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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板
665
:
ゼロと奇妙な隠者
:2008/11/27(木) 23:18:17 ID:9qU/x0Us
反射的に銃や杖が向けられるが、しかし今の今まで竜騎士隊と交戦していた竜から現れた人影へ問答無用に攻撃を仕掛ける者は居なかった。
トリステイン軍の前方、アンリエッタの付近へ向けて落ちてくる最中にフライの魔法を唱えた影は、マントを風にはためかせながら声も限りに叫びを上げた。
「アンリエッタ!」
風に乗せられて届いた声に、アンリエッタの目がこれ以上はないほど開かれた。
「ウェールズ様!? ウェールズ様なのですか!?」
王女の口が紡いだ名は、呼ばれるはずのない名前だった。
トリステインの王女が様を付けて呼ぶ「ウェールズ」はレコン・キスタとの戦いで華々しい戦死を遂げ、既にこの世の者ではないと言う事になっているからだ。
返事をする間も惜しいとばかりに、ウェールズは一直線にアンリエッタの側へと降り立った。
突然の事に周囲のメイジ達が一斉に杖を向けるが、マザリーニは彼をアルビオン王国皇太子であるとすぐさま判別をつけた。
「各々方待たれよ! この方はアルビオン王国が皇太子、ウェールズ・テューダー様なるぞ! 今すぐその杖を下ろされい!」
その声に杖は幾許かの躊躇いの後で下ろされるが、アンリエッタとウェールズは杖の行方など最初から一瞥もくれていなかった。
アンリエッタはこれまで辛うじて続けてきた王女としての振る舞いを今ばかりは完全に忘れ、ただの恋する少女に戻ってしまっていた。
「ああ、ウェールズ様! この様な時に来て下さるだなんて……!」
それでも人目も憚らず抱擁を求めてしまうほど自分を見失ってはいなかったが、右手までは気持ちを抑えることも出来ず、ウェールズを求めるように伸ばされていた。
ウェールズは恋人に向けて差し出された手を、王子としての手で取ると、自然な動作で甲に唇を落とした。
「話は後だ、アンリエッタ・ド・トリステイン。僕はアルビオン王国の生き残りとしてトリステインへの援軍に来ているんだ。もうすぐ艦隊からの砲撃が始まる、すぐに部隊を集めて――」
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