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ネタの書きこみ121
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「皆さん…、どうか下を向かずに顔を上げて下さい。」
目を伏せがちにしていた雷達は顔を上げた。
そこには微笑みを湛えた役場の職員がいた。
そして海の方を指さした。
鮮やかな色が美しい山田の海を彩っていた。
何十隻もの漁船が色鮮やかな大漁旗を掲げ、山田の海を航行していたのだ。
「綺麗…。」
艦娘の誰かが言葉を零した。
その言葉を聞いて職員は笑みを深くした。
「漁師の皆さん、昭和の津波で三陸を助けてくれた艦娘さん達が来ると聞いて東北中から集まってくれたんですよ?」
それを聞き、
霧島は熱くなった目頭を抑えた。
神風は鼻をスンスンさせている。
雷は目を潤ませた。
電はもうえぐえぐと涙を流していた。
「そして言わせて頂きたい。東北は滅びぬ!何度でも蘇る!」
風に力強くたなびく大漁旗、それは東北の強さを現しているように見えた。
霧島は涙を拭い目に決意を浮かべた。
「すみません職員さん。私達漁師さん達の所へ向かいます。今の私達の姿を見て欲しいから。」
その姿を見た職員は満足そうに霧島達の姿を見つめる。
「どうか皆さんの姿を見せてあげて下さい。東北の皆の励みとなりますから。」
「はい!雷、電、神風!さあやるわよ!」
「雷様の本気見せてやるわ!」
「なのです!」
「二人に負けないわよ!駆逐艦はスペックじゃないんだから!」
四人は海へと駆けて行く。
職員はその後姿を見送った。
地元の歴史が好きな職員は雷達のことをよく知っていた。
山田町では昭和三陸地震の時に駆逐艦が助けに来たのを「地獄で仏様に会った様な気持になり目に涙を光らして
感謝の意に満たされた」と当時の新聞に書いてあったのを覚えている。
また、電がフルスピードで被災地へと急行したこと、乗組員が自分達の食事を減らして被災者へ提供したことも知っている。
そんな艦の艦魂様だ。仏様や救いの神に見えてもしょうがない。
「あれだけ優しい娘さん達だ。仏様に見えるのも無理はない。」
海を見下ろせば、雷達が霧島を先頭に山田の青く澄んだ海を白波を引きながら駆けていた。
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