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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその67

288名無しさん:2018/09/04(火) 16:24:52
「体が小さいのは確かなことだけど、僕は君の倍以上は人生の先輩なんだよ」

脇の下に手を通されて抱き上げられていたV.V.は、自由になっている両手で玉城の頭をくしゃくしゃ撫でる

「や、やめろよ俺ガキじゃないんだから」
「僕のことを子供みたいに抱き上げている君が言えることじゃないね。それに、僕にとっては君もまた僕の子供みたいなものだよ」

V.V.に優しく撫でられること
それは玉城にはあまり経験のないことだった
どちらかと言えば彼はV.V.にいつも叱られているからだ

「手の掛かる馬鹿息子って感じかな」
「うっせえよクソ親父」
「ふふ、親父か。父上・父さん・お父様・パパとは呼ばれているけれど父親としての親父ってのは呼ばれたことがないな。ちょっと新鮮な響きだ。よければもう一度呼んでみてよ」

V.V.の手が玉城の両ほっぺを掴む
小さな手だ
子供の手だ
だがいま玉城にはその小さな手が、包み込むようなほど大きな手に感じられた

「……お、親父」
「なんだいシンイチロウ」
「こ、小遣いくれ」
「残念だけど、一応は独り立ちした息子にお小遣いはあげられないかな?」
「んだよそれ。あー、なんかだんだん恥ずかしくなってきたぜ」

玉城は抱き上げていたV.V.を下ろした

「寝るか」

ゴォゴォとなる風の音
雨戸を叩く水の音
台風が近づいている

玉城は敷いた布団に入った
V.V.も同じ布団に入った隣同士の枕
天井を見る二人
眠気はまだ来ない

「風すごいな」
「そうだね」
「雨もな」
「うん」
「なんか、こうしてると子供の頃の台風が来る夜を思い出すぜ。わくわくしたあの感じ、大人になったいまじゃ不安しか感じないけどな」
「そうかい。なら、僕は大人として君を守ってあげなくちゃいけないね」

V.V.が玉城に身体を寄せ、彼の頭を撫でてあげた

「またそれかよ」
「嫌かな?」
「べ、別に嫌な訳じゃないけどなあ、ガキ扱いがちょっと」
「ふふふ、言ったろ。君も僕の子供みたいなものだって。子供を子供として扱うのは親として当然だよ。それによく言うだろう、出来の悪い子ほどかわいいってね」
「出来が悪いってだけ余計だぜ」

玉城も手持ちぶさたな手をV.V.の頭に当て、子供にしか見えないその小さな頭を撫でていた

「お父さんの頭を撫でる心境かな?」

撫でられて気持ちよさげに目を細めながらV.V.は言った

「どうだいお父さんの頭は」
「ちっこい」
「まあ小さいからね」
「体が小さいままなのは体質かなんかか?」
「後天的な体質だよ」
「なんだそれ」
「知らなくていいんだよ」
「クララもおっさんも隠し事多すぎだろ」
「息子を危険に晒さないためさ」
「まだやるのかよ親子ごっこ」
「いいじゃないか」

びゅうびゅう
風の音
ザーザー
雨の音

そのなかに、くしゃくしゃとV.V.が玉城の頭を弄り撫でる音と
しゅっしゅっと玉城がV.V.の髪をすき通し触る音

一夜限りの父と子の温もりを感じさせる音が混じっていた




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