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ゼロの奇妙な使い魔 対サル用書き込みリレー依頼板

160奇妙なルイズ:2007/07/02(月) 23:49:07 ID:???
パーティは城のホールで行われた。
簡易の玉座が置かれ、そこにはアルビオンの王が腰掛けて、集まった貴族や臣下を見守っていた。
とても、明日には滅びる者達のパーティとは思えない、華やかなパーティーだった。
最後の晩餐に参加したトリステイン客、ルイズとワルドの二人は、城に残った王党派の貴族達に最高のものを振る舞われた。
明日死ぬかもしれない、そんな悲観に暮れた言葉など一切漏らさず、二人に明るく料理を、酒を勧め、冗談を言ってきた。


ルイズは歓迎が一段落つくのを見計らって、ホールを離れた。
城のバルコニーへと出て月夜を眺めようとしたのだ。
しかし、そこには先客が居た。
先ほどウェールズに進言しようとしたメイドが、ウェールズに何かを訴えていたのだ。
「殿下…怖くは、ないのですか?」
「怖い?」
ウェールズはきょとんとした顔をして、メイドを見つめた、そしてはっはっはと笑った。
「怖いさ!だがね、私を案じてくれる者がいるからこそ、私は笑っていられるのだよ」
「そんな…私だったら、私だったら、怖くてとても、殿下のように笑えません、そんな風に笑えるなんて、私には」
「いいかね? 死ぬのが怖くない人間なんているわけがない。王族も、貴族も、平民も、それは同じだろう」
「では」
「守るべきものがあるからだ。守るべきものの大きさが、死の恐怖を忘れさせてくれるのだ」
「何を守るのですか?私は、モット伯に引き取られたとき、モット伯の衛士の方から、どんなにふがいなくとも生きろと教えられました、生き残る屈辱に耐えて、伝えるべき『魂』を伝えろと、そう教わったのです」
メイドは語気を強めて言ったが、ウェールズは笑顔を崩さない、そして、言い聞かせるように優しく語り始めた。
「優しいのだな、君は、だからこそ私は君たちに生きて欲しい、語り継ぐのは君たちの役目だ、私が戦わなければ、アルビオンの貴族が勇敢に戦ったと言えなくなるのだよ」
「でも…もう、すでに勝ち目はないですのに…」
「我らは勝てずともいい、せめて勇気と名誉の片鱗を貴族派に見せつけ、ハルケギニアの王家たちは弱敵ではないことを示さねばならぬ。君は将来、誰かと恋に落ち、そして子を育てるだろう、私はその子らの為に戦いに行くのだ、無碍に民草の血を流させぬためにも、少数でも団結した者達が如何に難敵であるかを見せつけねばならんのだよ。」
「そんな…」
「これは我らの義務なのだ。王家に生まれたものの義務なのだ。内憂を払えなかった王家に、最後に課せられた義務なのだよ、君は違う、生き延びなさい」
そう言ってウェールズはバルコニーを離れた、廊下で立ち聞きしていたルイズを見つけ、ウェールズはルイズに微笑んだ。
「おやおや、聞こえてしまったが。…今言ったことは、アンリエッタには告げないでくれたまえ。いらぬ心労は、彼女の美貌を害してしまう。彼女は可憐な花のようだ。きみもそう思うだろう?」
ルイズは頷いた。それを見たウェールズは、目をつむって言った。
「ただ、こう伝えてくれたまえ。ウェールズは、勇敢に戦い、勇敢に死んでいったと。それで十分だ」
それだけ言うと、ウェールズは再びパーティーの中心に入っていった。


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