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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

703ゼロいぬっ!:2009/05/19(火) 21:10:42 ID:04CJGkrk

息せき切らしてアルビオン軍の伝令が陣中を駆け抜ける。
歓喜とも困惑とも取れぬ表情を浮かべながら天幕の中へと入り込む。
左右には衛兵が立ち、その中央では二人の男がテーブルに地図を広げて軍議を行っていた。
アルビオン軍と連合軍の配置を示す白と黒の駒。
数に勝る連合軍はアルビオン軍を半包囲し、戦の趨勢も決したかに見えた。
しかし、それを覆す報が伝令より齎される。

「報告します!連合軍内にて叛乱が発生した模様です!
詳細は不明ですが敵軍は混乱し、中には同士討ちを始める者達も!」

その報告にホーキンスは思わず耳を疑った。
優勢な状況にある連合軍で内部分裂など有り得ない。
何が起きたのかを把握しようとする彼の隣で、
表情一つ変えないまま総司令は報告された地点の駒の配置を動かす。
ホーキンスが見下ろした先には、アルビオン軍によって包囲される連合軍の縮図が広がっていた。
もし、このまま完全に包囲し殲滅する事が出来たならアルビオンの勝利は確定する。
息を呑むホーキンスの横でアルビオン軍総司令は呟いた。

「さもありなん。所詮は目先の利益で繋がっていた連中に過ぎない。
勝利を前にして主導権を握らんと、どちらかが仕掛けたのだろう。
いくら御題目を立てようと正義は我等にある。アルビオンの民もそう気付いたはずだ」

果たしてそうだろうか、とホーキンスは疑念を払拭できずにいた。
レキシントンでの戦いの時も『ロイヤル・ソヴリン』号が反旗を翻すなど、
貴族派が苦境に立たされると何故か戦局を覆すような反乱が起きた。
もし、それが誰かの意志によって引き起こされたのだとしたら我々は何の為に戦っているのか。
信念も誇りも何の意味も持たない、ただの駒ではないのか。
かつて憧れた理想との落差にホーキンスは悔しくて唇を噛んだ。

「これより我が軍は追撃戦に移る。陣頭指揮は任せたぞホーキンス。
この天候では軍船も容易に出港できまい、アルビオンから一人として生かして帰すな」
「はっ! ……ですが、本当によろしいのですか?
トリステインのアンリエッタ女王は陛下の従兄妹君……いえ、それ以上の」
「ホーキンス」
「出来すぎた真似をしました、お許しを」

低く響いた声にホーキンスは身を固くして頭を下げた。
しかし、それを窘めもせず頭を上げるように促すと彼は続けた。

「私とて彼女を信じたかった。だが、現に彼女はアルビオンに侵攻した簒奪者なのだ。
正統たるアルビオンの継承者である私が戻ったにも関わらず彼女は軍を退こうとはしなかった。
私は私情は捨てたのだ。貴族派も王党派もなく、ただアルビオンを守る為に。
それが私を匿ってくれたクロムウェル司教へのせめてもの手向けだ」


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