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中編以上のネタの書き込み その57
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「ほっ・・・」
「なに安心してんだ?」
何故安心したような顔になるのか理解できなかったが、真嶋は義肢を握っては離し、握っては離す。
そして上下に振るったかと思えば、左右に振るう。
何をしているんだろうともっていると、いきなりデコピンが飛んできた。
「ごぁ!」
「うぉぉぉぃ・・・」
首が吹き飛ぶような衝撃が走った。鍛え上げた猛獣女の攻撃力は、軽い威力の凸ピンでさえ凶悪だ。
痛みにもだえる徹子に対し、当の本人は物凄い不機嫌。
「な、なんですか・・・?」
「こんなフニャフニャで、物事が出来ると思うのがぁ?」
「フニャフニャって・・・」
抗議するように義肢で額をさすっていたのだが、真嶋はその義肢を掴んであっさり離されてしまう。
「こいつには“芯”がねぇんだ。だから力も込められてねぇし、ぎこちなく動く。」
見てろと言うと、細い縄を二本取り出して右手で握りしめる。
その途端、二本の縄は折紙を素早く織り上げていく。よくよく見れば五指に相当する部分もあった。
じっくり見た事が無かったが、真嶋の【疑似椀部】は只の縄なのにピンと張り、本物の腕の様にきっちり柔軟に動いている。
まさに “腕”と言う動きそのもの。そう言っておられた折紙は、
「なんでユニコーン???」
「俺が知っている中で、一番難易度が高い奴だ。」
「・・・以外に器用なんだ。・・・料理も北郷隊では二番目に上手い。」← 一番上手い
知らなかった。いや、そうではない。目の前の人物は“手に持った”縄で、見事な作品を織り上げた。
恐る恐る義肢で縄を掴んでみると、縄の柔らかさは有るがしっかり固定されていて微動だにしない。
自分の義肢の方が引っ張る力に負けている。
「俺も最初の頃は苦労したぜ。なにせ人間は腕二本。更に腕を増やすわけなんだがらな。
慣れるために本当の腕を縛って、生活もしたぜ。
物は試しだ。ちょいと動かすぞ。」
軽く笑いつつも徹子の後ろに回り、最中に手を当てた。
そして、何か温かいモノが流れ込んでくる。これは魔力を融通する時、もしくは同調させるときの感じだ。
了承を得る前に両腕を動かす。前方に手を伸ばす。次は腕を上げる。右腕はまげて、左腕は下げる。
色々動かした後、正拳突きの格好になり、〔パンッ!〕と言う音が鳴るくらいの速度で拳が撃ちだされた。
「どうでぇ。訓練すりゃ、これぐれぇは出来るぞ。」
「すごい・・・」
義肢で出るとは思っていなかった正拳突き。しかし・・・表情は驚きから回復しても、優れはしない。
その顔の前に、無表情の旗本が立った。
「・・・お前が義肢をうまく使えていなからと聞いて、コイツを連れてきた。
・・・が、それ以前の問題だな。
・・・お前は自信を損失している。
・・・腕が無くなった、もう戦えない。 ・・・体が痛む、助けてほしい。
・・・私が知るお前は、痛みに怯えて怯む奴ではない。
・・・誰よりも果敢に攻め、誰かの痛みを忌避する奴だ。」
「でも。お、れは・・・ もう、そんなにきられない」
弱々しく反論しようとし、その様子が気に入らなかったのか胸蔵を掴んで自分の方に寄せた。
旗本の顔は、感情があふれ出た憤怒に歪んでいる。そんな顔、怒っていた事もあったけど見たことなどなかった。
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