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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

486ゼロいぬっ!:2008/01/12(土) 19:09:56 ID:ibltYdG6

飛び去っていくその姿を見送りながら彼は手綱を握り締めた。
追い掛けようとした自分を強く自制する。
別れが惜しいと思ったのは、これが初めての体験だった。
後数年もすれば彼女達はきっと“いい女”になるだろう。
彼の目蓋に浮かぶのは幼き日に憧れた女性の姿。
トリステイン魔法衛士隊マンティコア隊隊長。
アルビオンの王都を行進する彼女の姿を一目見た瞬間から心奪われた。
それは絵本の中から飛び出したような英雄に恋焦がれた。
その日から彼はその背中を追い続け、直属の竜騎士隊まで任されるようになった。

色褪せていた光景が彩を取り戻していく。
その記憶を呼び起こしたのは他ならぬ彼女達だ。
あの日、群衆に紛れて横から見る事しか出来なかった自分が今度は肩を並べて戦えるかもしれない。
その歓喜が、衝動が、どれほど彼を突き動かそうとしたか。
だけど一緒に行く事は出来ない。
忠誠を誓った国は滅び、剣を預けた先王は死に、共に戦場を駆けた若き王も散った。
自分の進むべき道はここで途絶えたのだ。

なればこそ未来に望みを託そう。
アルビオンの遺志を継ぐ者達に、トリステインの少女達に、そしてこの世界に。

騎竜が静かに唸り声を上げる。
敵を察知した事を表す警戒の声。
相棒に静かに頷き、腰に差した杖を抜き高々と掲げる。
厳粛な空気の中、男は高らかに命を下した。

「全騎突撃、こちらから討って出るぞ! この船に決して近づけるな!」

次々と上がる鬨の声。
圧倒的な戦力差を前に怯む者は誰もいなかった。
負けると判った戦に開き直ったのではない。
『マリー・ガラント』号には彼等にとって掛け替えの無い者達が乗っている。
それは親であったり、恋人でありり、友であったのかもしれない。
だからこそ自分達の手で守り切ろうとする、強い意思がそこにはあった。
『マリー・ガラント』号が空を往く限り、これは負け戦などではない…!


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