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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

740ゼロいぬっ!:2009/07/01(水) 23:40:28 ID:fafafQwU

夢を見た。才人とアイツの夢だった。
才人がアイツを連れてどこかに行ってしまう。
その背中に追いつこうと必死になって走っても届かない。
大声を上げて呼び止めようとしても足を止めようとしない。
やがてアイツらは立ち止まってこっちに振り返る。
そして私に向かって手を振ると消えてしまう。
そんな怖いような、悲しいような夢だった。

胡乱な頭でベッドから起き上がる。
上半身だけを起こして辺りを見渡すも目に映るのは見覚えのない物ばかり。
学院の寮とも実家とも違う光景に頭がついていかずに戸惑う。

「……えーと」

寝ぼけ眼をこすりながら記憶を呼び起こす。
(そうだ。私達はアルビオンに……)
そこまで思い出して彼女は慌てて周囲を見渡す。
いない。どこにもいない。
部屋の中に才人の姿はどこにもなかった。

イヤな予感が胸の中を塗り潰す。
掛けてあったローブを引ったくって上から羽織ると、
そのまま船室を飛び出してルイズは駆け出した。

「……あのバカ!」

走りながら思い出すのは教会での一幕。
あの時に交わした杯の中に何かを入れたに違いない。
眠りに落ちる前の、優しげな才人の顔が目に焼きついている。
それがもし別れを決意したものだったとしたら……。
長い髪を乱しながら頭を振るう。
そんな事はない。まだ呼び止めれば間に合う。
二度も、二度も繰り返してたまるものか。
あんな悲しい別れは一度だって十分なのに。

息を切らせてルイズはようやく甲板へと辿り着く。
雨に濡れるのも構わず彼女は船縁へと走り寄る。
しかし、そこに見えたのは遠ざかっていく港だった。
もはやフライを使おうとも届くような距離ではない。
次第に小さくなっていく港の明かりを見ながら、
ぺたんと彼女はその場に力なく膝をついた。

もう間に合わない。
いえ、きっと追いついたとしても止められなかった。
雨ではない雫が頬を伝って零れ落ちる。
もう二度と失くしたくなくて、今度こそ私が守ろうと、
怖くても才人が生きていてくれるならとなけなしの勇気を奮った。
―――なのに、また私だけが生き残った。


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