したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

685ゼロいぬっ!:2009/03/24(火) 22:14:40 ID:cHNLclts

ラ・ヴァリエール公爵は落ち着かない様子でカップに注がれた紅茶を啜った。
魔法学院に入学して以来、顔を合わせていない娘が帰ってくるのだ。
悪い虫が付いていやしないか、悪い級友にいじめられていないかと不安だった彼が、
その帰りを今か今かと待ちわびるのは至極自然な事だった。
しかし、彼の心境はとても複雑であった。
彼に突き刺さるような視線を向ける二人の女性。
愛する家内と長女、実質的なラ・ヴァリエール家の支配者コンビだ。

「分かっていますね。けっして甘い顔はしないように」
「そうよ。あれだけ忠告したのに戦場に行くなんて!
今回は運が良かっただけ。調子に乗ったら次は間違いなく死ぬわ」
「わ……分かっているとも。ルイズには厳しく私から言っておこう」

その言葉が信用に足らないとばかりに、さらにジロリと鋭い眼が向けられる。
身体を縮こませるようにして公爵は再びカップに口を付ける。
トリステイン有数の実力者も家庭ではほとんど立場がなかった。
厳格な性格で知られるラ・ヴァリエール公爵だが、所詮は可愛い娘には勝てない男親である。
ましてや末娘でメイジとしての出来も悪いとなれば放っておけなかった。
彼女達もルイズが嫌いなわけではなく、その身を心配しているからこそ怒っているのだ。

ここは心を鬼にして彼女を厳しく罰するのが正しいのだろうが、ルイズに嫌われると思うとどうにも腰が引けてしまう。
かといって“出来ません”などと答えようものならどうなるか。
最小限に手加減されたとしても半年は施療院から出られなくなるだろう。
そしてルイズは徹底的な制裁を加えられて一生もののトラウマが刻まれるかもしれない。
やはり、名目上とはいえ家長である私がやらなければならない事だ。
そう言い聞かせて己を奮い立たせる彼に、老執事が声をかけた。

「旦那様。ルイズお嬢様がたった今お戻りになられました」
「う、うむ。では早速出迎えに……」
「必要ありません。エレオノール、あの子をここへ」
「ええ。頬を引っ張ってでも連れてきます」

席を立とうとする夫をカリーヌが制す。
命令ではないただの一言。
だが、それは絶対遵守の力を以って公爵を椅子に釘付けにした。
鼻息荒くエレオノールが出て行ったことで、必然二人きりの状況が作られる。
張り詰めた空気を察した老執事は“さて、歓迎の支度を”と、
あからさまな言い訳をしながら、そそくさとその場を立ち去った。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板