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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

710ゼロいぬっ!:2009/05/19(火) 21:19:09 ID:04CJGkrk

「それでお前達はどうする? 今ならまだ追いつけるぞ」
「ウェールズ陛下が生きているかどうかは分かりません。
ですが、陛下の下された最後の命令はまだ生きていると確信します」

笑みを浮かべて隊員の一人はそう答えた。
『アルビオンから脱出する船を護衛せよ』
あの時とは状況も意味も違うがトリステイン王国は紛れもなく同胞だ。
それを討たんとするウェールズの行動は命令を下した時とは真逆。
ならば己の内に存在する陛下の御心に従うべきだと彼等は判断した。
そうか、と満足げな笑みを浮かべた隊長が彼等と敬礼を交わす。
隊員達が港へ引き返そうと火竜を反転させる。
しかし続くと思われた隊長はまだその場に留まっていた。

「どうされたのですか? 何か騎竜に不調でも?」
「お前達は先に行け。俺はやる事が残っている」

そう言いながら彼は火竜を全力で駆けさせた。
誰が信じるだろうか、七万の大軍を相手に一人で殿を務める大馬鹿野郎の存在を。
もうとっくに殺されているかもしれないが、それでも彼は竜を飛ばす。
タルブの時の無念が心に染み付いていたからかもしれない。
遠ざかっていく隊員達の声を背に受けて彼は力強く答えた。

「英雄殿を迎えに行くんだよ!」

アルビオン王直属竜騎士隊
……王党派残党の脱出およびタルブ戦で大半が戦死。
生き残った内の2名は神聖アルビオン共和国へと下った事が判明、
隊長以下3名は追撃する先遣竜騎士隊と遭遇、
これと交戦した以降の消息は不明。


軍艦に群がる兵士達とは別に、港のやや離れた場所からそれを窺う一団があった。
誰もが厳つい風貌をし、野盗と見紛わんばかりの彼等はトリステインに雇われた傭兵達だった。
中でも彼等は一人一人がそれぞれの傭兵団を抱える頭目。
その彼等は船に乗り込もうとはせずに黙って成り行きを見届けている。
脱出が優先されるのは高級貴族、次いで中流貴族、下級貴族、正規兵、志願兵……、最後に傭兵だ。
どんなに慌てても順序が入れ替わる事はないだろう。
それを知っているからこそ傭兵達は動かないのだ。

「どうするよニコラ。このままじゃ俺ら皆殺しだぜ?」
「いっその事、あの船やっちまうか?」

だが危機が差し迫っている状況に変わりはない。
リーダー格の男に今後の相談を持ちかける中、
一人が出航の準備を続ける戦列艦を指差して銃の引き金を引く仕草をする。
それは空賊や海賊が好む、襲撃を意味するサイン。
乗せてもらえないのなら奪ってしまえばいい。
短絡的な行動かもしれないが傭兵達の中にはそれを副業とする者も多い。
手馴れた奴がいればたとえ正規兵だろうと混乱している相手に遅れは取らないだろう。
僅かに現実味を帯びた提案にニコラは静かに首を振った。

「やめとけ。港を出た所で沈められるのがオチだ。
仮に逃げられたとしても脱走兵を受け入れる所なんてありゃあしねえよ」

既に何隻かは出航しており船団を組む為に沿岸に待機しているはずだ。
上手く奪えたとしても素人が操船する軍艦なんざ鴨を撃つよりも容易く沈められる。
ニコラの返答に一同は大きく溜息を零した。
彼が無理と言った以上、それはどう足掻こうとも無理だと悟ったのだ。
しかし、すぐに別の者達が新たな提案を持ち出す。


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