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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

614ポルナレフ+ジョルノ_第二章_3-3:2008/08/24(日) 21:48:42 ID:8QeVE4.A
どなたか代理投下をお願いします。


先行していたルイズは、ジョルノ達より幾分早く宿に着いていた。
そのホテルは貴族用の、この港町では一番上等な宿、『女神の杵』亭で、普段なら事前予約が必須の宿だった。
だが、その宿も今は従業員以外に人気は無かった。
アルビオンとトリスティンの玄関口として賑ってきたと言う街の成り立ちから、アルビオンが内戦になってからはそこへ商売をしに行く商人達くらいなもので、主だった客層はこなくなったからだ。
今のアルビオンに向かう者達の中に、『女神の杵』亭を利用するような手合いは殆どいない。
浮遊大陸から戦火を逃れてきた者の中には貴族も多数いたが、近日中に内戦が終わろうと言う段になって逃げてくるような者はいなかった。
今浮遊大陸から出てくるのは、王党派についていた傭兵達だけ。
安宿の酒場から順に賑わっているようだが、平民と一緒に食事をしたがらない者も多い貴族様御用達の『女神の杵』亭には関係の無い話だった。
逆に、同じくなのしれた宿でありながら平民でも構わず受け入れる隣の宿『世界樹の枝』亭は今現在全室満員で、一歩宿を出れば同じく一階に設けられている酒場の騒ぎが聞こえてくる。

そんな宿にあって、最近暇を持て余していたホテルマン達は、一階の酒場をウロウロするルイズに愛想良く、あるいは目障りにならないよう粛々と己の職務を果たしている。
酒場の中にいるのも従業員を除けばルイズ達だけ…この宿で部屋を取っているのも、ルイズ達だけだったので従業員達の態度はとてもよかった。
ホテルマン達に、その傭兵達の中にはアルビオンから逃れてきた貴族を捕まえている者もいると聞かされたルイズは気が急いて、そうした仕事振りには気付かなかったが。

「いやしかし、話には聞いていたが…彼の財産は一体幾ら何だろうね」
「男爵? 彼って…ネアポリス伯爵のことですか?」
「ああ。さっき小耳に挟んだんだが、隣の騒がしい宿。この戦争が始まる前後にある貴族が買い取って『平民でも泊まれるように』としてしまったらしい…その貴族が」
「伯爵だと?」
「ああ、代理人ではあったらしいが。間違いないな」

久しぶりに再会した婚約者とは正反対に酒場の椅子に座って背にもたれかかり、ワインまで開けて寛いだ様子のワルドは、数日前より若返ったように見える笑顔を浮かべた。
ルイズは自分が説得に失敗し、ジョルノ達が今足止めしているはずの母に長髪と髭をばっさり刈られ五歳は若返ったワルドを咎める。

床と同じく一枚岩からの削り出しで、ピカピカに磨き上げられたテーブルに、ワルドの顔が映っている。
ワインのビンが置かれたテーブルにワルドのリラックスした様子が映り、ルイズをより焦らせた。

「ワルド…貴方飲みすぎよ。任務中に不謹慎だわ」

アルビオン行きが決まった晩に、配下の者へ連絡してこのホテルを買い取ったネアポリス伯爵家の財産を計算していたワルドは数年ぶりに再開した婚約者のその表情を可愛らしく思い、笑顔を浮かべた。

「君こそ、もう少し落ち着いた方がいいな…今からそれでは先が続かないからね」
「そんなことはないわ!」

重要過ぎる任務中にワイン片手に言う婚約者の姿は、数年前彼女が憧れて恋した相手と落差があった。
美化されたイメージとの差に対する落胆が間髪入れずにルイズにトゲトゲしく反論させた。
近衛隊と切り離せない幻想との付き合いが長いワルドはそれを承知し、困ったような顔をして話を続ける。

「それにどうせ、アルビオンに渡る船は明後日にならないと、出ない」
「急ぎの任務なのに……」


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