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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

359ゼロいぬっ!:2007/10/05(金) 21:20:05 ID:D5yGqZ.o

彼が辿り着いたのは屋敷にある私室の一つ。
そこで彼が目にしたのは部屋の端で頭を下げるタバサの姿と、
ヒステリックに叫ぶ痩せこけた女性。
それを前にしても表情を一切変えることの無いタバサ。
その額から一筋の血が流れ落ちる。
タバサの足元には砕けたグラスの破片が散らばっていた。
恐らくはそれを叩きつけられたのだろう。
「下がれ! 下がりなさい!」
尚も相手はタバサに執拗に罵倒の声を浴びせる。
警戒の唸り声を上げる彼をタバサが手で制する。
そして落ち着いた声で女性に告げた。
「また…会いに参ります母様」
それはとても優しげで、そしてとても切ない響き。
感情を押し殺した彼女が初めて見せる、弱くて儚い少女の姿だった。

「さあ奥様。疲れましたでしょう、寝室にお戻りになられては?」
ふらつくタバサの母親の肩を抱き止め、ベルスランが椅子に座らせる。
それでようやく静まったのか、深い溜息と共に彼女は落ち着きを取り戻す。
その手には擦り切れ褪せた人形が固く握り締められていた。
私室に執事一人を残し、彼女は部屋を後にした。

「……………」
部屋を出てから一言も発しないタバサの後を彼が付いて行く。
自分に見られたのをショックに思っているのかもしれない。
どちらにせよ自分は彼女の言いつけを破ったのだ。
いくら謝罪しようとも容易に許される事ではない。
それにデルフがいない今、どんなに謝ろうとも伝わらない。
あまりの無力に情けなくなってくる。
自分が助けられるのは自分だけ。
そう割り切ってしまえればどんなに楽だろうか。
いくら力があろうとも少女の助けにはならない。
魔法薬さえも無効化する体も人を救う事には使えない。
彼女の笑顔一つ作る事も出来ない。
ルイズは自分を『無能』と卑下するが、それは違う。
彼女は自分やタバサの心に光を差してくれた。
それこそが今の自分が持たない本当の強さ。
その力に比べれば、この身に巣食う暴力こそが『無能』。
いや、本来『無能』であるべき力なのだ。
だけど、いつかは届くのだろうか。
彼女の背を追いかけ、光差す道を歩めば自分も彼女のように…。


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