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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

931マジェント:2012/10/04(木) 00:38:08 ID:QUno.Auo

はたしてそこには、咳き込んでいるマジェントがいた。
「ゴホッゴホッエホッ……ゲホ!ゴホッ
 グッ……ゲホ、あ〜……やっぱ駄目だなあ〜…ゴホッ
 やべ、ハナ水でてきた……ハンカチあったかな」
「…………」
「ゴホッゲホッ、もうちょっと埃おさまるまでスタンド被ってりゃあよかった……」
「なんで……」
「あ、見てた〜?袖で拭いちゃった……ゴホッゴホン
 ハンカチかティッシュ持ってるかい?
 昨晩までは持ってたのにな……なんでかハンカチとかってすぐどっかいくよなあ〜
 ポケットの中は暗黒空間に繋がってるんだろうなあ……ゲホ」
「だから何で、まるで無傷なのよ!!
 わたしがこんな無様を晒してるってのに!!
 卑怯よ!ずるいわ!何様?!」
ルイズはマジェントの座っている席に詰め寄った。
ルイズの服の裾は破れて、かすり傷を受け、顔は煤で汚れている。
彼も同じような至近距離でもろに爆撃をくらったはずだ。
それなのに彼ときたら、爆発など一度として起こらなかったかのようだ。汚れてもいない。
「ゲホッ……確かに間に合うかどうかギリギリだったけど、ルイズが杖を振ったら爆発したのを今朝も見てたからなああ〜
 爆発すんの、なんか唱えてからだし……
 このオレにかかれば余裕だぜ」
「だから、どうやったかって訊いてるのよ!」
「『スタンド』………」
「え?」
彼は言いかけたところで、何か悪い事でも思いついたようにニヤリと笑った。
「なあ……ゲホッ……今、ギャグ考えた…批評してくれる?
 これ聞いてくれりゃあ、『スタンド』について教えてやるぜ」
ルイズは彼の鼻先に杖を突きつけることで返答とした。
ただでさえルイズの虫の居所が悪いのに、彼は人の神経を逆撫でするようなことを言う。
彼は、不適なニヤニヤ笑いをしたまま、椅子の上で行儀悪く膝を立ててルイズを挑発した。
「爆発させてみるかい?
 やってみるのも……いいかもな」
ルイズはできるだけ素早く短いルーンを唱えた。
しかしそれは、彼が『20th・センチュリー・ボーイ』を発動するのに十分に足る時間だった。
そして彼女は、彼が爆発を『受け流す』のを目の当たりにした。
それは異様な光景だった。
彼の眼前で起こった爆発のエネルギーは、彼の身体の表面に触れた瞬間、方向を『逸らされ』、あるいは体表を滑って地に、あるいは空中に散った。
爆発は彼に触れるか触れないかのところを素通りしていく。
爆炎や爆風は彼に一筋の爪痕も残さずに通り過ぎていき、彼が座っている椅子や机を傷つけた。
ルイズは、彼の背後にある机が盛大に半壊したのを見た。
彼女は爆発のあおりを受けて髪の毛を乱していたが、彼の帽子は吹き飛びもしなかった。
軋んだ音を立てて分解寸前の椅子と机に囲まれて、立て膝で座った彼だけが無事だ。
先ほどもこうして、爆発に包まれた教室の中で、彼だけがなんの被害も受けなかったのだろう。
彼はあらゆる衝撃から隔離され、空間からとり残される。

「ありえないわ………何の魔法よ……」


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