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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

485ゼロいぬっ!:2008/01/12(土) 19:08:18 ID:ibltYdG6

冷静に考えれば、それだけの兵力が王党派にある筈がない。
だが幻聴というには鮮明で、足元に転がっていた物は幻覚ではない。
もしも生き残りがいるというのなら一人でも助けたい。
それが本音だったが恐らくは理解されまい。
いるかどうかも判らない生き残りの為に、
彼女達は動いたりはしないだろうとそう思っていた。
しかし、彼の言葉に彼女達は互いの顔を見合わせ頷いた。

「…タバサ」
「間違いない。彼しか考えられない」

心当たりがあるのか、即座に応じた彼女達が空を駆ける。
そこに誰かの声がかけられた。
あまりにも弱々しく、か細い声。
なのに鮮烈に彼女達の心に響き渡った。

振り返れば未だに燻り続ける甲板の上に、一人の少女が立っていた。
整ったいた桃色の髪を振り乱し、胸元を裂かれた服の上にコートを羽織りながら
ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールは必死に叫び続けていた。

「ルイズ!?」
「お願い! 私も一緒に連れて行って!」

壮絶な姿を晒す彼女にキュルケも言葉が詰まった。
ルイズの傷は決して浅い物ではなかった筈だ。
それは身体だけではなく心も同様だ。
必ず連れて変えると約束して安静にさせるべきだと判っている。
だけど彼女の眼を前にすると言葉が出なくなった。
既に覚悟を決めている彼女に何を言えば説得できるというのか。
思い悩むキュルケを余所にルイズの体が宙へと引き上げられる。

「ちょっと! タバサ!」
「……乗って」

一時とはいえ彼と共に過ごしたタバサには彼女の気持ちが理解できた。
しかしルイズを連れて行く理由はそれだけではない。
幾度も死線を潜り抜けた彼女の脳裏には最悪の事態が想定されていた。
ルイズの制御から解放された彼の暴走。
それは考えたくないもない想像でありながら限りなく現実味を帯びていた。
もし、そうなっていれば自分達の説得など無意味に終わる。
その時こそルイズの力が必要となるのだ。

「痛ぅ…!」
ルイズの手を取ってシルフィードの背に引き寄せようとした瞬間、
彼女が苦悶の表情を浮かべた。
心配するタバサを手で制し、ルイズは気分を落ち着かせる。
胸の傷が痛んだんじゃない。
私には判る、これは自分の痛みじゃない。
見えない絆にも似た繋がりの向こうから伝わってくる、この痛みは…。

「急いで!」

ぎゅっと胸元を握り締める仕草を見せながらルイズは叫んだ。
彼女の尋常ではない様子にタバサも不安を抱いた。
それは彼の戦友でもあるシルフィードも同様だった。
疲弊しきった筈の身体で尚も力強い羽ばたきを見せる。


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