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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

601使空高:2008/07/29(火) 12:57:18 ID:o5O3.CNw
「あら。お戻りになるの?」
 息をつくリキエルにキュルケが言った。
振り返りもせず、リキエルは手を振ってそれに答え、さっさと歩き出しているルイズの後に続い
た。淡白にすぎるかもしれなかったが、声を出せるような状態ではなく、挨拶するのもおっくうで
仕方がなかった。
 部屋にいたのはものの五分くらいだったろうに、リキエルはどっと疲れていた。


 ルイズの部屋に戻ったリキエルは、それでも心休まりはしなかった。キュルケの部屋で何をして
いたのか、多分その弁明をしなくてはならない。だがトカゲに引っ張られて仕方なく、などという
言い分がはたして通るものかは、たとえば自分がそう言われたとしても疑問だった。
 どんな言い訳をすればいいかリキエルは模索したが、うまい説明のしようはなかったし、いい嘘
も考えつかなかった。
「リキエル」
 頭をかかえていると、ベッドに腰を下ろしたルイズが不機嫌な顔で話しかけてきた。罵倒がくる
か叱責がとぶか、はたまた飯を抜かれるか。三つ目が一番こたえるなと思いながら、リキエルは片
目を向けた。
「顔色が悪いわよ、またパニックなんて起こさないでよ」
「……」
 思わずリキエルは身構えていたが、ルイズの言ったことは、激しく予想と違うものだった。まず
詰問されるくらいは順当な流れとリキエルは考えていたので、聞きようによっては身を案じるよう
な言葉をかけられたことで、肩透かしをくらった印象もある。別に、ルイズは怒っているわけでも
何でもないのだろうか。
 しかしそうすると、ルイズがこうして不機嫌そうにしているわけがわからなかった。朝の手紙の
件をまだ根に持っているのかとも思ったが、それなら罰を増やすとか、もっと直接的なことをして
くるはずだ。
 その思考が顔に出たか、ルイズはぶすっと顔をしかめて、わずかに身を乗り出した。
「あによ、ヒバリの声で鳴くカラスを見るような顔して」
「正直に言えば、てっきり怒っているものだと思ってたからな。キュルケとは折り合いが悪いみた
いだからよォ――、そんなキュルケと使い魔が一緒にいて、怒り心頭じゃないかってな」
「勿論よ! あああの色狂い人の使い魔にまで手を出して! あの下品で甘ったるい声ったらない
わね、扉が開いていたから廊下にまで聞こえてきたわよ! だからあんたを引き止める、惨めな懇
願も聞こえてたのよ。ふんッ、あれはいい気味だったわ!」
 だいたいリキエルにも飲み込めた。
 どうやらルイズは、キュルケに言い寄られてもリキエルがなびかなかったのを知り、そのことで
多少は溜飲が下がったので、リキエルをとがめだてする気はないということらしい。それでも癇に
障るものは障るので、不機嫌になっているようである。
「お風呂に入ってさっぱりしてきたあとに、あんな声なんか聞かされてぇ〜〜! せっかくとれた
疲れもなんかまた戻ってきたわ、やんなるわね!」
 言われてようやく気がついたが、ルイズの髪はしっとりと生乾きだった。石鹸と洗髪料の香りも
漂ってくる。柚子やオレンジのような柑橘系の香りで、あまりきつい感じではない。なるほど、リ
キエルが部屋に帰ってきたとき、ルイズは大浴場で湯を浴びていたのである。
 締め出されたことにはそういうわけがあったのだ。
 ――……ん?
「もっと早い時間じゃあなかったか? いつも風呂に入るのは」


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