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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその67

120名無しさん:2018/08/29(水) 21:27:59


夜空に伸びた幾筋もの光の柱を、南洋の島国の人々は不安に駈られながら見上げていた

「何の光だ」

行政府である首長府の近くに集まった聴衆がざわざわと騒いでいた

「海の方からだわ」

光の柱は次々と数を増していき、次第に南洋の楽園である島国の星空を覆い隠していく
まるで光のアートに失敗したかのような光景に、聴衆の不安は一層深まっていた




「首長…まさか!」

首長府のテラスからも見える光は、南西方向から照らされていた
慌てる首長国首長筆頭書記官が、南西方向を睨み付ける首長に自らの予測を口にした

「サーチライトの光だ」

夜空を埋め尽くすほどの海から来るサーチライトを搭載した何かは、島国には存在しないはずの物からのものであった
軍艦も、沿岸警備艇さえ持たない国には、そもそも初めからない
夜は小さな中心都市の明かりくらいで海からの光などないはずなのだ

「ついに、来たか…」

絞り出すような首長の声には、後悔と決意がない交ぜになった思いが含まれていた
20年前、島国との積極的な外交姿勢を打ち出していた、時の日本嶋田政権からの打診を受け入れていれば
このような事態を招く事などなかっただろう
しかし、一方で国の信条を捨てることなど、時の首長にはできなかった

建国より百数十年余り、一度として戦火に見舞われたことがない島国は、変えない国是こそが、非武装永世中立の理念こそが、この国を守ってきたからと信じていたからだ

首長も、政治家も、国民も、皆がそれを信じて生きてきた

この国で根を下ろして苦難を共にしてきたのだ

今さらどうして捨て去れようかという理念であった




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