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提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレその64
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キマシタワーじゃないですよ
家路
絶妙なさじ加減を持ち日本の舵取りを行う夢幻会の会合メンバーたちは、ブリタニアのジ家双子の兄V.V.とは面識を持つ者が多い
伏見宮を皮切りとして近衛、辻、山本、東條、阿倍、倉崎、杉山と、挙げていけば何れも名だたる大物ばかりが幾人も名を列ねている
V.V.はギアス嚮団の嚮主として日本との連携を密にしてきた実績から会合メンバーのお食事会に呼ばれることもあり、ひとり、またひとりと面識を深めてきたのだ
皆それぞれ個々の間でも交遊関係を築いてきたV.V.だが、一番の仲良しは言うまでもなく幼なじみの嶋田繁太郎であった
嶋田もV.V.の親友であり幼なじみは自分しかいないと考えていたし、その実その通りであるのだから何をや言わんや
今夜も今夜とて会合メンバーとV.V.はお食事会という名のごく普通な飲み会の為、都内の料亭に集まり、難題から馬鹿馬鹿しい話まで多岐に渡る話題で場を盛り上げながら食べて飲んで楽しみ、そしてお開きとなった
「嶋田、V.V.殿下それでは失礼するぞ」
少しばかり呂律がおかしな丸坊主の寒そうな頭をした男が手を上げてお別れの挨拶をしている
元海相と国防相を歴任した山本五十六
ニューギニア戦争では一艦の喪失もなくオセアニア海軍のニ個機動部隊を撃滅した事から国内外より現代を生きる軍神や英雄などと呼ばれる事もある海の男だった
彼はふらつきながらも迎えの車に乗り込んだ
「ちょっと飲み過ぎよいっくん」
車中に見えるのは金髪の長髪をした美麗な容姿の外国人女性の姿
山本の婚約者リーライナ・ヴェルガモン
彼女は山本が特別な飲み会に行くとき、自らは出席できないその会合に、せめて送り迎えだけはと毎回のように自家の車を出しては料亭まで山本を出迎えにくるのだ
できた妻である
軍神、英雄と呼ばれる山本だが彼女には弱い
いつの世も女性は強いようだ
「ちょっと飲み過ぎただけだ。ちょっとだけにちょっと。はっはっはっ」
ご機嫌な山本はリーライナのちょっとに掛けてくだらない駄洒落を口にしている
あれはちょっとどころの酔いかたではない
山本はこのお食事会でかなり飲んでいた。気分的に飲みたい気分だったそうだが、酒には強いほうな彼がいい感じに酔うほど此度のお食事会は雰囲気も何もかもが良かった
それは見送る嶋田にしてもV.V.にしても同じ
彼等も等しく楽しい酒に酔っていた
「じゃあな山本」
「気を付けてねイソロク」
リーライナにもたれかかるようにして体の力を抜いた山本は応とだけ返事をして、頭を下げる彼女の膝に寝落ちまでしてしまった
「もう、いっくんたら」
そんな声だけを残して扉は閉まり、ヴェルガモン家の運転手が車を出して遠ざかっていった
「我々も帰りましょうか」
「そうだね」
今夜参加したメンバーの最後のひとりである山本を見送った嶋田とV.V.は帰路につく
宴席の料亭が偶々彼等の邸宅と近かった事もあり、二人は歩いて帰ることにした
余談だが二人の家は互いに近く、気軽に歩いて遊びに行ける範囲内にある為に、よく遊んでいた
共に齢六十を数える、V.V.は肉体年齢こそ十つほどであるも、実年齢では六十五となる初老に差し掛かっている
そんな二人ながら、昔からの幼なじみとして違和感なく遊んでいた
「とりあえずどうぞ」
肩を組むにしては背が違いすぎる二人は、年齢通りの肉体な嶋田の側が背丈は高く、嶋田はしゃがむとV.V.をおんぶしようとする
「君ね、僕のが五つほど年上なんだって事を忘れちゃいないか?」
厳に子供扱いするなと語るV.V.に嶋田は運動不足ですのでと譲らない
「やれやれ。兄の立場な僕が弟分の君にこんな事をされる日がやってこようとは。時の流れは無情だ」
肩を竦めたV.V.が嶋田の背に乗る。手を彼の首に回して子供が親の背におぶさるように
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