したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

691ゼロいぬっ!:2009/03/24(火) 22:21:09 ID:cHNLclts

もう長くはないと自分でも判っていた。
いや、“自分だからこそ”かもしれない。
そのせいでルイズをまた泣かせてしまうかもしれない。
“ごめんなさい”と心の中で詫びながら、もう一方の手で彼女を撫でる。

「私の可愛いルイズ。今は泣いていいの」

いつまでこうしていられるかは分からないけれど、今だけは胸を貸してあげられる。
強くなってねルイズ。私がいなくなっても大丈夫なぐらいに。
―――そして、貴女の心にいつまでも私を居させて。


(全く……。損な役回りね)
植え込みの陰に隠れながら様子を窺っていたエレオノールが愚痴る。
カトレアの部屋に逃げ込んだと思い探してみれば、ルイズどころかカトレアも不在。
慌ててカトレアの足取りを使用人達に問い質しながら、ようやくここを探り当てたのだ。

エレオノールとてカトレアに負けず劣らずルイズの事を心配していた。
だが彼女はどうしようもないほど不器用で、上手く愛情を表現できなかった。
そういう所が血筋なのだろうかと、つい思い悩んでしまう。
カトレアにしがみつき泣きじゃくるルイズを見て、
子供の頃と全く変わってない事に安堵と呆れが同時に込み上げる。

「しばらくぶりだものね、もう少しぐらい見逃してあげるわ」

溜息を零しながら、カトレアに似た温かな眼差しがルイズに向けられる。
直後。彼女の脳裏に妹に泣きついた先日の自分の姿が蘇った。
その光景がカトレアの胸で泣き続けるルイズと重なる。
鋼の令嬢とまで呼ばれた彼女にとって、あの失態は闇に葬りたい過去だ。
もし使用人が目撃したならば即座に生き埋めにし、
掘り返されないように真上に教会を建築していたであろう。
見ているだけで恥ずかしい記憶を揺り動かされるという、正に生き地獄。
遂に耐えかねたエレオノールが飛び出して叫ぶ。

「ここにいたのね、ちびルイズ!」
「え、エレオノール姉様!?」

恥ずかしさからか、飛び跳ねるようにカトレアから離れるルイズ。
その彼女目掛けてエレオノールは手を伸ばした。
一瞬にして彼女の頬を抓り上げると教師のような面持ちで彼女に告げた。

「『お』が抜けてるわよ」
「ほ……ほへんはひゃい……へれほほーるほへえはは」

じゃれあうような姉妹喧嘩、それを遠巻きに見ているカトレアがくすくすと笑う。
幼き頃より当たり前のように繰り返されてきた日常の風景。
だけど、いつの日かルイズは思うだろう。

姉妹で共に過ごしたあの日々は黄金にも勝る思い出だったと。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板