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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその64

230名無しさん:2018/03/02(金) 13:01:42



「よいしょっと。昔は僕の方が背が高かったのにすっかり追い越されてしまったな」

背にのし掛かる小さな体躯と体温に、V.V.がおぶさってきた事を感じ、立ち上がりながら嶋田は笑った

「今更でしょう。お兄さんは不老不死なんですからずっとお若い。羨ましいですよ」
「だったらコード解析終了と新規コード開発の暁には君も不老不死になればいい。実現化まで間近に迫ってるんだ。シャルルは辞退したよ。愛する我が子が先に逝くのを見続けて行けばいつか心が壊れてしまうってね」

寂しそうにV.V.は笑う
双子の片割れは供に歩んではくれないらしい

「私は条件が整えばお付き合いしますよ。私…僕もお兄さんをひとり残して逝くのは忍びないですしね」
「ははっ、義兄弟みたいな君の方が兄思いだね」
「心技体とも、シャルルさんよりかは強いつもりです」
「それシャルルに言ったらまた殴り合いになるよ」
「海軍で成らしてきた僕は皇宮で過ごしてきたぼんぼんにゃあ負けませんよ」

嶋田はシャルルをシャルルさんと呼ぶ
子供の頃はシャルルくんと読んでいた
しかしV.V.の事はお兄さんと呼ぶ
今でも昔語りをしている時や、二人で遊んでいる時にはお兄さんと呼ぶ

「シャルルさんとお兄さんは根が強いか弱いかに差がありますからね。根が弱い元もやしっ子のシャルルさんをお兄さんとは呼びたくありません」
「違いないや」

えっちらおっちら歩く嶋田
嶋田の背に乗り彼の首へと腕を回してしがみつくV.V.

「しかしなんですね。遊ぶって言葉が今でも続いている。それがなんだか変な感じがしますね」
「どうしてだい?」
「いや、確かに僕とお兄さんとシャルルさんは幼なじみでよく遊んできました。いっぱい馬鹿もやっては父やお二人の世話係の方に怒られました。でもそれは子供の頃の話です。遊ぶって子供の頃によく使うじゃないですか。僕らもう六十台ですよ」

V.V.は肩の後ろから首を前に出して嶋田を覗く

「さっきの今だけどそれこそ今更じゃないか? 六十台でも幼なじみは幼なじみだよ。僕は遊びたいんだ。もっとたくさんね。シャルルは立場上気軽に遊べないけど、僕らは遊べるからさ」
「ははは、お兄さんの仰るそれもまた真理ですねえ。昔も今も私たちは変わらない三馬鹿トリオですか」
「うちの家の侍従に言われたねえそれ。ご貴殿方は三人で馬鹿ばかりやって! ご自身のお立場を少しはお考えくださいませこの三馬鹿トリオ! なんてさあ」

こてん。嶋田の右肩に頭を寝かせて昔を思い出しながらV.V.は目を閉じる

「あの方容赦ありませんでしたね。三人してげんこつ落とされて」
「今にして思えばあれは愛情だったのかな」

ああそうそうとV.V.は続けた

「愛情と言えば僕さ、昔君が女の子なら嫁にもらってるところだって話したよね」
「ああ〜ありましたありました。あれ告白みたいで僕も強張りましたよ」

嶋田は当時を思い出す
あれはジ家の離宮の広大な庭での事だった
V.V.がシゲタロウはどうして男なんだろうと話はじめた事から出た恥ずかしい思い出だ

「あのお話がどうかなされました?」
「うん。いやね。あれさ、もし君がじゃなくって、僕が女の子だったなら君はどうしたかなって思ったのさ。君は僕を異性として好きになってくれていたのかなあーって」

右肩に乗るV.V.の頭
年月を感じさせる彼の長すぎる長髪が一房はらりと肩越しに、嶋田の体の前へと垂れ落ち、歩く振動にゆらゆら揺れている

「そうですね。お兄さんがお姉さんだったのなら、僕も異性として好意を寄せていたかも知れません。年上で面倒見のいい姉貴分、憧れますよそういうの」

V.V.が女性であったのなら有り得た未来
想像してみれば滑稽ながら、今でも仲良く遊んでいる事を考えれば強ち無いとも言い切れない未来だった

「そうなんだ?」

こてんと乗る右肩の小さな顔の眼が開く

「ええ」
「惜しいな。僕か君が女の子だったならよかったのに」
「よしてくださいよそんなご冗談。私もう婚約者がいるんですから」
「でも、そのもしもが現実だったなら僕は君の事を離さなかったと思うよ? 君もご存じのように僕は嫉妬深くて執念深いからね」
「そこはご心配なく。もしもが現実だったなら僕はお兄さんの婿か嫁かになっていたでしょうからこちらこそ離さなかったところでしょう」
「酔ってるねシゲタロウ」
「酔ってますよ。そちらこそ酔ってますねお兄さん」
「酔ってるよ」
「少し遠回りしますか?」
「そうしよう。僕も息子や娘や甥姪にその親衛隊達、ついでに半同居人の馬鹿にこんな姿を見せたくないから」
「威厳ある叔父でありたいと。それは意地ですね」
「意地さ。僕がありのままの姿を見せられるのは君とシャルルの前くらいだから」

酔い醒ましとばかりに昔話に花を咲かせながら、二人は遠回りをして家路についた




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