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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

699ゼロいぬっ!:2009/04/25(土) 17:03:37 ID:dPBRqNnM

「やっと分かったような気がするぜ、相棒。
なんで今頃になって、その首輪が出てきたのかな」

視線を落とした先には擦り切れ褪せた首輪。
その感触を確かめながらデルフの言葉に耳を傾ける。

「それはバトンだ。前の相棒から今の相棒へ受け渡されたバトンだ」

寿命のないデルフは多くの生命を生まれ死んでいくのを見つめてきた。
彼の目を通して見た人の一生はゴールの見えない競争のようだと思った。
あっという間に駆け抜けていく者、ゆっくりと一歩ずつ踏み締めていく者、
倒れても立ち上がり、足を止めても再び歩き出し、自分の歩んだ道を振り返る。
善も悪もなく一人一人が、ただあるかどうかも判らないゴールへと向かう。
それは長命の種族から見れば儚く、また愚かしい行為に映るかもしれない。
しかし、デルフはそれを羨ましくも思う。
そう思うからこそ剣として彼らの人生に関わるのだ。
デルフは一度だけ前の相棒に生まれを聞いた事がある。
ここに来るまでの彼は生きていなかった。
生きる意味も知らずに、ただ心臓と脳が動いているだけの実験材料。
きっと嬉しかったに違いない。自分の人生が得られた歓喜に沸いたのだろう。
誰よりも早く走り続けてゴールを駆け抜けてしまった。
それできっと満足だった。
ただ、一人残されるルイズの事を不安に思ったんだろう。
だから袖を引っ張って相棒を連れてきた。
共に支えあいながら彼女と一緒に歩んでくれる奴を。

「お前さんに未来を託したい、そんな気持ちの表れなのかも知れねえな」
「……買いかぶりすぎだ。俺はそんな御大層な奴じゃない」

デルフの言葉に才人は謙遜ではなく本心で答えた。
彼の覚悟も勇気も力も引き継げるほど自分は強くないと。
だけど、と付け加えて首輪を力強く握り締めた。

「俺は絶対にルイズを一人にしない、それだけは誓える」
「ああ、きっとそれが聞きたかったんだよ、アイツはな」

この宣誓は前の相棒に届いただろうか。
いや、聞こえているはずだ。
だから安心してくれ。お前が選んだ奴に間違いはなかった。
そして俺も全てをかけてでも相棒を守る。
それがお前を死なせちまった、俺のせめてもの償いだ。


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