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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板
544
:
ヘビー・ゼロ
:2008/03/16(日) 01:55:21 ID:HxTLDF6M
◆
店の中に砂を叩くような鈍い音が響く。
「オラッ!」
「ふぅっあッ!」
十人目の男の拳がアニエスの腹部を捉える。衝撃は折れた肋骨で倍増され内臓をかき回し、口から血となって吐き出されていく。すでに給仕服にあの可愛らしかった面影はない。だが、今のアニエスはほとんど痛みを感じてはいなかった。
「しぶといな……早く楽になっちゃえよ」
「この程度では……ゲホッ、皿洗いの方が過酷と言うものだ…」
「強がるね」
「強がりじゃないさ…。むしろ強がっているのはお前だろう?すでに十分はとうに過ぎているんだ……なのにお前の仲間は一人も来ない。……フフフ、いったいどこで油を売っているんだろうなあ…?」
力無く笑いながらも、アニエスの言葉には勝ち誇っている節さえある。その言葉にメイジ崩れの男はこめかみをひくつかせた。
そうやって余裕ぶっているがいい。お前らの企みはウェザーたちが防いでくれる。お前らを個々に釘付けにしておけば我々の勝ちだ。
と、不意に男が立ち上がった。そして杖をアニエスの鼻先に突きつける。
「もういいわ。元々お前にこだわる必要はねーんだし、先の方から焦げて死ねよ」
死ぬ?私は死ぬのか?じゃあ私の復讐は誰が遂げる!こんな所で死ねるか!
「お、いいねえ。その生きたいっていう目。強がっててもやっぱり死ぬのは怖いよなあ?未練たらたらって感じの目がたまらねえ……。
ああ、今ならあの人の丸焼き趣味が解るわ。生きながら焼かれるのは未練が強そうだからなあ……。じゃあ、逝ってらっしゃい」
目の前で杖に火が着く。
よりも早くアニエスは床に落ちた。
「…え?」
「…あ?」
アニエスと男の疑問の声が重なる。どうやらお互いに予想外のことが起きたようだった。
アニエスが背後に首を回せば、そこで自分を羽交い締めにしていたはずの大男は床に寝ており、代わりに無精ひげの伸びた中年男性が剣を担いで立っていた。
「お、お前は……武器屋の!」
「YES I AM!」
格好つけてはいるがその顔は赤い。どうやら酔っているらしかった。
そしてさらにその影から人影が現れた。
「あーあー…店がグチャグチャじゃねえか。グラス割れてねーだろーなあ」
「マスター!」
いつの間にか消えていたはずのマスターがそこにはいたのだ。
「おうアニエス、生きてるって事は無事みたいだな。さて、お前ら」
そう言ってマスターは男たちの方を見る。その目に思わず何人かが退いた。
「ウチの従業員に随分とまあ教育してくれたみてえだなあ……この授業料はキッチリ払ってやる」
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