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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

922マジェント:2012/10/04(木) 00:24:11 ID:QUno.Auo

ルイズは、この不敬な使い魔を床で粗末な食事をさせることで、ちょっとでも使い魔の立場というものを理解させるつもりでいた。
そしてその試みはある種成功し、ある種失敗した。
マジェントは座ったまま自分の食事に手をつける前に、食堂の様子を見渡し、こう言った。
「あのさあ、気になったから聞いてくれよ」
「なに?」
「ほかの……使い魔ってやつはこの食堂にいないのか?見当たらないぜ」
「普通は食堂に使い魔なんて連れてこないわ!
 わたしが好意で特別に入れてやってるんじゃない!」
マジェントは彼女の顔を見上げた。
「好意か?ならいいんだぜ……
 てっきり、あんたがオレを見下すためにやってるのかと思ったけど、そんなハズねえよなぁ〜
 あんたはオレのことを、対等に扱ってくれるんだろ……?
 ルイズは来てくれたんだからな……」
言っている内容は軽口のようだったが、彼は剣呑な表情をしていた。
彼は信頼を踏みにじられたことを思い出していた。
ひたとルイズの目を見つめている。
真剣に、確認するように言った。
「オレを道具扱いとかクズ呼ばわりとか……助けに来てくれなかったりとか、ルイズはそんなことしないよな」
ルイズは不穏な雰囲気を感じて唾を飲んだ。
迂闊な返事をしてはいけない気配があった。
彼は床からルイズを、片方しかない目で見上げている。
彼が、『見下されている』と判断するのはどのくらいの範囲だろう。
使い魔はメイジの手となり足となること、と説明しているとき、彼は不満は表したがルイズを見限りはしなかった。
罵倒しても、爆発をくらわせても、平然とルイズについてくる。
今だって、ルイズが「ここの床で食事を与えたのは好意からだ」と説明すれば、彼はルイズの意図など気づかず納得するだろう。
しかし、もしルイズが「最底辺の人間らしく無様を晒せ」と嘲ったら、彼はどうするだろうか。
実際のところ、ルイズが彼を見下しているのは本心だったが、そこまで口に出して言わないと彼は気づかないだろう。
とっくに人間扱いされてないことくらい気づけと思う。いや、この場合、その鈍感さを幸いととるべきなのか。
ルイズが彼を助けたというだけで、彼は彼女を楽観的に信頼しているのだ。
この男、勝手にこちらに入れ込んできている分、蔑ろにされていたと気づけば被害妄想を爆発させて逆恨みしてきそうだった。
好意が一方的なら、恨みも一方的なのだ。
彼ごときに恨まれても深刻な事態に陥るとは思えないが、念のためという言葉もある。


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