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中編以上のネタの書き込み その57

605影響を受ける人:2018/04/07(土) 23:22:04

「記憶も新しい戦争が、大陸で起きました。
 扶桑海事変と報道される怪異・・・ネウロイと呼称が改められた敵の侵攻。
 この時の為に鍛えていた軍が対応に当たり、当初こそ優勢に進められていたそうです。
 しかし激化に伴い兵士の数が、ウィッチが足りなくなってしまいました。
 政府の対応は間誤付き、まだ幼いウィッチが戦場に出ていく事となってしまいました。

 そして・・・その命を散らしていきました。
 生きて戻ってきた子達でも、心に大きな傷を負いました。
 中にはウィッチであることを止めてしまった子もいます。
 それは仕方が無く、一つの、自分なりの決断であると思います。
 現在、大陸側からの侵攻は落ち着いているようです。

 いまだ油断ならぬ状況ではありますが、これも数ある一つの区切りでしょう。
 命を散らした学生達の亡骸のいくつかが大陸に残されたままだと聞きます。
 遺体を回収できなかった。遺体が残らなかった・・・
 様々な理由があるにせよ。せめて、この卒業式をもって鎮魂の為に、彼女達が生きていたという証の為に。
 彼女達を送り出していきたいと考えています。」

静香に締めくくり、学園長が壇上から離れて行く。
教員の一人が変わって、これから送り出す卒業生の名前を読み上げ始める。
ほぼ同時に軍の高官、政府の重鎮等の人々が静かに立ち上がると同時に首を垂れた。

「小鳥遊ひより。」

彼女は陸戦ウィッチで戦い、腹部に重傷を受けて殿に残って帰ってこなかった。

「高嶋ナエ。」

彼女は空戦ウィッチとして戦い、初戦で落ちて速度を殺しきれず地上に激突。即死だった。
何人もの少女達の名前が呼ばれていく。
頭を垂れた、責任ある大人達は微動だにせず。只々感謝と詫びの為に頭を下げ続けた。
本当なら戦場に出さなくても良い少女達の命を使い、本土の安全が確保された。
そして、その事実を消して忘れないようにするため、職務を賭してこれから仕事に挑んでいくだろう。

「早良ミチル。」

坂本美緒の肩が揺れた。
彼女の胸中に渦巻くモノはなんだろうか?
懺悔か、前を見ようとする健気な気持ちだろうか?
横に座っている竹井醇子の手が一瞬、美緒の手に重なりそうだった。
以前なら躊躇なく握って、安心させただろう。

しかし今は違う。
戦場をしり。親友の最後を見届け。級友の死を目にし。祖父の厳しい教えを胸に刻んでいる。
もう。ただ優しいだけの子供ではなくなっていた。
それでも、これが終わったら諌めてあげよう。
胸を貸す事ぐらいは、親友の自分でもできる事だから。




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