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ネタの書きこみ127

16名無しさん2:2019/05/02(木) 22:05:56 HOST:pw126245016105.16.panda-world.ne.jp
短編 エクシフの誤算

メトフィエス ーその名を持つ異星種族エクシフの王族はその端正な顔を怒りのあまりに歪めていた。もはや伝統的な価値観として破滅や滅びを是とする彼らエクシフであっても今の状態を喜んで受け入れようとするものはいなかった。何故ならー極秘のうちに築き上げられたエクシフ専用の刑務所に一族全てが拘禁されているためだ。しかも究極の目的であるギドラの召喚という目的を果たす途上で。

「おのれ、地球人。下等種族の分際でわれらエクシフの救済を拒むというのか!」

メトフィエスは、常の哲学者的な冷静さを投げ捨てて吠えるが、それはもはや負け犬の遠吠えでしかなかった。

エクシフ、かつて彼らの知る限りにおいて宇宙の最先端をゆく科学文明を誇ったこの種族は今や宇宙を蝕むガンと形容する存在に変わり果てていた。
ゲマトリア演算、彼らエクシフの科学の結晶である未来予知システムは宇宙の未来が熱力学的な死であると告げた。

ここで白い悪魔の獣のように宇宙の熱的死を回避するための努力をするという方向に行けば違っていたのかもしれない。あるいはビルサルドなる種族ならば、その選択をしていたかもしれない。しかしエクシフの選択は、破滅。

より正確に言えばエクシフが観測に成功した異次元に潜む上位の生物たるギドラ。宇宙が滅びるならば、ギドラの血肉の一部になろう、あるいはそうすることで自らも高次元生命体になれるやもしれぬとギドラにその身をささげることをエクシフは是とした。

それも自分たちのみならず、他の種族もそうあるべきと信じ巻き添えにする形で。宇宙に分派したエクシフ。その目論見であるギドラの召喚でどれだけ多くの生態系が崩壊していったかは計り知れない。ある意味では、惑星の免疫機構が生み出す怪獣の脅威よりもタチが悪い。

そしてエクシフは、地球にも飛来しギドラ召喚のための布石を打っていた。後は地球人の環境破壊に対抗するために怪獣さえ出現すればすべてうまくいくはずだった。だがそうはならなかった。

世界に散らばり潜伏していたエクシフは、今や虜囚のみだ。どうやって察知したかはわからなかったが、国連の常任理事国を構成する国々が全世界のエクシフの拘禁に突如として動き、抵抗するまもなく全員が拘束されていた。これでギドラの召喚を行うのは、ひとまず不可能になったといえる。

何故エクシフの存在を国連常任理事国が察知しえたかといえば、やはりその裏には夢幻会の姿があった。




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