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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

355ゼロいぬっ!:2007/10/05(金) 21:14:23 ID:D5yGqZ.o

ガタガタと揺れる馬車の中で私は目を覚ました。
思った以上に熟睡していたのか、垂れていた涎を袖で拭う。
手には彼から貰った魔法薬の本。
道すがら読んでいたが途中で眠ってしまったようだ。
思えばここ数日、モット伯の一件以来ほとんど睡眠を取っていなかった。
それというのも眠る時間が惜しかったからに他ならない。
もしかしたら母様を助けられるかも知れない、
そう考えると一日でも早く読破したいという気持ちに駆り立てられた。
キュルケがいたなら『睡眠不足はお肌の大敵』とか『寝ない子は育たない』と言っただろう。
正直、同年代のタバサからしてもキュルケは育ちすぎだと思う……色々と。
自分の胸にぺたぺたと手を当てながら、視線を横に向ける。
そこには一匹の犬がスヤスヤと寝息を立てていた。
変な夢を見たのは彼の所為か。
以前にも“イーヴァルディの勇者”の夢を見た事はある。
その時の勇者は自分自身か、生前の時は父だった事もある。
キュルケが出てきた時には恥ずかしくて顔を合わせられなかった。
心のどこかで自分が頼りにしている相手、それが夢の形で顕れるようだ。
彼が出てきたのは薬の影響下にあるからだろう。
以前ならそれを自分の甘さと認識した。
だけど今は違う。仲間を頼る気持ちは弱さじゃない。
そう心から思えるのだ。

そんな自分の気も知らず、彼はごろりと寝返りを打つ。
お腹を見せる無防備な姿がどことなく自分を誘っているように見えてならない。
うずうずと好奇心をくすぐられ、彼の肉球へと手が伸びる。
「……………」
ぷにぷに。
ぷにぷにぷにぷに。
ぷにぷにぷにぷにぷにぷに……。
興奮のあまり飛びそうになった意識を繋ぎ止める。
薬の効果で愛情を植えつけられた彼女にとって、それは魔性の魅力だった。

国境を越え、既に馬車はガリア王国内。
窓の向こうにはガリア王国指折りの観光スポット、ラグドリアン湖が広がっている。
……否。広がり過ぎている。
湖畔の近くに建てられた民家が皆悉く水没し、
僅かにそれらの屋根だけが水面から顔を出している。
嵐か何かで増水したのかと思ったが違うようだ。
ラグドリアン湖が氾濫する程吹き荒れたのなら、ここに来るまでの道も無事では済まない。
しかし薙ぎ倒された木々や土砂崩れなど何一つ目にしていない。
(…何か良くない事が起きている)
もし嵐が来るとしたらこれからだ、と彼女の勘が告げていた。


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