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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

600使空高:2008/07/29(火) 12:56:18 ID:o5O3.CNw
 悲しげに目を伏せて、キュルケは言った。
「あなたは、あたしをはしたないと思うでしょうね」
 ――まともな服を着たらどうなんだ、自覚あるならよォ――。
「思われても、しかたがないの。わかる? あたしの二つ名は『微熱』」
 ――というかどうなんだ、疑問文にこんな返しってよォ――。
「こんな風にお呼びだてしたりして、いけないことだってわかっているの。でもあたし、恋してる
のよ、あなたに。恋はまったく、突然ね」
 ――恋ってどういうことだ、わざわざオレなんかによォ――。
「あなたがギーシュと決闘してる姿、あの啖呵、凛々しかったわ。あたしね、あれを見て痺れたの
よ。そう、痺れたの! 情熱なの! あああ、情熱だわ!」
 ――見てたのか、なら助けてくれてもいいだろうがよォ――ッ!
「二つ名の『微熱』はつまり情熱なのよ、ってあれ? どこに行くの!?」
 踵を返して、リキエルは扉に向かって歩き始めていた。足取りは重い。
 何か別の用件ならば、リキエルは聞かないでもない気になっていたが、自分に懸想しただなんだ
という話なら別だった。部屋に入ることさえ懸念しなくてはならないのだから、キュルケと恋仲に
なればなどと、考えたくもない。しかもそれが、明らかに一時の感情の揺れによるものなら尚更で
ある。純な感情と言えなくはないが、そこが冗談よりたちの悪い部分とも言えた。
 扉の前にはフレイムが伏せていたが、関係ない、出て行く。とにかく早々にここを立ち去らない
と、どんどん面倒なことになりそうなのだ。なによりリキエルは息が苦しくなってきており、これ
以上ストレスがかかるのはまずい予感もあった。
 しかし恋に身を焦がしたキュルケとて、そう簡単にリキエルを逃がす気はないようで、すぐにそ
の腕にすがりついた。
「待って! 本当に恋してるのよ! あの日から、授業中でも夢の中でも、ふとした時にはもうあ
なたのことを考えてしまっているの! 恋歌を綴ったりもしたわ! こんなふうにみっともないこ
とをしてしまうのだって、リキエル、あなたの所為なのよ!」
 リキエルは動きを止めた。キュルケの言葉に心を動かしたわけではなく、腕を掴まれた拍子に息
が詰まり、完全に呼吸ができなくなったのだ。
 そこに、である。
「キュルケ!」
 その声を聞き、跳ね上がった眉を目に留めて、リキエルは血の色を失った。思考がまとまらず、
一瞬目の前の娘の名前が頭から消えて、それがまた戻ってくると、体中から汗が噴き出した。腕に
組み付かれているという、かなり嫌なタイミングで、ルイズに目撃されてしまっていた。
ルイズはリキエルを見もせずに、キュルケに向かって声を張った。
「ツェルプストー! 誰の使い魔に手を出してんのよ!」
「あらヴァリエール、ここのところ放課後に見ないけど、どうかしたの?」
「あんたには関係ないわよ! それより何してるのか聞いてんの!」
「しかたないじゃない、好きになっちゃったんだもん」
 リキエルの腕に絡めた手を外して、キュルケは肩をすくめた。
 ルイズはそんなキュルケを一際強く睨むと、その視線をようやくリキエルへと向け、短く切りつ
けるように言った。
「来なさい」
 言われずともそうするつもりだったのだ。リキエルは荒い息で力の入らない足を動かし、つんの
めりそうになってよろけ、ロウソクを二、三本けり飛ばした。転がってきたロウソクに驚いて、寝
転がっていたフレイムが飛び退いた。
 部屋を出てルイズのそばに立つと、ようやく汗がひいてきた。


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