイズの最後の願いについてはまだ話し合っていません。
※アミバの持っていた支給品一式×3 (食料一食消費) は、F−2民家の中にあります。
※アミバの持っていたノートパソコンには、大東亜共和国謹製のOSが組み込まれています。
※事情は確認していませんが、村雨がどうも殺しをする気が無くなったらしいとは思っています
※コナンの死をその目で確認しました。又その犯人を勇次郎だと推理しています
※コナンの遺体があった場所で戦闘があり、そこから二人以上の殺し合いに乗っていない人間が逃げていると推理しています
※神社に居たはずの村雨がここに居る事から、劉鳳はどうしたのか気になっています
※ジョセフとの相互理解を深め、より信頼しあえる関係になりました



【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:左手骨折、全身重度の打撲、精神疲労大、体力消費極大、深い悲しみ、脇腹にダメージ大
[装備]:マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:七原秋也のギターをばらしたて出来た弦@BATTLE ROYALE、支給品一式×2、木刀正宗@ハヤテのごとく
[思考・状況]
基本:BADANとかいうボケ共を一発ぶん殴る。
1:こいつら、何者?
2:マップの端を見に行く。
3:一応赤石も探しとくか……無いと思うけど。
4:第5回放送時に市役所で劉鳳を待つ。

[備考]
※劉鳳と服部の名簿に、追加事項を書き込むときに、今まで丸を付けられた人物を覚えました。
 二人から得た情報は今のところそれくらいです。スーパーエイジャの存在などは聞いていません。
※ハヤテ+零が出合った人間のうち、生き残っている人物及び知り合いの情報を得ました。

529決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:39:57 ID:.9W3guDE0
 (こなた、パピヨン、ナギ、鳴海、エレオノール、ヒナギク、覚悟)
※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。
※吉良の名前に何か引っかかっているようです。
※水を使うことで、波紋探知が可能です。
※三村の留守電を聞き逃しました。
※主催者の目的は強者を決めることであり、その中にはイレギュラーもいると考えています。
※少なくともかがみとは別の時代の人間であるということを認識しました。
※波紋の力を使うことで対象のディスクを頭部を傷つけることなく強制排出することができます。
 ただし、かなりの集中力を要求します。
※マジシャンズ・レッドの火力は使用者の集中力によって比例します。
 鉄を溶かすほどの高温の炎の使用は強い集中力を要します。
 火力センサーは使用可能ですが精神力を大きく消耗します
 また、ジョセフのマジシャンズ・レッドは通常の炎の威力の調節が極端に難しい状態です。
 ただし、対象に直接マジシャンズ・レッドの手を当てて炎を出した場合に限り調節が可能です。
 修練をすれば通常の炎の精度が上がる可能性があります。
※S7駅がかなり脆くなっていることを発見しました。
※ジョセフとハヤテの約束。
 ハヤテはナギと会った後、ジョセフは仲間を募った後、必ず11時30分にS1駅に集合。
 その後、かがみ救出のために神社へ攻め込む。
※絶影をスタンドだと思っています。
※第四回放送は劉鳳からの又聞きでしか記憶にありません。
※以下のBADANに対する考察を服部と劉鳳に伝えました。
※事情は確認していませんが、村雨がどうも殺しをする気が無くなったらしいとは思っています
※弓を持った女(エレオノール)は殺し合いには乗っていないと考えています
※コナンの死を確認しました。又その犯人は勇次郎だという服部の推理を聞きました
※服部との相互理解を深め、より信頼しあえる関係になりました
※服部の時のような誤解による失敗を二度とすまいと考えています

530決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:40:21 ID:.9W3guDE0



【ジョジョとハヤテのBADANに関する考察及び知識】
このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。



【才賀エレオノール@からくりサーカス】
[状態]:疲労大 全身に火傷
[装備]:エンゼル御前@武装錬金、あるるかん(白金)@からくりサーカス(頭部半壊、胸部、腹部に大きな損傷、全身にへこみと損傷あり)
[道具]:青汁DX@武装錬金、ピエロの衣装@からくりサーカス、支給品一式、生命の水(アクア・ウィタエ)
[思考・状況]
基本:主催者を倒す。
1:この場に集った者達と協力したいと思う
2:ケンシロウ、エンゼル御前と共に、独歩を救いに向かう。
3:夢で見たギイたちの言葉を信じ、魂を閉じ込める器を破壊する。
4:ナギの遺志を継いで、殺し合いを潰す。
5:一人でも多く救う。

531決戦(修正) ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:40:45 ID:.9W3guDE0
[備考]
※ジグマールと情報交換をしました。
※参戦時期は1巻。才賀勝と出会う前です。
※夢の内容はハッキリと覚えていますが、あまり意識していません。
※エレオノールが着ている服は原作42巻の表紙のものと同じです。
※ギイと鳴海の関係に疑問を感じています。
※フランシーヌの記憶を断片的に取得しています。
※「願いを叶える権利」は嘘だと思っています。
※制限についての知識を得ましたが、細かいことはどうでもいいと思っています。
※自転車@現実は消防署前に落ちています。
※才賀勝、三千院ナギの血液が溶けた生命の水を飲みました。2人の記憶を取得した可能性があります。
 が、断片的かもしれないし、取得していないかもしれません。
 才賀正二の剣術や分解などの技術は受け継いでいません。
※エンゼル御前は使用者から十メートル以上離れられません。 それ以上離れると核鉄に戻ります。
※川田と情報交換をしました。
※ヒナギクがナギの知人であると知り、落ち込んでいます

532 ◆1qmjaShGfE:2008/05/11(日) 00:41:31 ID:.9W3guDE0
以上です。修正部分が多くなってしまい申し訳ありません

533本スレpart16 >>234修正 ◆hqLsjDR84w:2008/05/24(土) 00:01:50 ID:D54fO0yI0

 仕事場に戻ると、部下達は大いに驚いていた。
 中でも私を慕ってくれている三井君と牧村君には、泣かれてしまった。
 確かに、暗闇大使に連れて行かれたのだ。
 それは、私が生きて帰ってくるとは思わなかったことだろう。
 私だって、あの時は殺されると思っていた。
 仕事に戻ろうとしたが、三井君と牧村君に『体を休めてくれ』と嘆願された。
 命は残っているものの、何か拷問でもやられたとでも思っているのだろう
 あの剣幕の暗闇大使を見ているのだから、仕方がない。
 それでも仕事場に残ろうかとも考えたが、『普段通り』の私を演じねばならないことを思い出し、お言葉に甘えさせてもらうことにした。
 そして今、私は自室に来ている。

 後頭部が疼く。
 目視できないが、手で触ることにより理解する。
 己の身に、何かしらの異変が起こっていることを。
 もう、私はBADANから逃れることは出来ない。
 そんなこと、ずっと前から分かっていたさ。
 今更逃げるなど許されないほどのことをしていた。もはや、逃げる気はない。
 しかし、ずっとBADANに尻尾を振って生き長らえていく気もない。
 自殺も考えた。
 現在――いや、バトル・ロワイアル開催を決定した頃から、BADANの砦内部には殆ど監視カメラも盗聴器もない。それを確認する人員が足りないからだ。
 だから、命を捨てようと思えば、いつだって捨てれた。

 されど、それは『逃げ』だ。
 己の罪を償うことを放棄し、死後の世界へと旅立つ。それは、『逃げ』にすぎない。

534本スレpart16 >>257修正 ◆hqLsjDR84w:2008/05/24(土) 00:02:25 ID:D54fO0yI0



 ◇ ◇ ◇



 『生まれたもの』の気配のする方向へと辿り着いた。
 そこは、やはり唯一現在外から光が漏れてくるであろう場所だった。

 ――怪人収容所NO.4

 全部で八つあるという怪人の収容所の内の一つ。
 八つのうちNO.1からNO.4にはコマンドロイドとやらが、NO.5からNO.8には再生怪人とやらが収容されているらしいが、違いは教えてもらっていない。
 怪人を収容しているのにもかかわらず、監視カメラも盗聴器も設置されていない。
 それをチェックする人員がいないからだ。
 だから六時間に一回だけ、人間の構成員が異変が無いかを確認しに来るのだ。
 おそらく、ちょうど今回その当番だったのが、先程の電話の男だろう。
 収容所には、一部屋につき五十ほどの怪人がいるらしい。
 三十六に至るには、あまりに十分すぎる。
 扉を開ければ、周囲はくすんだ緑色。
 よく見れば、それは枯れた植物。
 何か違和感を感じる。あんな植物があっただろうか?
 かなり広い部屋――怪人共が五十人も収容されているのだから当然か――なのに、内部はほぼ全面が植物。
 湿気が強く、そこはまるで熱帯雨林のようだ。
 ガチッ。
 木に触れないように歩いていたのに、足元に異変を感じる。
 同時に響いた音から、何かを踏んだと判断する。
 足をあげるとやはりというべきか何というべきか、それまで右足を置いていた場所に見るも無残なまでに潰された携帯電話が落ちていた。

 ――もしや、これは先程電話をかけてきた構成員の……

535本スレpart16 >>271修正 ◆hqLsjDR84w:2008/05/24(土) 00:02:48 ID:D54fO0yI0



【マップ外/BADANの砦内の自室 二日目/早朝(放送直前)】
【エンリコ・プッチ@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]骨を蘇らせた際に右掌に怪我、微植物化、強い決意
[装備]リンプ・ビズキットのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]死神13のDISC@ジョジョの奇妙な冒険、BADANより支給された携帯電話
[思考・状況]
基本:天国に行く。
1:放送が終わり、頃合を見計らって、トイレの『生まれたもの』を確認しにいく。
2:『生まれたもの』が動き出せば、承太郎の記憶より知った『支配』する方法をためす。
3:1と2の為に、暗闇大使を遠ざける。とりあえず再生怪人収容所NO.4のことを話し、何とかしてそこに行かせる。
4:暗闇大使に首輪を起爆されるのは、避けねばならない。なんとかして解除を。
5:ジョセフ・ジョースターよ、私を押し上げてくれ。
[備考]
※首輪をつけています。
※空条承太郎の記憶DISCは、既に確認した後です。
※暗闇大使とプッチの部屋の近くのトイレのロッカーに、『生まれたもの』を隠しました。



【怪人収容所について】
※BADANの砦内に、NO.1からNO,8まで八つ存在します。
※NO.1からNO.4にはコマンドロイドが、NO.5からNO.8には再生怪人が、収容所一つにつき内部に五十体ほどずつ収容されています。。
※監視カメラや盗聴器の類は一切設置されておらず、六時間に一回人間のBADAN構成員が異変が無いかチェックに行きます。
※収容所NO.4内にいたコマンドロイドと構成員の魂は、『回収』されました。
※一体どのようなモノが、再生怪人と呼ばれて収容されているのかは、後続の書き手さん達にお任せします。

536 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 21:40:06 ID:sZ1xo0BQ0
また、先程の三人と一つの鎧程に、素直に喜びを見せないが、賛辞の言葉を送る二人組みもその場に居た。
それは偶然、この場で居合わせたジョセフ・ジョースターと服部平次の二人。
そんな二人の態度に村雨は無言で応え、僅かな安堵感を覚える。
彼らが自分に抱いていた印象は最悪なものと予想出来、拒絶される事も可笑しくないと考えていたからだ。
村雨にかがみを無理やり誘拐された覚えを持つジョセフ、そして信頼すべき仲間――劉鳳から平賀才人を殺した男と聞かされていた服部。
実際、彼ら二人はそれぞれ直接的に、間接的に村雨の事を知っており、ハッキリいって印象は良くなかった。
だが、それでも村雨の行為を認めないわけにもいかず、二人は賛辞の言葉を送る。
そう。あれ程までにも闘い抜いた村雨に対し、そんな態度を取れる程、二人は非情でもないから。

(……ん?)

そんな時、村雨は視界の片隅に一人の少女を見つけた。
腰の高さまで伸びた紫色の長い髪をし、無残にも片腕を失くしてしまった少女。
最初の出会いは最悪で、いくら謝っても許してもらえなくても可笑しくはない。
だが、そんな自分を許し、いつも自分が失われそう時に傍に居てくれた大切な存在。
柊かがみが村雨の方をジッと見つめているのを、村雨は確かに確認した。


(うぅぅ、なんで……なんで何も言えないのよ、私は……)

自分の周りが次々と村雨に賛辞を送っている中、かがみは未だ一言も口に出していなかった。
それは一体何故か。
勿論、かがみが村雨を心配していなかったわけもなく、それどころかこの場に居る中で誰よりも心配していただろう。
必死に村雨の勝利を祈りつづけたかがみ。
そのため、ボロボロになりながらも勝利を収め、村雨が無事であった事に対しかがみの喜びは最高潮まで昇りつめたともいえる。
しかし、かがみは一向に村雨に掛けるべき言葉が見つけられなかった。

(だって……直ぐには思いつかないじゃない……)

『お疲れ様!』、『身体は大丈夫?』、『カッコよかったよ!』。
村雨にぶつけたい言葉は幾らでもある。
だが、何かが足りない。
それだけでは村雨にこの膨れ上がる想いを伝えきれない。
かがみにはどうしても、そんな安っぽい言葉では満足できない。
もっと、もっと的確に村雨に伝わる言葉が必要――そんなコトをかがみは考え続けていた。

「ほらかがみ、ボサッとしてないで行って来なさいよ」
「え!? ちょ!ちょっとヒナギク!!」

そんな時、かがみはふいに強烈な力で背中を押される。
その犯人は妖しげな笑みを見せるかがみの友人――ヒナギク。
ヒナギクが浮かべる表情にはかがみを気遣う気持ち、そして何か面白がるような気持ちが半分ずつ居合わせているような気がかがみにはしてならなかった。
ヒナギクの謀略により、かがみはよろめきながらも他の皆より前に立つ事になる。
そして、体勢がようやく安定したかがみはキッとヒナギクの方を振り返った。
其処には少し憎たらし笑顔を浮かべながら、右の手でピースサインを送るヒナギクの姿が映る。

(もう、ヒナギクったら……でも、ありがとね……)

ヒナギクの意図をなんとなく理解し、かがみは心の中で彼女に対しお礼の言葉を送る。
何故なら、ヒナギクは自分に対し文字通り背中を押してくれたとかがみは思ったから。
そう。二重の意味で背中を押してくれたヒナギクにかがみは少し、控えめな笑顔で返す。
そして、かがみは急速に顔を回し、真っ直ぐ前を見据えた。
かがみの視界に入ったものは、彼女が急に振り向いた事で少し驚いたような表情を見せる村雨。
自分よりも年上の癖に何故だか年下のような――弟のような印象を漂わせる村雨にかがみは少し可笑しさを覚える。
そして、かがみは一歩ずつ村雨の方へ進み、数歩を歩み終わったところで――全力で走り出した。

537 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 21:43:23 ID:sZ1xo0BQ0
「ッ! かがみ!?」


ふいに村雨の方へ飛び込むように駆け出し、地を蹴り飛ばしたかがみ。
村雨は先程よりも大きな驚きを見せながら、自分に飛び込んでくるかがみをなんとか受け止めた。
かがみの両肩に手を置きながら、彼女を地に優しく立たせ、村雨は視線を合わせる。
受け止める事が間に合わず、もしかすればかがみの身体は地面に叩きつけられたかもしれない。
そのためかがみに対し何故、こんな事をしたのか村雨は問いかけようと口を開きかける。
しかし村雨の口が開くよりも先に動くものがあった。


「村雨さん……村雨さん、村雨さん……!」


動いたものはかがみの片腕。
必死に村雨の胸に当たる衣服を握り締め、かがみが何度も何度も村雨の名前を繰り返す。
やがて、地面に落ちる煌く雫。
それはかがみの溢れ出る感情が具現化したもの。
そう。かがみの両目から零れ落ちた涙が地面をほんの少しだけ濡らし始める。
何故か村雨は只、無言で見つめ続ける事しか出来ない
自分の胸に顔を押し付け、泣き出したかがみを。

(もう泣かないって決めたのに……でも、それでも……!)

どうしようもなく涙が止まらない自分をかがみは心の中で恨む。
ヒナギク程運動神経も良くなく、何も力は持っていない自分はせめて涙は見せずに、自分が出来る事を頑張ろう。
数時間前、そう決意したのに今の自分はこんなにも涙を流し、決意が全く意味をなしていない。
だが、かがみは今だけはどうしても涙を流す事を我慢できなかった。
何故なら、かがみには絶対に村雨に伝えたい事があるから。
かがみの意志に応えるかのように、自然と村雨の衣服を握る彼女の手に更に力が掛かる。
村雨に自分の想いを知ってもらうために、かがみは彼の顔を見上げた。


「ありがとう……無事でいてくれて……本当にありがとう、村雨さん……」


かがみが震えながら呟いた言葉。
それは村雨の勝利を称えるものではなく、自分の寂しさを訴えるものではない。
只、ひとえに村雨の身を案じた言葉をかがみは涙でボロボロになった顔で口にする。
今まで自分のせいで、自分が何も出来なかったせいで多くの仲間を失くして来たかがみ。
そんなかがみは何よりも先ず、村雨が朽ち果てなかった事に安堵し、その反動で涙が止まらなかった。
今もかがみは肩で呼吸するかのように、両肩を震わせ喜びの涙を流し続ける。

(村雨さん……あったかい……)

そう。かがみに悩むべき事など何も無かった。
情熱的な言葉も要らない。
只、こうして感じるだけで良かったから。
生きてくれた村雨の身体の暖かさを感じるだけで――良かった。
たったそれだけで――かがみは満足出来た。
村雨の無事をその小さな身体で一身に感じ取る事で。
今の自分の姿を見れば、はしたない女だとか、軽々しい女だと評する人も中にはいるかもしれない。
けど、それでも別に構いはしない。
今感じている喜びを――村雨の暖かさを決して手放したくはなかったから。


「かがみ……」

かがみの予想外の言葉、そして彼女の涙の意味をおぼろげながらに理解した村雨。
一巡の間を置き、やがて村雨は意を決したかのように村雨は力を込めた。
両腕をかがみの背中へ回し、彼女の身体を自分の方に寄せるようにひっしりと抱きしめる。
強化改造を受けた腕でかがみの背中を折らないように加減し、だがそれでいてありったけの想いをその腕に注ぐ。
初めて守り通せた存在――柊かがみを村雨は彼女と同じよう身体全身で感じ取る。

『――ん!』
『む――、か――』

周囲からは何か冷やかしのような声が村雨とかがみには聞こえた。
だが、彼らはそれらの声を無視し、互いに身を預けながらその場に立ち尽くす。
まるで二人だけ、時の流れが止まった世界に迷い込んだ住人のように。

「なぁ……ジョセフはん、村雨はんのコトやけど……。
どうやらもう、俺らがとやかく言うコトはなさそうと思わんか?」
「ああ、イマイチ何があったかよくわかんねーが……そうみたいだな」

538 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 21:46:16 ID:sZ1xo0BQ0
服部とジョセフが互いに肩透かしを食らったような表情で村雨とかがみを見つめる。
だが、その表情には落胆の色などない。
彼ら二人の表情に映るもの。
それは敵だと思っていた人間が実は心強い味方であったという事実に対する安堵感。
驚きが混じるといえども、其処には確かな『喜び』があった。


「ハァー……熱々だなぁ、あいつら。けど、凄かったなぁ、あの村雨ってヤツ!
カズキンと同じくらい強ぇーや!
よかったなぁ、エレノン! あいつらと仲間になれて!」

そんな時、口を開くものが一つ。
それは武装錬金によって生まれ、変てこな羽を生やした不細工な自動人形――エンゼル御前。
先程、目撃した村雨の闘いを彼が知る中で最強の男――武藤カズキと同じようだと評する。
そして御前は嬉しそうに飛び跳ねながら、自分の仮初の主に話を振る。
そう。その人物こそ、御前を肩に乗せた銀髪の女性。
才賀エレオノールという名前を授かった一人の“しろがね”(人形破壊者)であり――

「ええ、そうですね……御前……」

どこか寂しげな表情を浮かべた女性であった。
自分から村雨とかがみを含める他の七人から距離感を取っている感じを漂わせる。
エレオノールの瞳に、何か迷いのような感情がある事に御前は気づけてはいない。

◇  ◆  ◇

「オーケー、オーケー! そういうコトだったか……それなら納得だぜ」
「じゃあ、村雨さんを信じてくれる、ジョジョ!?」
「信じるもクソもないぜ、かがみ〜ん。
あいつがもう、殺し合いに乗るようなヤツじゃねぇコトがわかったからな。
それにそんなコトしたら、僕ちゃんあの怖いお姉さんに殺されちゃうぜ〜」

様々な商店が立ち並ぶ繁華街。
彼ら七人は傷ついた身体を癒すために、取り敢えず休憩できる場所へ移動する事に決めた。
そのため、距離的に近かった事もあり、繁華街をうろついてた八人は偶然ホテルを見つける事が出来た。
エリアD-8にあったホテルに較べれば小さいが、それでも繁華街に建設してあるだけあって規模はかなり大きい。
直ぐにホテルに入り、二階の団体様用の部屋に入り、八人はその場で一時休憩を行い始めた。
負傷が大きい村雨と覚悟は周りからベッドに寝る事を進められ、ジョセフは我先にベッドに横になり、他の者はその場で適当に場所を取っている。
そして、かがみがジョセフに今までの経緯を話し、村雨の誤解を解いていたという事だ。

「だ・れ・が怖いお姉さんですって〜〜〜!」
「Oh! これがいわゆるなんとかの逆鱗に触れちまったぜ!ってヤツだな!!
服部〜〜〜Help me〜〜〜〜〜〜」
「ハァ? いやいやいや俺に振んなや! って姉ちゃん、核鉄はアカン! それはシャレにならへんって!!」
「ち!ちょっとあんた達、静かに……」
「わはははは、いいぞ。もっとやれや」

かがみの必死の説明、そして先程のかがみの行動を見て、ジョセフは彼を信用した。
そう。今は小さな寝息を立てながら、身体を休めている内の一人、村雨の事を。
だが、そう思いや否やジョセフはヒナギクをからかい、あまつさえ服部までも巻き込む。
また、今のヒナギクは独歩が持っていた制服――かがみが通っていた学校の制服を着ているので、決して半裸ではない。
直ぐ傍では村雨と覚悟が寝ているためにかがみがその場を仲裁しようと立ち回り、独歩が面白半分に煽る。
また、数十分前に激闘を潜り抜けてきたとは思えない程、彼らの表情は明るい。
計り知れない程の緊張状態から開放された事により、無意識的に彼らはリラックスしているのだろう。

539 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 21:48:03 ID:sZ1xo0BQ0
「ちょっと! これって確か伊澄さんの家の木刀じゃない!」
「あ〜? まぁ俺は別に使わねーから、くれてやってもいいぜ〜」
「そう、じゃあ有難くもらっておくわ。どうもありがとう!」

そして、彼らは互いの支給品を見せあい、交換していた。
様々な人間をこの場に集めた事から主催者であるBADANの組織は強大であり、その戦力も大きいと予想できる。
そのために、互いに使い慣れそうな武器やその場の状況に適した装備を交換しておこうという話になっていたからだ。
この殺し合いに呼ばれる前に確かに持っていた正宗をジョセフから譲り受けたヒナギク。
木刀を手に取り、ヒナギクは純粋に喜びを見せる。

「全く子供みてぇに喜ぶヤツだなー。
もっと、俺のようにクールにいこうぜ、クールによー……って!おい、おっさん!これ赤石じゃねぇか!!
頼む!これは俺に譲ってくれ〜〜〜」
「あぁん? まぁ俺も使わねぇから、いいぜ」
「お!サンキュー! 恩にきるぜ! もう返せって言っても遅せぇからな!
ぜってぇに返さねぇぜ〜〜〜〜〜〜」
「ジョセフはん……全然説得力ないで……」

そんなヒナギクをからかうジョセフだが、独歩が持っていたエイジャの赤石を見て、直ぐに態度を変える。
少し眼を離せばコロコロと表情や言動を変えるジョセフ・ジョースター。
この殺し合いの場でも、彼の個性は健在である事も言うまでもない。

「けど……三村がそんなコトになったなんて……」

だが、そんな時、ふとかがみが思いつめたように口を開く。
先程、村雨と自分の事をジョセフに話した時、かがみは同時に彼の話を少しながら聞いた。
そして、ジョセフは真っ先にかがみに話した。
以前、一緒に行動していた仲間――三村信二が抱いてしまった誤解、そして最期の事を。
一度衝突した事もあったがその事が誤解と判り、ヒナギクの表情も暗くなり始める。

「あいつに何も出来なかった俺は本当に情けねぇぜ……。
だがな、かがみ。俺達にはシンジに謝るよりも先にやるコトがある。
なぁ、そうだろう? てめぇはそれをやり遂げるって決めたんだよなぁ?」

ジョセフが先程とは打って変わって、真剣な表情で言葉を漏らす。
そこに浮かんでいる表情は誇り高きジョスター家の正統な血族のもの。
只の陽気な遊び人としてではなく、波紋の戦士、ジョセフ・ジョースターとしての顔が浮かぶ。
その頼りがいのあるジョセフの表情にかがみはなにか懐かしさのようなものを覚えた。
そして、ジョセフは視線を動かし、問いかける。
彼が口にした名前を持つ男――三村と深い因縁を持つ男に対して。

「ああ……勿論や。
今更、俺が何をゆーても、言い逃れはできん。俺がやった罪は消されへん。
俺が三村信二を殺してしもうた事実は……!
せやったら……許されるなら……やるしかないやろ。
俺は三村の分までこのけったいな殺し合いの謎を解決したる……絶対にや、絶対にやってやるで!」

そう。その人物こそ服部平次。
以前、焦りのあまり判断を誤らせ、三村の命を奪ってしまった男。
そして、真実を知り、一時はかがみや三村のように我を見失い、暴走してしまった男が口を開く。
だが、服部は誓った。
身を挺して自分を助けてくれた劉鳳とジョセフと共にこの殺し合いを潰す。
この世界で知り合い、今は散ってしまった仲間達――タバサ、キャプテン・ブラボー、アミバの意思を、信念を無駄にしないためにも。
だから服部は進み続ける事を諦めない。
服部が浮かべる表情はジョセフとは違う。
だが、その表情は大きな意思を感じさせる程の様子を漂わせる。
そんな服部を見てジョセフは満足げに頷き、ほんの少し遅れながらもかがみも大きく頷く。

「おうおう、でけぇコト言ってくれるじゃねぇかぁ。
まぁ、俺らが居るから大船に乗ったつもり構わねぇぜ!
けどよ、それよりも俺には気になるコトがあってな……」

ジョセフやかがみと同じように頷いた独歩とヒナギクの内、独歩が口を開く。
独歩が向ける視線の先には服部の顔がある。
だが、その視線は除々に動き、対象がずれ始めていく。

540 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 21:49:27 ID:sZ1xo0BQ0
「ああ、私にも是非知りたい事がある」
「俺にもだ……」
「か、覚悟君! それに村雨さんも身体、大丈夫なの!?」

そんな時、今まで眠っていた覚悟と村雨がムクリと起き上がる。
幾ら強靭な肉体を持っていようと、先程の激戦で多くの傷を負った二人。
二人の身体を心配し、逸早くヒナギクが慌てながら声を掛ける。

「未だ完全とはいえないが、会話と歩行が可能なくらいには回復した。それに零が今でも治療を行ってくれている。
問題はない」
「俺もそのくらいは大丈夫だ。ハヤテの核鉄もあるからな」
「あー……そうね……貴方達の体力を忘れてたわ……」

覚悟には強化外骨格『零』、村雨にはハヤテから託された核鉄の治癒力がある。
更に元々人並みはずれた身体を持っている覚悟と村雨の二人。
ベッドからそれなりに回復した身体を起こし、二人は揃って無骨な表情を浮かべ、口を開く。
そして二人が向ける視線の先はやがて独歩のそれと一点で交わった。
彼らの視線の先を、ヒナギク、かがみ、ジョセフ、服部の四人が追いかける。
そう。計八つとなった視線の向かう先には――

「わかりました、全てをお話します……。
私が行ってきたコト……私が犯した罪を……」

彼らから距離を置くように、部屋の片隅で正座をした銀髪の女性。
其処には自分を突き刺すように降り注ぐ視線に負けぬように、必死に頭を上げながら口を開く才賀エレオノールの姿があった。

◇  ◆  ◇

「――以上です……」

ホテルの一室でエレオノールの言葉が彼女の話の終わりを告げる。
数分間――いや、数十分間程かもしれない。
エレオノールが時々、言葉を詰まらせながらも全てを話し終えた。
しかし、エレオノールの話が終わったというのに誰一人として口を開く者は居ない。
最初にエレオノールに対し視線を向けた独歩ですらもだ。
エレオノール以外の者は口を固く一文字に閉じ、言葉を出そうとしない。
その現状にエレオノールは寂しさを覚えるも、何故かそれが当然とも思え始めた。

(きっと、呆気に取られているんですね……。
私がやったコト……私がやってしまったコトを……)

エレオノールがこの殺し合いで行った事。
何度もこの殺し合いに対する方針を変更し、二人の少女――キュルケと三千院ナギを殺害し、度重なる交戦を行った。
特に、たった今エレオノールを睨みつけている独歩とは計三回も闘い、深い因縁がある。
たとえ、ケンシロウに救われたといえども独歩が易々と許してくれるはずもない。
そう。そんな事はエレオノールにはわかりきっていた。
自分がこの場に居るべきではない。
この素晴らしき絆で結ばれた彼らの輪に入るべきではない存在。
血の海にドップリと沈み、鮮血で染まりきった自分は間違いなく不協和音になる。
先程、互いに抱き合い、無事を喜び合った村雨とかがみを繋ぐよう絆は自分には誰とも結べない。
しかし、もし万が一自分が彼らの輪に入り、共に闘う事が出来れば。
そう考えるだけでエレオノールは嬉しさで涙が流せそうな心地さえもしてくる。

(けど、そんなコトは所詮、夢物語……彼らが私を信用する可能性は殆どない……
私が今までやってきたコトを考えれば不自然ではありません……)

しかし、それは難しいだろう。
以前、ケンシロウに助けてもらい、仲間として闘う事を許して貰えた事は奇跡に近かった。
先程、エレオノールはケンシロウとの交流、そして彼の最期まで独歩達に対し詳細に説明したが、彼女の話を彼らが信用しているかはわからない。
以前、独歩はエレオノールに何度も虚偽をつかれ、奇襲を受けていたからだ。
恐らく、独歩は自分の事は仲間に伝えているとエレオノールは確信し、実際彼は彼女を危険人物として伝え終えている。
もしかすれば自分の話は嘘で、ケンシロウを殺した犯人だと思われているかもしれない。
依然続く沈黙の中で、自分が置かれた現実――自分がしでかした事を今一度、一人見つめ直すエレオノール。
そこから湧き上がる感情には、後悔の二文字しかない。

541 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 21:51:29 ID:sZ1xo0BQ0
(やはり私には……高すぎた林檎だったようですね…………)

許して貰えない事は元々、無理だと思っていた。
しかし、その事でエレオノールに彼らを責める事は出来ない、出来るわけがない。
何故だが、気を緩めれば今にも涙が溢れ出そうな感情にエレオノールは襲われる。
その感情を必死に抑え、エレオノールは立ち上がろうとする。
もう二度と、彼らに迷惑は掛けずに自分ひとりでこの殺し合いを潰すために。
そんな時だ。
エレオノールに両耳に聞き慣れた、何かが開いていくような音が聞こえ――


「おい!お前ら!! エレノンのコトを無視すんじゃねぇー!!
エレノンはなぁ……エレノンはなぁ……もう、あの時のエレノンじゃねぇんだぞッ!!」


エレオノールに対し仲間と言ってくれた不細工な自動人形。
エレオノールは武装連金を発動していないのに、何故かエンゼル御前が彼女の目の前で叫びながら飛んでいた。


「御前、落ち着いて――」
「確かにエレノンはナギリンを殺しちゃったさ……ケンがエレノンはキュルケっていう人も殺したって言ってた……。
けど……それでも……」

御前を落ち着かせようとエレオノールは彼に手を伸ばす。
しかし、御前はエレオノールの手を器用に逃げ、言葉を続ける。
御前のいきなりな登場に少し驚いた表情を浮かべている独歩を始めとした、七人は只耳を傾け続ける。

「エレノンは変わったんだ! 今ではもう、絶対にエレノンはあんなコトはしない!
エレノンはケンに救われて、ナギリンのためにもたたかう……いや、生きる決心をしたんだ!
俺はエレノンを信じる! 信じられないわけがない……あんなにいい笑顔をしたエレノンが二度と人殺しはしないコトを!!
だから――」

御前は知っている。
自分を人形と思い込み、悲しみに暮れながらケンシロウと闘ったエレオノールの気持ちを。
当時はナギを殺したエレオノールに反抗心を抱いていたが、御前は次第にエレオノールに心を開き、遂には仲間として認めた。
それはきっと、ナギが最期までエレオノールを救うために闘った事も関係していたかもしれない。
しかし、やはり御前の心を動かした決定的な要因はエレオノールの心だろう。
一度仮死状態となり、キュルケ、ナギ、ギイ、そして才賀勝との一時の交流を経て変わった彼女の心。

「エレノンを信じてくれ、皆!
エレノンを信じて、死んじゃったあいつらの気持ちを無駄にしないためにも……エレノンを一人の仲間として認めて欲しいんだ!!」

両の拳を固く握り締め、独歩達を懸命に睨みつける御前。
震えながらも、御前が浮かべるその表情には意思の強さが垣間見える。
何故なら、御前には引き下がるわけにはいかないから。
自分が一人の人間であると気づく事が出来たエレオノール。
自分が一緒に闘う事は勿論だが、彼女に孤独な闘いはさせたくはない。
そのため、御前は出来るだけ力強く独歩達に懇願する。

「御前、いい加減に……」

理由はわからないが、強制発動したエンゼル御前をエレオノールは武装解除しようとする。
勿論、御前の発言が気に食わなかったわけでもなく、寧ろエレオノールは嬉しかった。
こんな自分のために必死になってくれる御前の言葉がまるで癒しを与えてくれるように。
だが、御前の話はあくまでも此方側の都合だけの話。
自分を弁護してくれる事に嬉しいと感じるのは当然だが、それでは都合が良すぎる。
そう。今更、自分がこれから人殺しをしないと言っても、それを信じてくれるのは彼ら次第なのだから。
エレオノールが武装解除をしかけた時、一人の人物が立ち上がり、彼女の前へ歩み立った。

「あなたは……」

眼をカッと見開き、驚いたように目の前の人物を見上げるエレオノール。
その人物はエレオノールが知っている人物にとても馴染み深い人物――

「エレオノールさんだっけ? ちょっと質問させて貰ってもいいかしら……?」

そう。桂ヒナギクがエレオノールを見下ろすよう立っていた。

542 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 21:52:46 ID:sZ1xo0BQ0
「はい、どうぞ……」
「あなたはもう人は殺さないって言ってるけど、それ本当?
本気でそう誓える?」
「なっ! てめぇー! 俺がさっきから言ってる――」

エレオノールに問いかけるヒナギク。
その内容はエレオノールの真意を尋ねるもの。
だが、未だエレオノールを疑っているらしいヒナギクに、御前は憤りを感じられずにはいられない。
御前は両腕を振り回し、大声を上げながらヒナギクに抗議の意を示す。


「あんたは黙ってなさい!! 私はエレオノールさんに聞いてるの!
そう……私はエレオノールさんの言葉が知りたいのよッ!!」


だが、女子高生と思えない程の迫力を伴ったヒナギクの大声が御前に降り注ぐ。
ヒナギクのあまりの勢いに驚き、御前は泣きべそをかきながらエレオノールの肩にすごすごと降り立つ。
そんな御前からは直ぐに眼を離し、ヒナギクはエレオノールをキッと見つめる。
横目で御前を心配そうに眺めていたエレオノールはヒナギクの視線に気づき、直ぐに真剣な表情を浮かべ始める。

「はい、私は……もう二度と、この手を血に染めさせません。
あの主催者達との闘い以外では……」
「そう……なるほどね……」

互いに言葉を交わすエレオノールとヒナギク。
二人が浮かべる表情には一片の笑みなどない。
只、相手の真意を探る――いや、理解するために互いの視線を交差させる。
やがて、ヒナギクが再び口を開く。

「絶対に誓える?」
「絶対です!」
「本当に?」
「もう迷いはありません!」
「本当の本当に!?」
「ええ、絶対に絶対に!」
「最期に聞くけど、本当に間違いはないわね!?」
「はい! 間違いなど……もう、ありません! あってはいけないのです!」
「だったら――」

短い言葉で何度も何度も問いかけるヒナギク。
対して、エレオノールは一度も嫌な顔はせずに、肯定し続ける。
まるでヒナギクの連続した質問を既に聞いていたように、流暢に答えながら。
やがて、ヒナギクが再び口を開く。


「私は貴方を仲間として認めるわ。
ううん、私だけじゃない、皆も認めてくれる……共にBADANを倒すために闘うコトを、背中を預けるコトを」


視線を逸らさず、真っ直ぐエレオノールを射抜くように言葉を吐き出すヒナギク。
ヒナギクが言った言葉はエレオノールを受け入れる内容を含むもの。
生前、ナギが扱っていたというエンゼル御前はどう考えても、エレオノールに脅されているようには見えなかった。
更に、先程の闘いではエレオノールは自らの身を守るために、最小限の攻撃しかしなかったとい事実。
それらの事を考え、ヒナギクは道を選んだ。
それはエレオールを信じるという名の道。
エレオノールはヒナギクの言葉に驚いた様子を見せながら、食い入るように彼女を見つめる。
周りを見渡せば他の六人も、独歩ですらも頷き、エレオノールの次の行動を待っているかのような表情を浮かべている。

「お前ら、わかってくれたか……ぐす……」

エレオノールの肩の上で御前が喜びのあまり、涙を流す。
その御前の様子を見て、エレオノールはまるで彼が自分の感情を代弁してくれたように見えた。
実際、エレオノールも御前と同じように涙を流す程の嬉しさが込み上げてきたから。
けど、エレオノールはなかなか言葉を返そうとはしない。
いや、厳密に言うとどうしても口を開く事が出来なかった。

(けど私は……未だ彼らに何も償いを終えていない……私がこのまま彼らの輪に入るなんて……そんな都合の良いコトが……)

当然、心の奥底では今すぐにでも言葉を返し、共に闘いたいという気持ちはあるが、このままではいけないと小さな感情が邪魔をする。
相反した考えに基づく矛盾した感情にエレオノールは苦しむ。
そんなエレオノールの様子を見て、再び動くものが一つ。
そう、言うまでもなく、それは――

543 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 21:53:54 ID:sZ1xo0BQ0
「どうしたのよ、エレオノールさん!
あなたがしたコト……ナギやキュルケって人を殺したコトは決して許されないと思うわ……!
けど! だからといって貴方は何もしても意味がないわけじゃない!
寧ろ、貴方は行動しなきゃいけないの!
いつまでも自分の失敗に囚われるくらいなら……そんな余裕があるなら……次に自分に何が出来るかを探しなさい!
エレオノールさん、貴方ナギ達のためにも頑張るんでしょう?
だったら今……エレオノールさんがやるコトは一つよ!」

ヒナギクが拳を握り締めながら、豪語する。
この殺し合いに呼ばれる前は高い所が苦手な事を除けば特に欠点はなく、大抵の事はやり遂げる事は出来たヒナギク。
だが、この殺し合いで自分の無力さを嫌という程知り、挫折しかけた事は何度もあった。
しかし、その度にヒナギクは助けられ、此処まで生き残る事が出来たといえる。
そう。いつもヒナギクを助けてくれたもの。

(ナギ……これで良いのよね?
私は……私はこれが正しいと信じる……貴方の望みが、私の行動が、一つに繋がるコトを……!)

それをエレオノールに教えるため――与えるためにヒナギクは、今は亡きナギの事を心の名中で思う。
独歩の話ではエレオノールを救うために、闘ったらしいナギ。
普段のナギの様子を考えれば、とても想像しにくい。
だが、それゆえにナギにはどうしてもエレオノールを止めたかった理由があったとヒナギクは信じた、いや確信できた。
だから、ヒナギクはこの言葉をエレオノールに送る事が出来る。
そして、ヒナギクからエレオノールに向かって――彼女の右腕が差し出された。


「私の手を握りなさい! そして、力一杯私を信じて!
貴方はこんなところで終わるわけにはいかないんでしょう?
だったら……一緒にBADANと闘うために! 貴方を一人の仲間として認める私を……私達を信じなさい!
そうよ、貴方は信じてもいい……信じるコトから始めるのよ、エレオノールさんッ!!」


ヒナギクがありったけの大声で叫ぶ。
ヒナギクがエレオノールに伝えたかったもの。
それは信頼すべき仲間の存在。
貴方は一人じゃない、私達が居る
只、それだけを言葉に、右腕に乗せ、ヒナギクは叫んだ。
そして、その言葉がエレオノールのしっかりと届く。
以前、ナギが必死にエレオノールに対し言葉を届けたように。

「ありがとうございます、ヒナギクさん……本当に……。
私は……私は――」

あの時のナギの言葉だけでは止める事は出来なかったエレオノールの意思。
自分を人形と思い込み、鳴海のために殺人を行う事が人間になれると思い込んでいたあの時。
恐らく、あの時のエレオノールにはヒナギクの言葉は届かないかもしれない
だが、エレオールはもう、あの時の彼女とは違う。

「貴方達の力になりたい……私は自分の役をようやく見つけるコトが出来ました……。
信じたい……許されるのなら……私は自分の役目を、貴方達を信じたい……。
だから――」

自分の舞台を、自分が命を賭ける舞台をエレオノールは知り、たった今、確信した。
たとえ、血塗られた身体でも自分には役目がある。
演じきらなれければならない役がある。
ヒナギクを、依然彼女の意思に同意するかのように自分に視線を送ってくれる彼らを信じる事。
そう。そのためにエレオノールは涙を堪えながら、口を開く事が出来る。
喜びの涙を堪えながら――


「私を貴方達の舞台へ上がるコトを許してください……貴方達を信じるコトを許してください……。
貴方達と共に、全てに決着をつけるために!
私を救ってくれた人達の想いに応えるためにも……命を賭けるコトをお許しください!
私は……才賀エレオノールは……闘います! たとえ、この命が燃え尽きようともッ!!」


手を伸ばし、エレオノールはヒナギクの手を掴み、ヒナギクは彼女の手を握り返す。
ヒナギクが浮かべる表情は真剣なものから次第に――笑顔へ移り変わる。
それは、以前フランシーヌの記憶を垣間見た時に知った、井戸の中の赤子が浮かべた笑顔のように優しいもの。
そんなヒナギクの笑顔につられ、エレオノールも表情を崩す。
その笑顔は白金という錬金術師が我を見失うほど、追い求めたもの――
エレオノールが知らない未来に、加藤鳴海や才賀勝が惹かれていったもの――
そして、心優しき者だけが見せる事が出来るもの――


――そう。そこには『いい笑顔』があった。

◇  ◆  ◇

544 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 21:55:04 ID:sZ1xo0BQ0
「よっしゃあ! こんな感じでいいだろ!!」
「ああ、上出来や……ジョセフはん……」

エリアE-2でジョセフと服部が両手を土に汚しながら、何かの作業を終える。
また、今この場にはジョセフと服部の二人しか居ない。
先程、繁華街のホテルで情報交換をし終わり、今の所危険人物は川田章吾という男、只一人という事を彼ら二人は知った。
そのため、二人はある事を行うために一時仲間達と別行動を取っていた。
そう。時間があれば是非やりたかった事を。

「安らかに眠れよな、シンジ……お前と一緒に居るのはなかなか楽しかったぜ……」
「…………本当にすまんかった……三村……」

ポンポンと不自然に盛り上がった土を叩くジョセフ、そして俯きながら口を開く服部。
その土の下に居るもの。それは三村信二の遺体。
ちゃんと埋葬をしたいと思っていた二人はそのために別行動を取っていたというわけだ。
徐に立ち上がる二人。
その表情には、両眼には最早迷いのようなものは見えない。
そして、二人は次の目的地を目指すために互いに顔を合わせる。

「さて、お次は……あの劉鳳の野郎の死に様とやらを拝みにでも行くか」
「今でも信じられんけど……それしかないやろな」

村雨とかがみの話により、劉鳳の死を知った二人。
長い間共に行動していた服部は当然だが、ジョセフも大きな衝撃を受けた。
誰よりも己の正義を、力を信じていた劉鳳。
村雨とかがみを疑うわけではないが二人にとって劉鳳の死はとても信じられず、かつ受け入れにくいものだった。
そのため、二人は立ち尽くしたまま死んだという劉鳳の姿を人目、己の眼で確認し、三村と同じように埋葬しようと考えた。
劉鳳もまた、掛け替えのない仲間だから。
先程、出来た六人の仲間と同じように。

「しかし、エイジャの赤石が本当にあるとはな……BADANって野郎共も侮れねぇぜ……」
「ああ、敵さんは強大や。
俺らも気張らなぁあかん……かがみの姉ちゃんも折角核鉄を交換してくれたコトやしな……」

先程、ジョセフと服部は彼らと情報を交換すると共にお互いの持ち物を確認した。
波紋使いであるジョセフにとって一振りの木刀――正宗は特に使用する機会がないので、元の世界で使用した事のあるヒナギクに。
独歩が持っていたエイジャの赤石はジョセフにとってとても馴染み深いものであり、独歩も特に拘りはなかったので彼が受け取った。
また、危険人物が少なくなったといえども、三村と劉鳳の死体を埋葬するのにあまり長い時間を掛けるのは好ましくない。
よって、波紋戦士としての修行を終えた、超人的な身体能力を誇るジョセフの走力に服部は出来るだけ合わせた方が時間を短縮出来るのは当然な事。
足場が悪いため、自転車ではあまり良い手段とはいえない。
そのために、飛行するだけで黒死の蝶を精製する――疲労を伴う二アデスハピネスよりも、かがみの持つモーターギアの方が、都合が良かった。
付け加えて、かがみは村雨の運転するクルーザーに乗せて貰う予定であったから。

「ん? そういえば、ジョセフはん。あの独歩っていうおっさんになんか汚らしいディスクもろてたな。
あれ、確かめてみたんか?」
「おいおいおいおい〜! 勘弁してくれよ〜〜〜、あの変なディスクを入れるのは結構シンドイコトはおめぇも知ってるだろ?
既に鳥公の分も入れてるんだしよ〜〜〜、てなわけで未だやってねぇぜ」
「んーまぁ、確かに気持ちいいもんやないけどなぁ……ほな、なんで譲ってくれるように頼んだんや?」
「それだ、その指摘は鋭い! このジョセフ・ジョースターは服部、おめーのその良く働く脳みそに敬意を表するぜ!
実は俺にもわかんねーんだよなー、何故かこのがこの俺を呼んだような気が……あ! 僕ちゃん、ちょっと危ない人に見える?
見えないよなぁ? 服部〜〜〜〜〜」
「だー!気色悪い声だすなや! まぁよーわからんけど……いつかは試してみた方がいいんちゃうか?」
「そうだな……オーケー、オーケー! 肝にめいじておくぜ!」

また、ジョセフは独歩から一枚のディスクを譲り受けていた。
しかし、何故貰ったのかという服部の質問に要領を得ない返事を行うジョセフ。
服部も特にそれ以上追及せずに、妥当な提案を行い、ジョセフは意外にも素直に了承する。


「ほな……武装錬金」
「準備はいいみてぇだな……そんじゃあいくぜ、服部?」
「ああ……いこか、ジョセフはん」

やがて服部が武装錬金を発動させ、チャクラムのような金属の輪――モーターギアを両足首に装着。
地上走破に適したスカイウォーカーモードを発動させ、前方へ視線を送る。
服部が、ジョセフが向ける視線は神社の方角だけに向いている。
彼らにはもう迷いはない。

545 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 21:59:49 ID:sZ1xo0BQ0
「そうだ。言い忘れてたコトがあったぜ、服部」
「なんや?」
「俺のコトはジョセフじゃなくて、ジョジョと呼んでくれ。
皆、そういう風に呼ぶからな」
「……わかった。じゃあ行くで、ジョジョ!」
「おうよ! 遅れるじゃねぇぞ!!」

互いに走り出すジョセフと服部。
ジョセフは走りやすいように先程、服部に見せたディスクをズボンのポケットに戻す。
ほのかな朝日がジョセフの持つディスクを照らし、鮮やかな輝きを齎す。
そう。ジョセフが独歩から譲り受けたディスクが――
何故だか自分の手元に置いておきたいとジョセフが感じたディスクが――
どんなものにも換えられない、大いなる遺産をもいうべきものが詰まったディスクが――


――空条承太郎の記憶DISCがジョセフの手に握られながら、星の煌きのような輝きを放っていた。


【E-2 西部/2日目 早朝】

【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:肉体疲労中(ニアデスハピネス換算で一発分のみ)、精神疲労大、三村を殺したことから大分立ち直りました。
[装備]:スーパー光線銃@スクライド、携帯電話、モーターギア(スカイウォーカーモード)@武装練金、クレイジー・ダイヤモンドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式×2(食料一食消費)、首輪、「ざわ……ざわ……」とかかれた紙@アカギ(裏面をメモ代わりにしている)、
    色々と記入された名簿、ノート数冊、ノートパソコン@BATTLE ROYALE
    ジャギのショットガン@北斗の拳(弾は装填されていない)、綾崎ハヤテ御用達ママチャリ@ハヤテのごとく(未開封)、
    ギーシュの造花@ゼロの使い魔、
    キュルケの杖、拡声器、 ソードサムライX(核鉄状態)@武装錬金、包帯・消毒薬等の治療薬、点滴用セット(十パック)
    病院内ロッカーの鍵(中に千切れた吉良の左手首あり)、バヨネット×2@HELLSING、
     紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)
[思考・状況]
基本:首輪のトリック、事件の謎を解除する。三村や仲間達に恥じることの無い行動をする。
1:ジョセフと共に劉鳳の遺体を埋葬するために、神社へ向かう
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:範馬勇次郎以外の光成の旧知の人物を探り、情報を得たい。
4:1が終わり繁華街のホテル(E-2中心部)で再集合
[備考]
※劉鳳、コナン、神楽、ジョセフの事は全面的に信用しています。
※コナンと二人で立てた仮説、「光成の他の主催者の可能性」「光成による反抗の呼びかけの可能性」「盗聴器を利用した光成への  呼びかけの策」 等については、まだ他の人間に話していません。又、話す機会を慎重にすべきとも考えています。
※スーパーエイジャが、「光を集めてレーザーとして発射する」 事に気づきました。
※三村信史の死ぬ直前の記憶を見ました。
※第四回放送の内容は劉鳳からの又聞きでしか記憶にありません。
※ルイズをF-3の川岸に埋葬しました。折れた軍刀は墓標として刺してあり、キュルケの杖、拡声器は服部が所持しています。
※ルイズの最後の願いについてはまだ話し合っていません。
※アミバの持っていた支給品一式×3 (食料一食消費) は、F−2民家の中にあります。
※アミバの持っていたノートパソコンには、大東亜共和国謹製のOSが組み込まれています。
※ジョセフとの相互理解を深め、より信頼しあえる関係になりました

546 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 22:01:20 ID:sZ1xo0BQ0
【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:左手骨折、全身重度の打撲、精神疲労大、体力消費大、深い悲しみ、脇腹にダメージ大
[装備]:マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:七原秋也のギターをばらしたて出来た弦@BATTLE ROYALE、支給品一式×2、空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険 、スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本:BADANとかいうボケ共を一発ぶん殴る。
1:服部と共に劉鳳の遺体を埋葬するために、神社へ向かう
2:マップの端を見に行く。
3:1が終わり次第繁華街のホテル(E-2中心部)で再集合
4:気が向いたらこのディスクでも確かめてみるか……けど、なんでこれが気になったんだ?

[備考]
※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。
※吉良の名前に何か引っかかっているようです。
※水を使うことで、波紋探知が可能です。
※三村の留守電を聞き逃しました。
※主催者の目的は強者を決めることであり、その中にはイレギュラーもいると考えています。
※少なくともかがみとは別の時代の人間であるということを認識しました。
※波紋の力を使うことで対象のディスクを頭部を傷つけることなく強制排出することができます。
 ただし、かなりの集中力を要求します。
※マジシャンズ・レッドの火力は使用者の集中力によって比例します。
 鉄を溶かすほどの高温の炎の使用は強い集中力を要します。
 火力センサーは使用可能ですが精神力を大きく消耗します
 また、ジョセフのマジシャンズ・レッドは通常の炎の威力の調節が極端に難しい状態です。
 ただし、対象に直接マジシャンズ・レッドの手を当てて炎を出した場合に限り調節が可能です。
 修練をすれば通常の炎の精度が上がる可能性があります。
※S7駅がかなり脆くなっていることを発見しました。
※第四回放送は劉鳳からの又聞きでしか記憶にありません。
※服部との相互理解を深め、より信頼しあえる関係になりました
※服部の時のような誤解による失敗を二度とすまいと考えています

[共通備考]
※ 覚悟、村雨、かがみ、ヒナギク、独歩、エレオノールと情報交換をし、友好関係を結んでいます。
また、アカギとパピヨンは協力者、川田は危険人物と認識しています。
※以下の事を考察しています。
このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。

547 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 22:02:39 ID:sZ1xo0BQ0
「では、我々も行くとしよう」
「ええ、わかったわ」

時間は少し遡る。
服部とジョセフと別れた後、覚悟がそう口を開き、答えを返すのはヒナギク。
そして、村雨とかがみ、エレオノールの三人も同意を示すかのように頷く。
服部とジョセフにやりたい事があったように彼らにもどうしてもやっておきたい事があったからだ。

「もし、川田君がパピヨンさんとアカギさん、津村さんを襲ってたら……一刻も早く止めないとね」
「ああ、その通りだ」
「恐らく、あの川田という男は学校の方へ向かったハズ……急ぎましょう」

覚悟の知り合いで、協力者でもあるパピヨンとアカギ、津村斗貴子との合流。
そして、エレオノールが数時間前に接触した川田を止める事。
なんとしてでも行わなければならない二つの目的。
そのために彼らはパピヨンとアカギ、斗貴子が今もなお待っていると思われる学校。
其処へ向かう事を決めていた。

「乗れ、かがみ。エレオノール、あんたも乗ってくれ」
「うん!」
「わ! わかりました!」

ホテルの直ぐ前の歩道に停めて置いたクルーザーへ向かう村雨。
村雨のその言葉にかがみは短く、それでいて元気良く答え、直ぐに彼の後を追う。
だが、かがみとは対照的にエレオノールは意外そうな返事を返す。
少し言葉を詰まらせながらも、あるるかんの鞄を持ち、そそくさと村雨とかがみの後を追うエレオノール。
そんな不審な動きをするエレオノールに対し、村雨は訝しげな表情を浮かべた。

「何か変なコトを言ったか?」
「いえ、違います! 実は私は徒歩を命じられると思っていましたので。
声を掛けてもらえて……ちょっと驚いただけです」
「む…………そうか」
「いやいや、ちよーっと待った!『そうか』って軽く済ませるんじゃないわよ!
というかエレオノールさん……もしかして天然ボケ?」
「天然ボケ……ですか……? かがみさん、それは一体どのようなコトを?」
「かがみ、俺にもよくわからん」
「あー……はいはい……もう、わかったわ。よーく、わかったわ……」

心底不思議そうな表情を浮かべる村雨とエレオノールの二人。
予想以上の反応を見せてくれる二人に対し、かがみはがっくりと肩を落とし、何かを諦めたような様子でクルーザーへ向かうのを再開する。
『この天然ボケコンビが……』、とボソッと呟き、歩を進めるかがみの背中にはなんともいえない様子が垣間見えた。
かがみの言葉の意味を良く理解できなかったが、ともかくクルーザーの元へ向かおうとするエレオノール。
そんな時、村雨が口を開いた。

「エレオノール、覚えているな。
俺は綾崎ハヤテという男……いや、仲間から三千院ナギを守るように頼まれたコトを。
そして、俺がお前と同じように……罪もない人間を殺した事も……」
「はい。勿論です…………」

村雨の鋭く研ぎ澄まされたような眼光がエレオノールに突き刺すように射抜く。
先程、ホテルでの一件の後、情報交換をし、エレオノールは村雨の事を大体聞き知っている。
村雨が綾崎ハヤテと共にラオウと闘い、彼の遺言――三千院ナギの保護をしかと心に留めた事を。
エレオノールとヒナギクが握手をした時、村雨は只、無言での光景を見つめていた。
その後、今に至るまでエレオノールと村雨は一対一で言葉を交わした事はない
そのため、エレオノールは村雨が自分をどう思っているのかが気掛かりだった。
次第にエレオノールに緊張が走り、彼女は村雨の次の言葉に全神経を集中させる。

「俺もお前と同じように悩んだ……本当にあいつらを一緒に闘っていいのかを。
何度も何度も血を浴びてきた俺が、本当に……」

エレオノールに話すというよりも、自分自身に言い聞かせるように呟く村雨。
無骨な顔立ちをしている村雨が浮かべる表情。
そこに怒りという感情はなかった。
只、自分自身の罪をもう一度心に焼き留めるために。
エレオノールに言葉をぶつけるために。
村雨は口を開く事をやめようとはしない。

「だが、あいつらはそんな俺を受け入れた……信じてくれた……。
俺に言葉を投げ掛けてくれたんだ…………」

そんな時、村雨がチラリとある方向に眼をやる。
村雨の視界に映る人影、それはクルーザーの後部座席に陣取ったかがみの姿。
いつも自分の傍に居てくれた年端もいかない少女。
だが、村雨は直ぐに視線をエレオノールの方へ向きなおす。

548 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 22:05:15 ID:sZ1xo0BQ0
「だから、俺もお前を信じる。
あいつらが俺を信じてくれたように……お前のコトを信じる。
今のお前をつくったもの……お前のするべきコトを見つけたもの……お前が手に入れた『記憶』を俺は信じるコトが出来る」


村雨はそう言って、直ぐに背を向け、クルーザーの元へ歩き出す。
一人残されたエレオノールはその場に立ち尽くしている。
直ぐにその場で、村雨の背中に向かってお辞儀をする。
そんなエレオノールが浮かべる表情。
やはりそれもまた――


「ありがとう……ありがとうございます……村雨さん…………」


涙に塗れた『いい笑顔』だったに違いない。



「ふふ、騒がしいわね。
そういえば覚悟くん……私達はどうするのよ?」

微笑を浮かばせながらヒナギクは隣に居る覚悟に問う。
クルーザーが幾ら大型のバイクといえども、三人以上乗るのは困難に思える。
更に覚悟は強化外骨格『零』を纏っており、重量的にも問題があるかもしれない。
そのため、学校へ向かうための自分達の移動手段について覚悟に相談していた。
生憎、ヒナギクには良い移動手段が浮かばなかったからだ

「安心してくれ、ヒナギクさん」
『うむ、問題はない!』

だが、ヒナギクの意図に反して、覚悟と零はあっさりと答える。
覚悟と零の共に自信に満ちた声を聞いて、ヒナギクの懸念も吹っ飛ぶ。
覚悟も零も嘘をつく性格ではないので、彼らの言葉は信用できるからだ。
一体、二人はどういう案を思いついたのだろう。
そんな事を考えながら、ヒナギクは覚悟と零の次の言葉を待つ。

「――え?」

その時だ。
ヒナギクは、何故だか急に自分の身体が浮き上がるような感覚を覚えた。
ヒナギクにそんな感覚を覚えさせた要因。
それは――

「な!ななななななな、何するのよ!!」
「すまない、ヒナギクさん。少しの間、我慢してくれ」
『ははは! 覚悟よ、少し手荒だったようだ。精進するのだな』
「了解だ、零。しかしあまり暴れないでくれ、ヒナギクさん。
落ちたら、擦り傷を負ってしまうかもしれない。」
「そ!そうじゃなくて!!」

覚悟がいきなりヒナギクを抱きかかえ――所謂、お姫様抱っこの形で彼女を持ち上げていたからだ。
真っ赤な顔でじたばたと覚悟の腕の中で暴れるヒナギク。
幾ら、仲が良いといえども、いきなりこんなコトをされてはヒナギクがたじろぐのも可笑しくない。
だが、覚悟もヒナギクが地へ落ちないように彼女の身体にかける手の力を強める。
零を纏っているといえども、覚悟の感触を尚更感じる事になったヒナギクの胸の鼓動は一層速いものとなった。
しかし、覚悟は直ぐに視線をヒナギクから離したせいで、ヒナギクの動揺に特に気がついた様子は見せない。

(待っていてくれ、パピヨン殿、アカギ殿、津村さん……。
川田、お前がもし彼らを傷つけるようなコトをしたならば……友といえども、もう見逃すコトはできん!)

此処から遥か遠い、目的地学校で待つ仲間達。
そして其処に向かったと思われる川田へ覚悟は決意を打ち立てる。
既に戦友・零との再会の瞬着は完了済み。
己を一振りの剣として守るべき仲間の存在は覚悟に計り知れない力を与えてくれる。
ならば、覚悟に立ち止まる事など有り得ない。
覚悟の心中に浮かぶ、彼の生き様を指し示した言葉。

――覚悟完了

その言葉を噛み締め、覚悟はヒナギクを抱えたまま、腰を落として構える。
一方、未だに覚悟の意図がわからないヒナギクは只、混乱するのみ。
やがて、再びヒナギクは自分の身体が――いや、今度は前方へ引っ張られるような感覚を覚えた。

549 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 22:06:40 ID:sZ1xo0BQ0
「しっかりと掴まっていてくれ、ヒナギクさん。
それと、舌を噛まないように注意を」
「え!え、ええええええ!?」
『よし、ゆけ! 覚悟よ!!』

ヒナギクを抱え、覚悟が地面を滑空するように突き進む。
その速度はいうなればとても人の走力で出せる筈もなく、尋常なもの。
ヒナギクの身体を襲った圧倒的な速度の正体。
それは零の背中部分を始めとする各所に取り付けられた推進装置によるものだった。
零の持つ無数の推進装置で生み出される速度の最高値は約、秒速270mであり、時速になおせば972kmとなる。
単純計算では最高時時速700kmを誇るクルーザーの速度を優に上回るが、ヒナギクを抱えている事もあり、覚悟が最高時速まで速度を引き上げる事はないだろう。
だが、それでも覚悟が現在出している速度があまりにも速いものであるという事に変わりはない。
抱きかかえられたまま、そんな異常な速度で移動を余儀なくされたヒナギクは――

「と!止めてえええええええええええええええええ!!」

案の定、大声で絶叫しながら覚悟の腕にしっかりとしがみついていた。
いつもの気高き態度など微塵も見せずに、歳相応な少女のような焦りを見せながら。
只、ヒナギクは喚いていた。
そりぁあ、もう清々するくらいに。



【D-3 北東部/2日目 早朝】

【葉隠覚悟@覚悟のススメ】
[状態]:全身に火傷(治療済み) 胸に火傷、腹部に軽い裂傷。頭部他数箇所に砲弾による衝撃のダメージあり
    胴体部分に銃撃によるダメージ(治療済み) 頭部にダメージ、
    両腕の骨にひびあり、零の推進剤により高速移動中
[装備]:強化外骨格『零』@覚悟のススメ
[道具]:大阪名物ハリセンちょっぷ 滝のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS(ヘルメットは破壊、背中部分に亀裂あり)
[思考]
基本:牙無き人の剣となる。この戦いの首謀者BADANを必ず倒し、彼らの持つ強化外骨格を破壊する。
1:川田を説得する。
2:斗貴子を牙無き人々の一人と見なし、守る。
3:ヒナギク、村雨、かがみ、エレオノールと共に学校へ向かい、パピヨン、アカギ、斗貴子と合流。
4:3が終わり次第、繁華街のホテル(E-2中心部)で再集合
5:村雨が再び記憶を失い、殺し合いに乗るようならば倒す
【備考】
※こなたの死を知りました。それが川田のせいである事も知っています。
※パピヨンとアカギを全面的に信用しています。
※ラオウを倒した男が劉鳳だと知りました
※零と一体になる事に迷いはありません

【零についての備考】
※零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※零はパピヨンを危険人物と認識しました。
※零は解体のため、首輪を解析したいと考えています。
※零は村雨の体を調べ、その構成が、極めて高位の霊魂ならば、強化外骨格同様受け入れられる構造になっていると知ります


【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 顔と手に軽い火傷と軽い裂傷。右頬に赤みあり。右肩が外れている、手の平に裂傷、勇次郎平手によるダメージ 、覚悟に抱きかかえられている
[装備] バルキリースカート(核鉄状態)@武装錬金(アーム四本中三本破損) 木刀正宗@ハヤテのごとく
イングラムM10(9ミリパラベラム弾0/32)454カスール カスタムオート(6/7)@HELLSING 13mm爆裂鉄鋼弾(28発) 陵桜学園高等部のセーラー服@らきすた
[道具]支給品一式、ボウガン@北斗の拳、ボウガンの矢17@北斗の拳
[思考・状況]
基本:BADANを倒す。
1:斗貴子については戸惑い
2:覚悟、村雨、かがみ、エレオノールと共に学校へ向かい、パピヨン、アカギ、斗貴子と合流。
3:2が終わり次第、繁華街のホテル(E-2中心部)で再集合
4:川田を説得する。
5:と、止めて……
[備考]
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1〜3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。
※エレオノールと和解しました
※独歩が持っていた陵桜学園高等部のセーラー服@らきすたを着ています

[共通備考]
※服部、ジョセフ、エレオノールと情報交換をし、友好関係を取っています。

550 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 22:07:52 ID:sZ1xo0BQ0
「おーおーおー……あいつらも行ったみたいだな。
じゃあ、お前らも気をつけろよ」
「ああ、わかった、独歩」

爆走してしいく覚悟とヒナギクを見送り、独歩がクルーザーに跨った村雨に声を掛ける。
移動手段も特になく、五人も行けば充分だと思ったので独歩は学校へ向かわない事にした。
戦力的にも村雨、覚悟、エレオノールの三人が居るので川田と戦闘になっても遅れを取る事はまずないだろうからだ。

(それに……俺よりもこいつらの方が適任だろうからな……)

確かに独歩もパピヨンとアカギの事は気になる。
だが、それよりも川田と先程の五人の因縁は海のように深いのもまた事実。
そのために、独歩は彼らにケリをつける役目を譲った。

「愚地独歩……貴方には本当に申し訳ないコトをしました……。
ナギのコトは勿論、貴方とは何度も闘い……それどころかケンの助けにもなれずに……」
「へっ……もう、そのコトは言うな。さっさと村雨達の手伝いでもしてこい」
「はい、わかりました……」

かがみの後に腰掛けるエレオノールが深く頭を下げ、独歩が碌に視線も合わさずに言葉を返す。
どう考えても愛想が良いといえない独歩の返答に思わずエレオノールは更に頭を項垂れる。
覚悟、ヒナギク、川田の三人に深い因縁があるように、独歩とエレオノールの間にも深い因縁が根付いている。
一度目は独歩が才賀勝と共に居る時に行った騙まし討ち。
二度目はマーティン・ジグマールと共に芝居をして行った奇襲。
三度目は二度目の奇襲の後、あるるかんを手に入れたエレオノールによって不覚にも気絶させられた事。
自分を一番恨んでいても可笑しくない独歩への謝罪の気持ちでエレオノールの表情は暗い。
そんなエレオノールを尻目に独歩は背中を向け、村雨達と顔を合わせようとしない。
益々、元気を失くし、今にも涙がこぼれそうになるエレオノール。
しかし、エレオノールの顔から涙がこぼれる事はなかった。

(そうだ、このくらい……当然な報いです。
だから今は……証明してみせます。私の言葉が偽りではないコトを……私の意思を!)

決意を新たにエレオノールは顔を上げる。
その表情に何かを諦めるような意思は見えない、見えるわけもない。
自分を信じてくれた人、救ってくれた人に報いるために自分の役目を演じる。
その使命に全てを賭ける決意。
それがエレオノールに力を分け与えてくれるから。

「……行くぞ」

エレオールの様子を少し心配そうに見やる村雨だが、意を決したかのようにクルーザーのアクセルグリップに掛けた手に力を込める。
クルーザーがゆっくりと動き出し、独歩との距離が少しずつ開いていく。
だが、そんな時、クルーザーのエンジンの排気音に紛れながら独歩が小さく呟いた。
とても小さな声であるため、本当に届いたのかはわからないが。
自分の傍を過ぎ行く村雨達に――いや、エレオノールに対して。

「――頑張れや」

独歩は背中を向けながら、短い言葉を送る。
それは彼なりの優しさだったのかもしれない。


【E-2 南西部/2日目 早朝】
【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]全身に無数の打撲、頬に軽い腫れ 全身に更なる重度の打撲傷を負う 核鉄の治癒力により回復中
[装備]十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (0/2) 、マイクロチェーン(2/2) 核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金
[道具]地図、時計、コンパス、 女装服
    音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、
[思考]
基本:BADANを潰す!
1:ハヤテの遺志を継ぎ、BADANに反抗する参加者を守る
2:ヒナギク、覚悟、かがみ、エレオノールと共に学校へ向かい、パピヨン、アカギ、斗貴子と合流。
3:2が終わった後、繁華街のホテル(E-2中心部)で再集合。
4:かがみを守る
[備考]
※傷は全て現在進行形で再生中です
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※記憶を取り戻しました
※独歩、覚悟と情報交換をしました。
※光成がBADANに脅されていると考えています。また、BADAN側にも強化外骨があると推測しています。
※勇次郎の放送を聴きました。
※エレオノールから改心に至る事情を聞きました
※ラオウ、勇次郎との戦闘を経て戦闘技術が劇的に向上しました
※神社で立ったまま微笑んで死ぬ死体(劉鳳)を見ました。
※ジョセフと和解しました。
※怒り等感情に任せて行動しないよう自制する事を覚えました

551 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 22:09:37 ID:sZ1xo0BQ0
【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:全身に強度の打撲、左腕欠損(止血済み)、休息により(?)それなりに回復 、核鉄の治癒力により回復中
[装備]:巫女服
[道具]:二アデスハピネス (核鉄状態)@武装錬金 ニードルナイフ@北斗の拳
[思考・状況]
基本:BADANを倒す
1:みんな元気になれっ……もちろん自分も
2:村雨と行動を共にする
3:神社の中にある、もう一つの社殿が気になる。
4:川田を止める

[備考]
※光成がBADANに脅されていると考えています。また、BADAN側にも強化外骨があると推測しています。
※勇次郎の放送を聴きました。
※零の暗雲についての推測を知りました。
※かがみの主催者に対する見解。
①主催者は腕を完璧に再生する程度の医療技術を持っている
②主催者は時を越える"何か"を持っている
③主催者は①・②の技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
④だが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。
※首輪の「ステルス機能」および「制限機能」の麻痺について
かがみがやった手順でやれば、誰でも同じことができます。
ただし、かがみよりも「自己を清める」ことに時間を費やす必要があります。
清め方の程度で、機能の麻痺する時間は増減します。
神社の手水ではなく、他の手段や道具でも同じことが、それ以上のことも可能かもしれません。
※ステルス機能について
漫画版BRで川田が外したような首輪の表面を、承太郎のスタープラチナですら、
解除へのとっかかりが見つからないような表面に 偽装してしまう機能のことです。
ステルス機能によって、首輪の凹凸、ゲームの最中にできた傷などが隠蔽されています。
※S1駅にハヤテのジョセフに対する書置きが残っています
※神社で立ったまま微笑んで死ぬ死体(劉鳳)を見ました
※村雨との協力を申し出てくれた服部に感謝しています


【才賀エレオノール@からくりサーカス】
[状態]:疲労大 全身に火傷 、核鉄の治癒力により回復中。
[装備]:エンゼル御前(核鉄状態)@武装錬金、あるるかん(白金)@からくりサーカス(頭部半壊、胸部、腹部に大きな損傷、全身にへこみと損傷あり)
[道具]:青汁DX@武装錬金、ピエロの衣装@からくりサーカス、支給品一式、生命の水(アクア・ウィタエ)
[思考・状況]
基本:自分を助けてくれた者、信じてくれた者のためになんとしてでも主催者を倒す。
1:仲間達と共に行動する。
2:夢で見たギイたちの言葉を信じ、魂を閉じ込める器を破壊する。
3:ナギの遺志を継いで、殺し合いを潰す。
4:一人でも多く救う。
[備考]
※ジグマール、村雨達(村雨、かがみ、覚悟、ヒナギク、独歩、服部、ジョセフ)と情報交換をしました。
※参戦時期は1巻。才賀勝と出会う前です。
※夢の内容はハッキリと覚えていますが、あまり意識していません。
※エレオノールが着ている服は原作42巻の表紙のものと同じです。
※ギイと鳴海の関係に疑問を感じています。
※フランシーヌの記憶を断片的に取得しています。
※「願いを叶える権利」は嘘だと思っています。
※制限についての知識を得ましたが、細かいことはどうでもいいと思っています。
※自転車@現実は消防署前に落ちています。
※才賀勝、三千院ナギの血液が溶けた生命の水を飲みました。2人の記憶を取得した可能性があります。
 が、断片的かもしれないし、取得していないかもしれません。
 才賀正二の剣術や分解などの技術は受け継いでいません。
※エンゼル御前は使用者から十メートル以上離れられません。 それ以上離れると核鉄に戻ります。
※独歩の言葉が聞こえたかは不明です。
※BADANによって加工された核鉄は本来の核鉄の特性と若干異なる可能性があります(エンゼル御前が勝手に発動するなど)

552 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 22:10:46 ID:sZ1xo0BQ0
ホテルの前で、一人取り残された愚地独歩。
特にやる事もないのでもう一度身体を休める事もいいかもしれない。
だが、勇次郎とラオウとの戦闘は主に村雨と覚悟が行ったため、独歩が負った負傷はそれ程のものではなかった。
試しに全身を動かし、自分の身体の調子を確かめる独歩。
左腕、左肩の負傷は大きいが特に活動に支障はない。
休める内に休んでおくのも大切な事だと思うが、どうにも時間が勿体無いと独歩は思い始める。
何か出来る事は、暇つぶしになるような事はないか。
そんな事を独歩は考え始めるが――

「そうだ。そういえばヒナギクの嬢ちゃんが言ってたな……」

何か妙案を思いつき、独歩はそそくさと己のデイバックを漁る。
直ぐに名簿を取り出し、メモ帳として用意されたと思われる一枚の白紙を破り取り、支給された鉛筆で文字を書き始める。
『ちょっと宝探しに行って来るわ、その内戻る』。
と、独歩は極めて簡潔に用件を書いた紙を持って、ホテルのエントランスに入り、受付口のテーブルに置く。
一応、紙が飛ばされないようにジャッカルを錘として。
ジャッカルは不死王・アーカードのために作られた専用銃であり、殺傷性能は極めて高い。
かがみやヒナギクのような女子校生は勿論の事、服部にも仕える代物ではない。
使えそうな村雨、覚悟、ジョセフ、エレオノールの四人の装備は充分であったため、独歩が持っていた。
しかし、独歩はそんなジャッカルをあっけなくホテルへ放置し、直ぐにエントランスから出ようとする。

「……と、こいつらもいらねぇな」

と思いきや、独歩は他の支給品――ベレッタM92、仕込み傘、棍棒、麻雀セットをドア近くのソファに適当に放置した。
数多くの支給品を手放した独歩。
だが、不思議と彼の表情には全くそれを惜しむような顔は見られない。
何故なら、独歩がこれから行う事――『宝探し』には不必要なものだから。

「確かH-4だったなぁ。ちぃーっと距離があるが……まぁいい暇つぶしになるだろうよ」

独歩が行おうとしている事。
それは先程の休憩の時、ヒナギクがふと思いだしたように、自分の最初の支給品を忘れてきたという話に関係している。
アレクサンド・アンデルセンから逃げる時にH-4の森林地帯にデイバックを落としてしまったヒナギク。
そう。独歩はそのデイバックを探しに行こうとしていた。
もしや、とてつもなく良い支給品が入っている可能性もあるため、回収する事に越した事はないからだ。
そして、日々鍛錬を積んだお陰で培われた独歩の身体能力は常人を遥かに越えるといっても、銃などを持ち歩いては速度が遅くなるのも当然。
そのために、身体を軽くするためにも独歩はジャッカルなどを放置を決めた。
ホテルから出た独歩は素早く地図とコンパスを取り出し、自分の行くべき方向を確認する。

「へっ……やっぱり、俺には銃なんて似合わねぇなぁ……」

一度は使い慣れていない銃さえも使って、闘う事を決意した独歩。
独歩は大人といえるほど充分な歳は取っているが、人格者という程素晴らしい人物とはいい難い。
相手に勝つためなら、たとえ騙まし討ちを使う事になっても一切のためらいは持たない。
だが、それでも独歩は銃を使う事に抵抗があったのかもしれない。
銃を一切手放した事で不思議と心が軽くなっていくような感覚が独歩を襲う。

(ケンシロウ……てめぇが守りたかったものは全部俺が引き継いでやるぜ。
だから、そこで見とけ……)

早すぎた死を迎えたケンシロウに独歩は思いを飛ばす。
顔を上げればどこまでも広がっていそうな青空が広がっている。
顔を撫でる様な風の心地よさに少し眼を細めながら、独歩はあるものを取り出す。
それは六角形の形をした金属片――核鉄。

553 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 22:13:18 ID:sZ1xo0BQ0
「武装錬金」


初めて武装錬金を発動させる独歩。
核鉄が分解し、BADANの技術によって固定された武装錬金が形を成していく。
山吹色の輝きを放つ太陽の槍ではない。
銀色の煌きを放つ六本の処刑鎌でもない。
漆黒の闇を齎す黒死の蝶々でもないもの。

(力を借りるぜ……嫌でも貸してもらうけどなぁ!)

それは服部平次が一番上手く扱えると思われる独歩に、使ってくれるように頼んだ武装錬金。
それは自分を王と錯覚し、反逆の拳にその身を打ち砕かれた男が使っていた武装錬金。
それは反逆の志を受け継いだ、かっての外道が己の誇りにしていた武装錬金。
それは揺ぎ無い正義を翳し、最期までその正義を失わなかった男の武装錬金。
それは自分の死よりも自分自身の喪失を恐れ、綱渡りの人生を渡ってきた男が使っていた
武装錬金。


「さて……行こうか。何が出てくるか……楽しみだぜ」

ヒナギクから譲ってもらった武装錬金・シルバースキンを全身に纏い、独歩が口を開く。
シルバースキンは己の格闘術を用い、相手に打撃を与える武装錬金。
これほどまでにも独歩向きの支給品は他にもないだろう。
そして独歩は自分の目的を再確認する。
未だ知らないヒナギクの支給品。
――もしかすれば取るに足らないものが入っているかもしれない。
――もしかすれば主催者達の居場所を記した地図のようなものが入っているかもしれない
――そして、もしかすれば勇気ある伊藤博士が密かに入れた秘密兵器というべき支給品が入っているかもしれない。
テンガロンハットを被り、独歩が一陣の風となり、地を駆ける。
この殺し合いを潰す――揺ぎ無い意思を胸に抱きながら。

554 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 22:15:06 ID:sZ1xo0BQ0
【E-2 南東部/2日目 早朝】

【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:体にいくつかの銃創、頭部に小程度のダメージ、左肩に大きな裂傷 左腕を深く抉られている
[装備]:キツめのスーツ、(15本)、シルバースキン@武装錬金
[道具]:基本支給品一式×2、首輪×2 、懐中電灯@現地調達、包帯と湿布@現地調達    
[思考・状況]
基本:闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する
1:H-4でヒナギクの支給品を探す(時間は未定)
2:可能なら、光成と会って話をしたい。
3:適当な時に繁華街のホテル(E-2中心部)へ戻る

[備考]
※パピヨン・勝・こなた・鳴海・覚悟・村雨・ヒナギク・かがみと情報交換をしました。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。
※独歩の支給品にあった携帯電話からアミバの方に着信履歴が残りました。
※BADANの存在を知り、かがみから首輪のステルス機能の事、解除方を知りました。また零の暗雲についての推測も知りました。
※愚地流奥義にしたいと思っている技を会得しました(意を消した拳、これを拳のみならず他の空手技にも用いる事が出来る)
※繁華街のホテル(E-2中心部)内に ジャッカル@HELLSING(残弾数1)、神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂、ベレッタM92(弾丸数0/15)、ハート様気絶用棍棒@北斗の拳
鷲巣麻雀セット@アカギ、置手紙が放置されています。


【村雨、かがみ、覚悟、ヒナギク、独歩、エレオノール、服部、ジョセフ、八人の共通備考】
※一通りの情報交換は終えています
※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。
※主催者の目的に関する考察
主催者の目的は、
①殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
②最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。
※五人の首輪に関する考察及び知識
首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首輪には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている 。
首輪にはステルス機能があり、身を清め水を掛ける事で解除可能
※五人の強化外骨格に関する考察。
霊を呼ぶには『場』が必要。
よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論
※BADANに関する情報を得ました。
【BADANに関する考察及び知識】
このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
光成は司会役として脅されている。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。

555 ◆14m5Do64HQ:2008/05/27(火) 22:17:27 ID:sZ1xo0BQ0
以上で投下終了です。
それでは転載お願いします。
本当にもうしわけありません。

556第五回放送案 ◆1qmjaShGfE:2008/06/04(水) 22:01:21 ID:RQmfwFII0
真っ黒なスーツに身を纏う精悍な顔つきの青年。
出先から全ての予定をキャンセルしてまで駆けつけた彼はひどく不機嫌だった。
「事情の説明も無しでいきなり召集ってなどういう了見だよ」
会議室の最前列に座り不満を述べる。
すぐ隣に座っていた天然パーマ気味の中年の男は彼の仕草を見て苦笑する。
「それほどの事態だという事です。それがわかってるからこうして来てくれたのでしょう」
見た目より若さを感じさせる声。
会議室に居るのは彼等二人と、モニターの前に立つ白衣を身に付けた少年の三人だけだ。
「早速だけど説明に入らせてもらうよ。まずは佐久間からよろしく」
少年の言葉に、佐久間と呼ばれた中年に見える男は頷いた。
「ここ一年の間に世界中で起きた行方不明事件、この内数パーセントがBADANによるものであると本部は断定しました」
大きな音を立て、黒スーツの男が席を立つ。
「ちょ、ちょっと待てよ。BADANはとっくに……」
白衣の少年がモニターの電源を入れると画面に数字と文字の羅列が映る。
少年の説明によると、痕跡を残さぬ行方不明事件が数件発生しているとの事。
それだけならばさして気にも留めない所だが、一点注目すべき点を見つけたのだ。
目撃証言の中に『まるで魔方陣か何かに吸い込まれるように消えていった』という記述があったのだ。
かつてBADANが駆使した移動手段に同様のものがある。
これはBADANならではの高度な科学力が無くては為しえない技術であり、これをきっかけに調査を進めた所、以上の結論に達したのだ。
黒スーツの男、滝和也は衝撃を隠せず呆然と立ちすくむ。
「……何かの間違いだろ。BADANに居た技術者の生き残りの仕業とか……」
少年は苦しそうに眉をひそめる。
「ある程度の組織力に裏づけされた研究機関が無いとあの技術の再現は不可能だよ」
佐久間が言葉を続ける。
「世界中の研究機関を調べました。技術主任が言う規模での研究機関設立が可能な組織全てもです。
 結果は全てシロ。そんな研究施設はこの地球上に存在しないというのが我々の結論です」
白衣の少年、スピリッツ技術顧問ビクトル・ハーリンのお墨付きである。

557第五回放送案 ◆1qmjaShGfE:2008/06/04(水) 22:01:46 ID:RQmfwFII0
調査機関は現在地球上で最も強い影響力を持つと言われるスピリッツ機関。
滝も認めざるを得ない。
かつて10人の仮面ライダーがその命と引き換えに倒した組織、BADANが蘇ったのだと。
滝の苦悩が理解出来るのか、殊更に事務口調を続けるビクトル。
「大首領は封印時でもこちら側に影響力を及ぼす事が出来る。その力で誰か、そうだねやはりガモンと見るのが妥当かな。
 彼を復活させ異空間を根拠地に力を蓄えている。これがボクの出した結論だ。佐久間の裏づけもとってある」
ビクトルは遺伝子工学を専門とするが、彼の人類にはありえぬ高度な知能が導き出した結論は、全ての分野において重要な指標たる。
だから佐久間は時折重要な判断を彼に尋ねるようにしているのだ。
乱暴に机を殴りつける滝。
「ふざけんな! あいつ等がどんな思いで連中を叩き潰したと思ってんだ!
 それがものの三年で復活しただと!? そんな話どうやって信じろってんだ!」
ビクトルは震える手で書類を握り締める。
「……ボクが、好き好んでこんな事言ってるとでも……思っているのか……」

三年前、十人の仮面ライダーの犠牲の元、大首領の再封印は成し遂げられた。
しかし戦いの傷跡は随所に残り、各地の治安は乱れに乱れていた。
唯一残った組織立った戦闘集団スピリッツは、決断を迫られる。
設立時の目的に従い解散するか、それ以外の道を選ぶか。
最高責任者である佐久間の決断は早かった。
組織内の反対意見を纏め上げ、偉大な業績を背景に世界規模の警察機構を設立。各地の復興に尽力すると決めたのだ。
後に佐久間は当時の苦労をこう語っている。
「一番苦労した事? 決まってます、滝さんを説得する事ですよ。本気で殺されかねない勢いでしたから……」

世界各地から集められる情報を元に、ビクトルが分析を開始する。
滝は各地に散ったスピリッツの猛者を集め、有事に備える。
佐久間はこれらを統括しながら情報の秘匿に努める。
それぞれが役割を果たす中、滝は忙しいスケジュールの合間を縫い友人へ電話をかけた。

558第五回放送案 ◆1qmjaShGfE:2008/06/04(水) 22:02:35 ID:RQmfwFII0
「よう戦友、元気か」
『滝! ええ元気よ。たまにはこっちにも顔出しなさいよ』
「色々とあってな。そっちの生活はいい加減慣れたか?」
『はぁ……母親がこんなに大変なんて思わなかったわよ』
「おいおい、早速愚痴かよ」
『そんなんじゃないわよ! それにこの子の顔見てるだけで疲れも愚痴も全部吹っ飛んでくれるんだから』
「そいつは良かった。大きくなってんだろうなぁ、顔見るのが楽しみだ」
『もちろんよ、だから休暇が取れ次第遊びに来なさい。きっとびっくりするわよ』
「ああ、その時は連絡する、じゃな」
ほんの一分前後の会話。
たったそれだけで、こんなにも勇気が沸いてくる。
全てを賭けて守り抜いてみせる。
かつて友がそうしたように。

電話を切ると、アンリはエプロン姿のまま小走りにベッドルームに向かう。
ピンクや白のレースを基調とした少女趣味全開のその部屋の中心にベビーベットが置かれていた。
アンリが覗き込むと、嬉しそうに笑いながら手を伸ばしてくる。
持ちうる愛おしさの全てを込めて抱き上げる。
「滝おじちゃんが遊びに来てくれるって、良かったでちゅね〜」
アンリの手の中で赤子は顔をくしゃくしゃにして両手を振る。
「そっか〜、嬉しいでちゅね〜。いっぱい遊んでもらいましょうね〜」
一緒になってアンリもはしゃいでいたのだが、キッチンから何やら物音が聞こえてくる。
「ん? ……きゃああ!! お湯かけっぱなし!」
慌てて赤子をベッドに寝かせると、キッチンに駆け込む。
案の定キッチンは吹き零れたお湯で水浸しになっていた。
大きく首を落とすアンリ。
「またやっちゃった……つくづく私って家事に向いてないのよね……」

559第五回放送案 ◆1qmjaShGfE:2008/06/04(水) 22:02:56 ID:RQmfwFII0
しかし落ち込んでいるのも僅かの間。
すぐに気を取り直して雑巾を握る。
「フン、お母さんはこれぐらいじゃ負けたりしませんからね」
そこには三年前より更に逞しくなった母の姿があった。



ビクトルの分析により、BADANの一時拠点の位置が南米の「デビルズテーブル」にあると判明。
直後日本にて街が丸々一つ消えるという事件が発生。街の行き先はそこにあるとスピリッツ側は判断。
滝率いるスピリッツ突入部隊が編成された。

560第五回放送案 ◆1qmjaShGfE:2008/06/04(水) 22:03:24 ID:RQmfwFII0
それでは午前6時、5回目の定時放送じゃ。


まずは禁止エリアの発表じゃ。
午前7時からB-3
午前9時からE-2
午前11時からH-4


続いて、この6時間で死んでいった者たちの発表じゃ。


泉こなた
津村斗貴子
神楽
ケンシロウ
ジグマール
劉鳳
江戸川コナン
ラオウ
範馬勇次郎
川田章吾
赤木シゲル


以上十一人。


お、面白くなるのはここからじゃよ。
今更だとは思うが、各人定められたルールは覚えておろうの。24時間以内に誰も死ななんだら全ては終わりじゃぞ。
ルールを忘れてたなんて事のないよう、スムーズな進行を期待するぞ。

561第五回放送案 ◆1qmjaShGfE:2008/06/04(水) 22:03:44 ID:RQmfwFII0
状況が煮詰まってきている。
積極的に殺しを行う人間が居なくなった今、残る彼等への強制力は、
「24時間以内に一人も死者が出ない場合は全員の首輪が爆発する」というルールだ。
今回はこの事に言及するよう光成はガモンから言いつかっていた。
放送を終え、不安そうに振り返る光成にガモンは不機嫌そうに眉をひそめるだけだ。
その隣のプッチ神父はというと、何か心配事でもあるのか冷静な彼にしては珍しく挙動に落ち着きがない。
放送が終わるなり、プッチはガモンに報告を済ませる。
「先ほど怪人収容所にて怪人の暴走があったようです」
「何?」
「被害拡大を避ける為独断で処置をしておきましたが……出すぎた真似だったでしょうか」
「被害程度は?」
「怪人収容所NO4区画、五十体が全滅、又戦闘員が一人犠牲になっております」
「大きいな……原因は?」
「保存カプセルに残っていた記録によりますと、戦闘員が何らかの目的でカプセルを開いた事が原因と思われます」
ガモンの視線が鋭くなる。
「……裏切りか?」
「私もそう思いまして他戦闘員達にも事情聴取を行ったのですが、どうやら被害に遭った戦闘員の不注意であったと思われます。詳細は報告書にて提出する準備がございますが……」
改造人間を多用する怪人組織幹部の例に漏れず、ガモンもこの手のヒューマンエラーが大嫌いである。
しかしコマンドロイドや怪人に管理、監視作業を任せる事も出来ず、自然とそれらは拉致してきた人間に任せる事になる。
「対策としましては、通路各所に監視カメラの設置を行うのがよろしいかと」
「それを管理する人間が居ないのだろう」
「いえ、ダミーカメラならば管理する人間もいらず戦闘員監視の役目を果たせるかと」
それが本業ではないとはいえ、収容所勤めの長いプッチは効率的な管理ノウハウをある程度知識として持っていたのだ。
「その上で巡視の際はコマンドロイド一体を引き連れる事を義務づければ、戦闘員の動向をチャックするも容易です」
プッチの言葉にガモンは少し驚いた顔をした後、数度頷いてその対策を取り入れる事にした。
控えめにそう提案するプッチの態度は、ガモンの心証を害するものではなかった。
なのでガモンはこの優秀な男に、一つ相談をしてみる事にした。

562第五回放送案 ◆1qmjaShGfE:2008/06/04(水) 22:04:25 ID:RQmfwFII0
「あの二人が倒されるのは予想外だった。残り人数も少ない事だし、ここで選別をしてしまうのはどうだ?」
つい先ほど倒された優勝最有力候補の二人を指しているのだろう。
強者として認められそうなのは、葉隠覚悟と村雨良の二人に絞られてきている。
他の者では生き残ったとしても、大首領の器としては不十分だろう。
プッチは静かにガモンの言葉を否定する。
「最後の最後でこちらの恣意を入れるのであれば、それは最初から誰か一人を選んでも同じ事……になるかと」
「しかしここからは時間がかかるだろう?」
「かければよろしい、例え何かの手違いで首輪を外す事があろうともこの空間から逃げられはしないのですから。
 むしろ誰も殺意を持たぬこの追い詰められた状況こそが、第二の『プログラム』と言っても過言ではありません」
横で二人の話を聞いていた光成は苦々しげにプッチを見やる。
「……悪趣味じゃの」
そんな光成をプッチは無視する。
「誰か一人を生贄に二十四時間の猶予を得る。ここまで生死苦楽を共にした仲間同士がそれをどうやって決めるか。
 話し合い? 強い者が勝つ? 皆一様に首を吹き飛ばして死ぬ? どれでも好きに選べばいい。
 私達はその葛藤の中から生まれ出る、真なる意味での強者をこそ必要としているのですから。その為のルールでしょう?」

プッチには時間が必要だ。
新月は二日後、それまでにこのプログラムが終了し、事後処理まで終えられたら最後に必要な場所へと逃げ出す隙が無くなってしまう。
もちろんそれまでに首輪を解除する必要がある。それもこのプログラム中、最もサザンクロスが騒々しいこの時間でなくば難しいだろう。
ここは異世界、しかしそれでも神の国への道は閉ざされてはいないらしい。
その証拠はついさっきのあの出来事。
首輪には霊的な防御を用いているという知識はある。
そしてその防御を突破した手段を持つ者が、プログラムの参加者に居るらしい。
何としてでもその者と接触し、この首輪を外す。
そして予想されるBADANの追撃を振り切り、最後の場所、北緯28度24分、西経80度36分へと辿り着かなければならない。
最高の展開は、ガモンに知られる事無く首輪解除を成し遂げ、
参加者達がこの城へと押し寄せ、その対応に苦慮している間にこの城を抜け出す。

563第五回放送案 ◆1qmjaShGfE:2008/06/04(水) 22:04:50 ID:RQmfwFII0
しかしこれは高望みがすぎる。この城を覆う雷雲を突破する能力は彼等には無いだろうから。
焦りは禁物だ。だからといって無為に時間を費やすのも愚の骨頂。

「その上でもしご許可頂けるのでしたら、参加者達の殺し合いを促進すべく私が手を回しましょう。策はあります」
「ほう、言ってみろ」

現在の参加者構成から、次の24時間までの生贄とされそうな人物、最も精神の不安定なエレオノールを堕とす。
彼女は自分の身を犠牲にするも厭わぬと言ってはいるが、プッチの持つとある情報を渡す事で彼女は堕とし得る。
彼等が信頼する仲間であるパピヨンが、彼等が決して許さないだろう理由で津村斗貴子を殺害している事実。
この時の会話を録音したデータを聞かせれば、エレオノールは慣れぬ正義への義務感から暴走する。
幸い彼らは別行動をしてくれている。後々になって揉め出す前に布石を打っておくというのだ。
プッチの策をガモンは了承する。
彼の策がうまくいけば、強固な精神を誇る彼等の間に疑心暗鬼の芽を残す事が出来る。
それは恐怖による人心のコントロールを考えているガモンにとって、有益なテストケースとなり得るであろう。

こうしてプッチ神父にプログラム会場への移動許可が降りた。
この機会に首輪解除の手段を手に入れ、参加者達のサザンクロス襲撃に知恵を貸す。
当然リスクはあるが、全ては彼の計算通りであった。

564第五回放送案 ◆1qmjaShGfE:2008/06/04(水) 22:05:10 ID:RQmfwFII0



プッチ、光成と別れ玉座に戻るガモン。
暗闇大使として蘇り、世界征服に挑むも志半ばにして倒れた。
そんな未熟な自分を再び拾い上げてくれた大首領には返しきれぬ恩がある。
今回ガモンは世界征服よりも大首領復活を優先しているのはその為だ。
今は自らの持つ全ての力を大首領復活に注ぎ込む。
その後に予定している世界征服だが、ガモンはさほど心配はしていなかった。
前回の戦いで人間も怪人との戦いに慣れたようだが、それでも仮面ライダーの失われた世界なぞ赤子の手を捻るようなものだ。
もちろんあの頃の戦力は望むべくもないが、ガモンの持つ怪人復活能力を用いて既に300体の怪人を再生している。
コマンドロイドの製造も順調だ。負ける要素は何一つ無い。
何かと生意気な態度が鼻に付いたタイガーロイドは改造が半ばの状態から呼び出し、プログラムに参加させる事で溜飲は降ろした。
大首領の気まぐれにより既に倒したはずの仮面ライダー一号と仮面ライダーゼクロスを呼び出す事になったが、
仮面ライダー一号も同様にプログラムにより消去する事に成功した。
忌々しいゼクロスは健在のようだが、一号ですらこうして簡単に倒す事が出来たのだ。
今更奴がどう足掻こうと何時でも殺しうる。
「仮面ライダーが居ないだけで、こうも簡単に事が運ぶようになるとはな」
このプログラムの進行において幾つか癇に障る事はあったにせよ、概ねガモンの思惑通りに進んでいた。
開始早々タイガーロイドが倒されたと聞いた時は、余りの愉快さに声を上げて笑ったものだ。
仮面ライダー一号がラオウという男に倒されたという報告は、最高の酒の肴となった。
津村という女がガモンの誘いを真に受けて人を殺して回った時なぞ、映像装置を用意しなかった事を本気で悔いたものだ。
プッチという使える部下も見つけた。奴の持つスタンドの知識と技術はBADANの技術を更なる高みへと引き上げてくれるだろう。
赤木という虫ケラにあそこまでの怒りを感じたのも、今までが余りに好調すぎたせいであろう。
「大首領も退屈されているのだろう。しばしお待ちあれ、計画は完璧でございます故……」
一々些事を確認するまでもない。
そう思い、ガモンは赤木の件を大首領に問いただすのは止める事にした。

565 ◆1qmjaShGfE:2008/06/04(水) 22:05:57 ID:RQmfwFII0
以上です。見落としや問題点等ございましたら、よろしくご指摘の方お願いいたします

566>>560 ◆1qmjaShGfE:2008/06/05(木) 22:36:53 ID:ueQUKzrk0
それでは午前6時、5回目の定時放送じゃ。


まずは禁止エリアの発表じゃ。
午前7時からB-3
午前9時からE-2
午前11時からH-4


続いて、この6時間で死んでいった者たちの発表じゃ。


泉こなた
津村斗貴子
神楽
ケンシロウ
マーティン・ジグマール
劉鳳
江戸川コナン
ラオウ
範馬勇次郎
川田章吾
赤木シゲル


以上十一人。


お、面白くなるのはここからじゃよ。
今更だとは思うが、各人定められたルールは覚えておろうの。24時間以内に誰も死ななんだら全ては終わりじゃぞ。
ルールを忘れてたなんて事のないよう、スムーズな進行を期待するぞ。

567>>561 ◆1qmjaShGfE:2008/06/05(木) 22:38:52 ID:ueQUKzrk0
状況が煮詰まってきている。
積極的に殺しを行う人間が居なくなった今、残る彼等への強制力は、
「24時間以内に一人も死者が出ない場合は全員の首輪が爆発する」というルールだ。
今回はこの事に言及するよう光成はガモンから言いつかっていた。
放送を終え、不安そうに振り返る光成にガモンは不機嫌そうに眉をひそめるだけだ。
その隣のプッチ神父はというと、何か心配事でもあるのか冷静な彼にしては珍しく挙動に落ち着きがない。
放送が終わるなり、プッチはガモンに報告を済ませる。
「先ほど怪人収容所にて怪人の暴走があった」
「何?」
「被害拡大を避ける為独断で処置をしておいたが……いらぬ世話だったか?」
「被害程度は?」
「怪人収容所NO4区画、五十体が全滅、又戦闘員が一人犠牲になっている」
「大きいな……原因は?」
「保存カプセルに残っていた記録によれば、戦闘員が何らかの目的でカプセルを開いた事が原因らしい」
ガモンの視線が鋭くなる。
「……裏切りか?」
「私もそう思い他戦闘員達にも事情聴取を行ったが、どうやら被害に遭った戦闘員の不注意であったようだ。詳細は報告書にて提出する準備があるが……」
改造人間を多用する怪人組織幹部の例に漏れず、ガモンもこの手のヒューマンエラーが大嫌いである。
しかしコマンドロイドや怪人に管理、監視作業を任せる事も出来ず、自然とそれらは拉致してきた人間に任せる事になる。
「対策としては、通路各所に監視カメラの設置を行うのが良いと思うのだがどうだろうか?」
「それを管理する人間が居ないのだろう」
「いや、ダミーカメラならば管理する人間もいらず戦闘員監視の役目を果たせる」
それが本業ではないとはいえ、収容所勤めの長いプッチは効率的な管理ノウハウをある程度知識として持っていたのだ。
「その上で巡視の際はコマンドロイド一体を引き連れる事を義務づければ、戦闘員の動向をチャックするも容易だ」
プッチの言葉にガモンは少し驚いた顔をした後、数度頷いてその対策を取り入れる事にした。
控えめにそう提案するプッチの態度は、ガモンの心証を害するものではなかった。
なのでガモンはこの優秀な男に、一つ相談をしてみる事にした。

568>>562 ◆1qmjaShGfE:2008/06/05(木) 22:39:46 ID:ueQUKzrk0
「あの二人が倒されるのは予想外だった。残り人数も少ない事だし、ここで選別をしてしまうのはどうだ?」
つい先ほど倒された優勝最有力候補の二人を指しているのだろう。
強者として認められそうなのは、葉隠覚悟と村雨良の二人に絞られてきている。
他の者では生き残ったとしても、大首領の器としては不十分だろう。
プッチは静かにガモンの言葉を否定する。
「最後の最後でこちらの恣意を入れるのであれば、それは最初から誰か一人を選んでも同じ事……になる」
「しかしここからは時間がかかるだろう?」
「かければよい、例え何かの手違いで首輪を外す事があろうともこの空間から逃げられはしないのだから。
 むしろ誰も殺意を持たぬこの追い詰められた状況こそが、第二の『プログラム』と言っても過言では無い」
横で二人の話を聞いていた光成は苦々しげにプッチを見やる。
「……悪趣味じゃの」
そんな光成をプッチは無視する。
「誰か一人を生贄に二十四時間の猶予を得る。ここまで生死苦楽を共にした仲間同士がそれをどうやって決めるか。
 話し合い? 強い者が勝つ? 皆一様に首を吹き飛ばして死ぬ? どれでも好きに選べばいい。
 私達はその葛藤の中から生まれ出る、真なる意味での強者をこそ必要としているのだから。その為のルールだろう?」

プッチには時間が必要だ。
新月は二日後、それまでにこのプログラムが終了し、事後処理まで終えられたら最後に必要な場所へと逃げ出す隙が無くなってしまう。
もちろんそれまでに首輪を解除する必要がある。それもこのプログラム中、最もサザンクロスが騒々しいこの時間でなくば難しいだろう。
ここは異世界、しかしそれでも神の国への道は閉ざされてはいないらしい。
その証拠はついさっきのあの出来事。
首輪には霊的な防御を用いているという知識はある。
そしてその防御を突破した手段を持つ者が、プログラムの参加者に居るらしい。
何としてでもその者と接触し、この首輪を外す。
そして予想されるBADANの追撃を振り切り、最後の場所、北緯28度24分、西経80度36分へと辿り着かなければならない。
最高の展開は、ガモンに知られる事無く首輪解除を成し遂げ、
参加者達がこの城へと押し寄せ、その対応に苦慮している間にこの城を抜け出す。

569>>563 ◆1qmjaShGfE:2008/06/05(木) 22:40:54 ID:ueQUKzrk0
しかしこれは高望みがすぎる。この城を覆う雷雲を突破する能力は彼等には無いだろうから。
焦りは禁物だ。だからといって無為に時間を費やすのも愚の骨頂。

「……もし良ければ参加者達の殺し合いを促進すべく私が手を回すが……策はある」
「ほう、言ってみろ」

現在の参加者構成から、次の24時間までの生贄とされそうな人物、最も精神の不安定なエレオノールを堕とす。
彼女は自分の身を犠牲にするも厭わぬと言ってはいるが、プッチの持つとある情報を渡す事で彼女は堕とし得る。
彼等が信頼する仲間であるパピヨンが、彼等が決して許さないだろう理由で津村斗貴子を殺害している事実。
この時の会話を録音したデータを聞かせれば、エレオノールは慣れぬ正義への義務感から暴走する。
幸い彼らは別行動をしてくれている。後々になって揉め出す前に布石を打っておくというのだ。
プッチの策をガモンは了承する。
彼の策がうまくいけば、強固な精神を誇る彼等の間に疑心暗鬼の芽を残す事が出来る。
それは恐怖による人心のコントロールを考えているガモンにとって、有益なテストケースとなり得るであろう。

こうしてプッチ神父にプログラム会場への移動許可が降りた。
この機会に首輪解除の手段を手に入れ、参加者達のサザンクロス襲撃に知恵を貸す。
当然リスクはあるが、全ては彼の計算通りであった。

570襲来!蝶男の帝王舞 ◆WXWUmT8KJE:2008/06/21(土) 14:34:53 ID:vx9w9hQA0

 青から赤に変わる信号を潜り抜けて、ライトを光らせて走る影が一つ。
 白い車体に大型の巨躯を持つバイク、クルーザーは人を三人乗せているのにもかかわらず、風のような速さを持って道路を駆け続けていた。
 操る者の腕もある。クルーザーを駆るものは、元の持ち主、神敬介と同じ称号『仮面ライダー』を持つ男、仮面ライダーZXこと村雨良。
 彼の腕を持ってクルーザーを手足のように扱っていた。
 もっとも同乗者に気を使って、速度を落としているのだが。
「あの、急いでいるのでしたら、私に気を使わなくても……」
 後ろから声がかかり、キョトンとした状態で村雨は後ろを振り返る。
 視界に入るのは、すらっとしたスレンダーな肢体に、銀髪銀目の女性。
 整った美貌が人形のような印象を持つが、意思を持った瞳が『人間』であることを主張していた。
 まるで功を焦っているかのような彼女の声に村雨はフッと微笑んで答える。
「君に気を使っていなくても、かがみには気を使わないとな」
「……そういえば、そうでした。思慮が足りずに、申し訳ありません」
「き、気にする必要ないわよ。ね、ねえ村雨さん」
「ああ、そうだ。エレオノール、君が気にする必要はない」
 いまだに村雨の運転に慣れない、髪を二つに結い、巫女服で未成熟な肢体を包む少女、柊かがみが村雨に声をかける。
 もっとも、エレオノールを気遣ってのことだ。
 かがみは、一時期自棄になり、ジョセフや三村という男に迷惑をかけたという。
 かがみは負い目を感じているエレオノールにある程度共感しているのだろう。
 その気持ち、村雨も理解している。村雨は、かがみよりもエレオノールに近い。
 なぜなら、村雨は記憶のため、エレオノールは人間となるため、人を殺しているのだ。
 ゆえにこの場にエレオノールを責める者など、誰もいなかった。
 罪を背負った三人。
 その三人が同行することになったのは、神の悪戯か。


『それでは午前6時、5回目の定時放送じゃ』

571襲来!蝶男の帝王舞 ◆WXWUmT8KJE:2008/06/21(土) 14:35:17 ID:vx9w9hQA0
 定時に現れる放送を前に、村雨はバイクを止めて二人に視線を送った。
 エレオノールとかがみの二人は無言で視線を送り返す。
 一旦バイクを止め、地図と名簿と筆記用具を取り出し、怒りに満ちた視線を天へと向ける。
 三人は死んでいった被害者たちを聞き逃さないと、しっかりと両足で大地を踏む。
『泉こなた』
 呼ばれた瞬間、かがみに肩がビクッと震える。覚悟していたとはいえ、かがみの中でこなたの喪失感が軽くなることはない。
 肩を震わせながら、かがみは気丈にも耐えた。
 この殺し合いで、何度も彼女の心を壊さんと攻め入った残酷な真実と戦い抜いた証だ。
 その様子に、村雨は安堵する。
『ケンシロウ』
 今度はエレオノールが沈む。村雨も彼の人柄を独歩に聞いただけだが、覚悟に負けないくらい勇敢な戦士。
 そして、エレオノールは彼に救われたと聞いている。
 村雨の気遣う視線に気づき、彼女は強い光を持った瞳で視線を返す。
 とりあえずは、信用しよう。村雨はそう決めて、次の名前を待った。
『劉鳳』
 村雨の眉が、ピクリと動く。記憶を失い、暴走する村雨を止めようとした正義感の強かった青年。
 神社で見た彼の死体を思い出す。もう、自分は彼に詫びて、殴られることもない。
 そのことが無性に悲しかった。
『ラオウ
範馬勇次郎 』
 強敵だった。ラオウはハヤテを殺した相手だが、どこか尊敬できる敵であった。
 そして、範馬勇次郎。今でも勝てたことが不思議な相手。
 散や本郷、ハヤテの力を借りなければ、勝つことはなかっただろう。
『川田章吾
赤木シゲル
以上十一人』
 呼ばれた名前に三人は丸くする。先ほど呼ばれた津村斗貴子を含め、向かっていた学校の目的の人物のうち、パピヨンを除いて死亡したのだ。

572襲来!蝶男の帝王舞 ◆WXWUmT8KJE:2008/06/21(土) 14:35:41 ID:vx9w9hQA0
 どういうことか、疑問を持つ。
 川田が襲来して赤木、津村斗貴子が死に、パピヨンが迎撃した、という流れが自然であるのだろう。
 しかし、三人は不安に包まれた。
 聞こえてくる禁止エリアを書き込み、まとめるように村雨が二人を見回す。
「とりあえず、学校へ行ってパピヨンに会おう」
「でないと、判断しようがないもんね……」
 かがみの同意を耳に、村雨はクルーザーにまたがって二人に乗るように促す。
 再びクルーザーを風と化すが、不安が黒い墨汁の染みのように村雨に広がっていく。
 肌に感じる風の温度が、冷たくなっていく感覚を村雨は覚えた。



「着いた……」
 村雨が呟いて、クルーザーを校門の前でアイドリングを続ける。
 舞い上がる土埃。吹き荒れる風に、硝煙の臭いが混ざっていた。
 校舎には焼け焦げたあとが痛々しく残っている。グラウンドにも、激戦の跡が見てとれた。
 ここで、戦いがあったのは確かだ。
 川田と、それ以外の人物の戦いだろうか? 答えを求めるため、村雨はバイクを降りる。
 目線で二人に隠れているよう指示するが、二人は首を横に振った。
 とっくに覚悟ができているというのだろう。罪悪感を抱えているエレオノールはともかく、かがみの態度に村雨は驚く。
「かがみ……」
「ごめんなさい、村雨さん。ここでこなたは死んだの。だから……ここでだけは退けない。
死んだこなたに、生きている私は大丈夫だって示したいの。
それに、ここに残っているパピヨンさんって人はこなたと仲良くしてくれたって聞いた。
夢でこなたがパピヨンさんに迷惑をかけてばっかりだったことを悔いていた。私は、パピヨンさんを信じたい」

573襲来!蝶男の帝王舞 ◆WXWUmT8KJE:2008/06/21(土) 14:35:59 ID:vx9w9hQA0
 村雨は目を丸くする。かがみはしっかりとした意思を持って、立っていた。
 今の彼女を止めるには、気絶させるくらいしか手はないだろう。なるべく、危険な道は行かせたくないが。
「問題ありません。村雨さん。二人は後ろに下がってください。このしろがねが盾となって二人をお守りします」
「「駄目に決まっている(でしょ)!!」」
 エレオノールの提案を二人は同時却下する。
 仲間を盾にするなど、とんでもない提案を受理する二人ではない。
 全力で否定されて、エレオノールがシュンとする。あまりの落ち込みっぷりに村雨はかがみと顔をあわせた。
 何かしら、役目を与えたほうがエレオノールのためになるかもしれない。
 村雨は再度、エレオノールへと視線を動かす。
「ならエレオノール、君は最後尾、殿を頼む。背後から敵に教われないように。
いつ、バダンの連中が追っ手を差し向けてくるか、分からないしな」
「はい! 私にお任せください。背後の敵はいかなるものだろうとこのエレオノールとあるるかん。
そして…………」
 武装錬金とエレオノールが呟いた瞬間、エンゼル御前が姿を見せる。
 トゥ、と勇ましく格好をつける御前の姿が、微笑ましく思わずかがみと笑顔を交わす。
「呼んだか? エレノン」
「ええ、私たちが役に立つ日が来ました」
「よっしゃ、俺も力を貸すぜ。お前らも大船に乗った気分で、安心しろよ!」
 小さな胸をポンとたたいて、むせる御前を尻目に、村雨が最前線に立って進む。
 ちょうど、戦闘力の皆無なかがみをはさむ陣形だ。慎重に足を進める三人と+1を前に、校舎より人影が現れる。
 陽光に姿をさらした男は、ぴっちりした黒いスーツに、蝶マスクをつけた男、パピヨンであった。
 首を見つめると、彼を拘束していたはずの首輪がない。
「パッ…………ピー?」
 御前が疑問をぶつける。それもそうだ。村雨の肌が粟立つ。
 かがみが不安げに村雨の袖をつかんだ。エレオノールがいつの間にか、村雨と肩を並べて警戒をしている。

574襲来!蝶男の帝王舞 ◆WXWUmT8KJE:2008/06/21(土) 14:36:29 ID:vx9w9hQA0
 その三人と+1を前に、パピヨンは笑った。

「なぁんだい? 御前」

 ニタァ……と、粘りつくような闇と共に、パピヨンが笑顔を作る。
 まるで、黒い太陽のような、笑顔を。



『以上十一人』
 天より振ってくる忌まわしい老人の声を聞き流しながら、パピヨンは偽装の解けた自らの首輪に工具を差し込んだ。
 ピン、と軽い音を立てて、パピヨンを縛っていた首輪が飛んでいく。
 もはや効力を失った首輪をパピヨンは醒めた目つきで見下ろし、デイバックを手に武道館を後にする。
 今の自分に必要な首輪は、いや爆薬の無効化された元首輪は一つで充分だ。
 分解し終えた後爆薬を無効化するのは簡単だった。
 それほど、首輪の爆薬は単純な構造だった。これはワザとだろう。
 スタンド制御装置、そして分解して分かったが、もう一つの装置と比べて、首輪についている爆薬はごく単純な構造だ。
 首輪の外観を空けて、爆薬と起爆装置が一体化しているブロック部品の電源をオフにするだけでいい。
 簡単すぎる爆発の無効化。各制御装置と比べて、あまりにも稚拙な技術。
 パピヨンはバダンの裏切り者が相当な地位を持つ科学者であると推察する。
(とはいえ、俺がすることは変わらないな。まあ、伊藤博士だっけか? この技術力を持つなら、いい部下になれそうだ)
 パピヨンは鼻を鳴らして、神棚に背を向ける。手に持った黒い核鉄が熱い。
 肉の塊となった川田が視界に入るが、パピヨンは何もないように通り過ぎた。

 ―― 人としての俺はおいてきたかい?

(ああ、おいてきたさ。もはや俺の名を呼ぶ男との決着など、色褪せた。未来が分かりきってしまったからな。
もう、俺の名を『愛を込めて』呼んでくれる者など、いなくなった)

575襲来!蝶男の帝王舞 ◆WXWUmT8KJE:2008/06/21(土) 14:36:47 ID:vx9w9hQA0
 まっすぐ歩くパピヨンの視線にブレはない。
 この言葉、昔はよく聞こえてきたはずだった。武藤カズキと出会い、聞こえることが少なくなった声のはずだった。
 こなたが傍にいてくれたときは、聞こえるなかった声。今は、クリアに聞こえてくる。
 そう、蝶野攻爵の声が。

 ―― そうか、安心したよ。さあ、行こう。


 ―― 帝王パピヨン


 脆弱なお前にいわれるまでもない。自然に、パピヨンの口がそう形作られる。
 いつの間にか、靴棚の並ぶ校舎の出口までパピヨンは来ていた。
 来客が来たようだ。迷わず、彼はそのまま進む。
 未来の自分の部下たちの下へ。



「お前……本当にパッピーか?」
「何を言っている。御前」
 パピヨンは御前に応えるように、腰に手を当てて、胸を張っている。
 キラーンと蝶マスクが陽光を反射し、御前の目に光が入って、思わず瞼を閉じた。
 長身に痩躯。身に包んでいるのは、本人曰く『舞踏会にも駆けつけられる一張羅』、周りから見ると『変態としか思えない』ぴっちりした黒スーツ。
 前分けの髪に、蝶マスクをつけた青年。目の前にいる男は、どこからどう見ても御前の知るパピヨンのはずだ。
 なのに、御前は目の前のパピヨンに違和感を感じていた。

576襲来!蝶男の帝王舞 ◆WXWUmT8KJE:2008/06/21(土) 14:37:07 ID:vx9w9hQA0
 いや、違う。どこか懐かしい感覚を、パピヨンから感じているのだ。
「ほう、村雨良……キサマがここに来たということは、意趣返しか?」
「違う! 俺はバダンに対して戦うと決めた。お前と協力をしたいんだ」
 村雨の声にパピヨンはほう、と興味深そうに視線を向けてきた。
 ねっとりと絡みつくような視線。御前は村雨をパピヨンは疑っているのかと思ったが、それにしては様子がおかしい。
 警戒している態度ではない。むしろ、余裕を持ってパピヨンは村雨を視線を動かしている。
 何かが、おかしい。御前の第六感が告げるが、何がおかしいのか違和感の正体をつかめない。
「協力か。存分にしてもらうさ」
 パピヨンの言葉に、村雨の表情が晴れる。パピヨンがあっさりと村雨を受けれると考えていなかったからだろう。
 パピヨンと村雨は交戦した記憶しかない。疑い深いパピヨンが受けれるはずはなかったのだ。幸運だと思うのだろう。
 それが、もう一つの疑惑。
 御前はなぜ、パピヨンが受け入れるのか疑問を持つ。
 あの、疑り深く、カズキ以外を信用しないパピヨンがだ。
「お、おい。パッピー、いいのか?」
「何を言っているんだ、御前? 俺が素直に協力するのがいけないのか?」
「いや、そういっているわけじゃねーけど……」
「……すまない。パピヨン、助かる。首輪も解除できるようだしな」
 疑問を浮かべる御前を尻目に、村雨が握手を求めて手を差し出そうとする。
 それを見つめるパピヨンの目が、かつて見たドクター・バタフライの目と重なった。
 御前の背筋に怖気が走る。思わず、御前は握ろうとするパピヨンの手に体当たりをして弾いた。
「何をする?」
 パピヨンの呟きに同意するように、御前に三対の瞳が突き刺さる。
 それでも、御前は毅然とした態度を崩さず、仲間であるはずの、今では唯一の知り合いとなったパピヨンを、睨みつけた。
「……パッピー。一つ聞かせてくれ……」
 搾り出すように、御前は告げる。これだけは確認しなくてはいけない。

577襲来!蝶男の帝王舞 ◆WXWUmT8KJE:2008/06/21(土) 14:37:20 ID:vx9w9hQA0
 パピヨンの瞳を御前は必死に射抜き、口を動かした。
「放送で流れた、ツムリンを殺したの、お前か?」
「いいや、奴は川田に殺されたぞ」
 あらかじめ赤木と打ち合わせをしていた台詞を、パピヨンが言っただけだと御前は気づかない。
 それでも、決定的にパピヨンと道が別れたことを、悟ってしまった。
「……そうか……ところで、なんでお前…………」
 御前は口にしたくなかった。唯一の知り合いであり、あの銀成市の愉快な仲間を失いたくなかったからだ。
 もう、誰一人として、御前の知る知人はいなくなったのに。

「何で、戦った後なのに傷が癒えているんだ? まるで人を食ったホムンクルスみたいに……」

 涙をたたえた御前がパピヨンに告げる。
 パピヨンはニヤァと腐ったドブ川よりも濁った瞳を、向けていた。


 御前の推理には穴がある。
 核鉄を二つ保有していたゆえ、傷が癒えたということにしてもよかった。
 激戦を持っているため、傷が再生したということにしてもよかった。
 パピヨンはそれのどれも選ばない。
 帝王は揺らがない。慌てない。
 そして、

「ああ、俺は食ったぞ。泉こなただった物を」

 帝王は隠れはしない。


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