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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

650ゼロと奇妙な隠者:2008/10/27(月) 12:41:18 ID:mRC/mIpA
 日蝕の前日。
 ゲルマニア皇帝アルブレヒト三世と、トリステイン王女アンリエッタの結婚式を三日後に控えたその日の朝。
 トリステイン王宮は、式が行われるアルビオン首府のヴィンドボナへのアンリエッタの出発の準備を控え、上から下まで慌しく駆け巡っていた。
 トリスタニアからヴィンドボナまでは、馬車で行けば半日弱しか掛からない。
 しかし政略結婚と言えども、一国の皇帝と王女の婚礼の儀は建前上目出度い代物であり、祭儀として華々しく、且つ恭しく執り行われるべき代物である。
 トリステイン首都のトリスタニアからヴィンドボナまでの旅路そのものが盛大なセレモニーであり、足早に急ぐような野暮な真似が出来るわけも無い。
 半日弱の旅路をたっぷり時間をかけ、式前日の夕方にやっと到着することになっていた。
 千の御伴を連れて立ち並ぶ行列の主賓たるアンリエッタ自身は、まるで病に冒されたような白い面持ちのまま、今朝本縫いが終わったばかりのウェディングドレスに身を包んでいた。
 上質の絹で織られた美しいドレスを着ているというのに、ドレスの色を黒く染めれば葬儀の場に立っていてもなんら違和感を感じさせない佇まいであった。
 出発の時間まで四半刻となった頃、王宮に突然の報がもたらされた。
 国賓歓迎の為、ラ・ロシェール上空に停泊していた艦隊全滅の知らせ。
 それと時を同じくし、神聖アルビオン共和国からの宣戦布告文が急使に拠り届けられた。
 ラ・ロシェールに配備されていたトリステイン艦隊が突如不可侵条約を無視して親善艦隊に理由なく攻撃を開始し、一隻の戦艦が撃沈された為、アルビオン共和国政府は『自衛の為』『やむなく』トリステイン王国政府に対して宣戦を布告する旨が綴られていた。
 トリステイン王宮はこの知らせに騒然となり、急遽将軍や大臣達を招集した。
 しかし名誉ある貴族が雁首揃えてやることと言えば、豪奢な大会議室でただ言葉を踊らせるばかり。
 やれこれは互いの誤解から発生した不幸な行き違いだ、アルビオン政府に対し真摯な対応をすべきだ。いや今すぐゲルマニアに急使を飛ばし、同盟に従い軍を差し向けるべきだ。
 誰も椅子から腰を上げようともせず、下の者を動かそうともせず、ただひたすらに終着点が考えられていない互いの意見ばかりが飛び交い、なんら実のある結果に繋がる気配は見えなかった。


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