したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

架空戦記系ネタの書き込み その85

1名無しさん:2017/03/22(水) 13:56:46
このスレは単発ネタも含める関係上、スレタイトルを『中編以上のネタの書き込み【架空戦記版】』から改名いたしました。
そのため単発ネタもOKとなりました。
ですので、単発・連載・嘘予告等を問わす、ミリタリー分多めのネタは、こちらに書き込んでください。
※例:史実準拠の歴史を歩む世界への転生・介入等


憂鬱世界内でのネタ、漫画・アニメ・ファンタジー等の別世界への転生・介入等は、『ネタの書きこみ』へどうぞ。
そこから同一のネタを題材とした投稿が(個人、複数人問わず)連続する場合は『中編以上のネタの書き込み』へどうぞ。

日本大陸に関するネタは『日本大陸を考察・ネタスレ』へどうぞ。
青の軌跡やガンダム関係に関しては『【青の軌跡】ガンダム総合スレ【憂鬱ガンダム】』へどうぞ。
コードギアスと憂鬱とのクロスは『提督たちの憂鬱×コードギアス ネタSSスレ』へどうぞ。

その他個別ネタスレがあるジャンルは、個別ジャンルのネタスレへどうぞ。

ネタ内容に関係のない雑談・議論、現代の事件・政治等に関する話題は『雑談スレ』にお願いいたします。


投稿にあたってはマナーを守り、常識の範囲内でお願いいたします。
二次創作にあたってはルールのあるものもありますので(例:らいとすたっふルール2004等)そちらも参照ください。
※ 投稿にあたっては下記注意事項をよく読み、それに則りお願いする次第です。

デン氏作成「中編以上のネタの書き込み用 規則12条 -   Ver1.03」更新2015年10月30日

――このスレには注意すべき事や規則があります。以下の文をお読みになり承諾できる方のみお読み・書き込みしてください。

1.ここは中編以上のネタ用スレなので様々な話が長期に渡って飛び交う可能性があります。場合によっては個人的に好きな内容や嫌いな内容が出る事がありますので、それらを覚悟した上でお読み・書き込みをしてください。
2.ここは中編以上のネタ用スレなので「少々の議論」はともかく、「本格的過ぎる議論」や「相手の価値観を潰す議論」は絶対にしないでください。以前それが原因で話が失速や潰れたりしています。冷静かつ楽しく書き込みを行って下さい。
3.ここでの話題はネタスレで中編以上のネタスレへの移行が推奨された話題のみです。それ以外の話題についてはネタスレに書き込むようお願いいたします。
4.「不適切発言」や「暴言」、「高圧的な発言」はしないでください。
5.ネタSSを投稿する際は出来るだけ、前持って投稿宣言をして下さい。いきなりですと動揺や迷惑、SSの分断の元になる可能性がありますのでご協力をお願い致します。
6.ネタSSは原則何でもご自由ですが「生々し過ぎる・性的・残酷すぎる」SSは禁止です。それらを守れれば「自重しないSS」はOkです。後は七つ目を読み、警告を入れましょう。
7.ネタSSが人を選ぶ様な場合はSSの最初に警告で目立つ様に表示してください。
  また、ウィキに搭載しても良い場合は警告の時に一緒に供述してください。またこのSSに限り何か禁止、許可したい場合なども警告に一緒に供述してください。
8.他作者の二次創作関連の話は慎重に取り扱いましょう。荒れる可能性が高く、他作者のファンの皆様の機嫌を損なう可能性があります。十分気をつけましょう。
9.産業作品や他作者の二次創作関連も含め、批評などは「きちんとした理由」なしに書き込まないようにしましょう。元々二次創作などは炎上しやすく、些細な事でここの掲示板に多大な迷惑をかける可能性が高いです。そこら辺もよく考えた上で書き込みましょう。
10.新規SSを投稿する際には議論の混乱を避けるため2015年時点で最も議論されている戦後夢幻会世界か、そうではない全く別の作品かを明記しましょう。
11.戦後夢幻会世界についての新規SSを投稿なさる際には議論の混乱を避けるためにひゅうが様・yukikaze様のルートがベースか否か、又はお二方とは異なるルートかを明記しましょう。
12.みんなで仲良く話しましょう。


次スレは>>980が立てること、できない場合はスレ作成を依頼して下さい。

前スレ
その84:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/9191/1488902638/
その83:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/9191/1485991411/
その82:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/9191/1484464169/
( 中 略 )
その1:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/9191/1405263128/

951名無しさん:2017/04/10(月) 07:51:39
あれ?
烈風は艦上戦闘機とするんですか?それとも高高度戦闘機(史実烈風改)?

>>機械駆動式の過給器の改良
火星二六型の改良であれば過給機の翼車直径を拡大しています。

952名無しさん:2017/04/10(月) 08:09:20
>>951
最初は艦上戦闘機で、陸上高高度戦闘機に転職した。
で、この量産機の一部を艦上戦闘機として試作だけは作った状況

テストに信濃に載せたという案も

953名無しさん:2017/04/10(月) 08:25:58
ハ43って、記述によって評価が違うんだなと思う。

Wikiのだと、ハ43はダメダメされてるが
艦これWikiの震電項目だと、いきなりよく回って実用性エンジンは最高だとか

954名無しさん:2017/04/10(月) 08:29:55
yukikazeさんの世界でも史実とその辺りが変わらないとすると、
紫電改/雷電(特に三三型)及びその他の計画機・試作機の状況に大きく依存しますよね。
史実では、
紫電改->烈風なんて要らないになった主因の一つ
    配備が始まったら誉の不調で稼働率がぁ
雷電->低性能・振動問題であわや生産中止も
   火星二六型に変えたら、あらびっくりの高性能
   南海地震と空襲で改良された三三型は大した数作れてませんが
でしたがyukikazeさん世界でどの程度変化(前倒し)されているか。
マリアナを取られてないから空襲は考えなくて良いとしても地震はくるだろうし。

955フォレストン:2017/04/10(月) 09:30:16
>排気タービンも2段2速式も当時の日本で出来たかは微妙ですが・・・
ターボコンパウンドはどうでしょう?

h ttps://ja.wikipedia.org/wiki/ターボコンパウンド

排気でタービンを回転させるところまではいっしょなのですが、タービンで過給するのではなく、ギアや流体クラッチでタービンの回転力をエンジンに伝えて出力増加を図るシステムです。史実では試験的に栄に搭載して1500馬力を出しています。航空用ディーゼルのノーマッドに採用されています。

h ttp://www.warbirds.jp/ansq/11/A2002325.html

実際に試験的ではありますが、栄に搭載して1500馬力を出してます。こいつを誉に装着すれば…!
問題はギアの加工が全て削り出しという無駄と手間の塊という点ですが。
逆行知識を活かして、ロストワックス法で精密鋳造すればなんとかなる…といいな。

956名無しさん:2017/04/10(月) 10:40:31
高高度で空気が薄くなるのを過給器で補っているので、ターボコンパウンドでは
出力低下やノッキングの対策にならないのです…

957名無しさん:2017/04/10(月) 10:52:51
しかし烈風のでかい機体と広い翼は高々度戦闘機向きなのか。

958名無しさん:2017/04/10(月) 11:48:28
>>排気タービンも2段2速式も当時の日本で出来たかは微妙ですが・・・
水エタは既にやってるし、Fw190/Ta152の前例にならうと残るのはGM-1相当の
ニトロ噴射装置ぐらい。。
GM-1を見ると結構重いし(ボンベが100kgぐらい)、使用時間は短い(諸説あるけど最大8分程度)けど
烈風の胴体だったら積む空間はあるでしょう。

959名無しさん:2017/04/10(月) 12:07:58
>>957
つTa152
実機は高高度戦闘機としてモノにならなかったなんて事実は言っちゃダメだ

960フォレストン:2017/04/10(月) 12:18:07
>>956
ターボコンパウンドだと過給しないでエンジンに出力を渡すから高高度だと厳しいのですね。
R-3350はB29に搭載されてたから、ターボコンパウンド化されても無条件で高高度に強いと思ってました(汗
ターボコンパウンドの恩恵は高度性能よりも出力向上による経済性なのですね…。

>>957
高高度だと揚力の媒体となる空気が少なくなるので、そのぶん翼面積を確保する必要があるかと。
ついでに、空冷だと空気が少なくてエンジンが冷えなくなるので大容量のクーラーも必要になります。
史実だと、高空で寒くて冷えるからクーラーは弱くて良いだろうと思って実際テストしたらエンジン冷却不足なんてことも。

961攻龍 ◆N7DVv.HogQ:2017/04/10(月) 12:28:42
>>939
>荷重値逆?
多分、要求性能の中の「離陸滑走距離」「零式艦上戦闘機に劣らない空戦性能を確保すること」がひっかかったのでは?
150kg/m2だと雷電ほどではないにしても直線番長っぽくなると考えられた他、艦載機として求められるSTOL性能が出せなかったのかも。
…実際には、重量増加で130kg/m2が150kg/m2に増加したけど性能的にはほぼ問題なし(艦載機運用の断念も大きい)だったことからとりこし苦労だった模様。

962攻龍 ◆N7DVv.HogQ:2017/04/10(月) 12:31:39
>>961
ごめ、解消してましたね。
更新忘れてて書いたもので…(´・ω・`)

963名無しさん:2017/04/10(月) 12:32:00
>>959
Bf109Hも高高度戦闘機として翼端延長してますしね

964名無しさん:2017/04/10(月) 12:35:09
そもそも烈風は最初は150kgとして要求されて、設計がある程度進んだらいきなり130kgになったんだもんな
150ならかろうじて誉でもいけんことはないと言ったのに130になると
誉ではむりだ、ハ43で要求満たせると本に書いてありましたな

965名無しさん:2017/04/10(月) 14:10:38
しかしまあ、零戦から紫電に至るまで戦後夢幻会世界の帝国海軍艦上戦闘機は求められる物に応えて正当進化し続けた訳だな。

966名無しさん:2017/04/10(月) 14:53:43
必要な時に間に合った
ただそれだけで千金に値する

967名無しさん:2017/04/10(月) 17:13:18
>>964
最高速度と離艦性能や高高度性能といった矛盾する条件を両立させようとしたからね。
機体設計で補うには限度があって、行きつくところはエンジンパワーでねじ伏せるしかないと。
まあ誉どころかハ43(MK9)でも足りないんだけどね。
海軍の要求をマジメに実現しようとするとワスプメジャー辺りが必要な気がする。(計算したわけじゃないんで適当)

968967:2017/04/10(月) 17:30:17
>>烈風を実現するために必要なエンジン
軽量、小投影面積という点ではネイピア セイバーの方が良いかも。
日本では絶対に試作すらできない化け物だけど、それはワスプメジャーも同じだし。

969名無しさん:2017/04/10(月) 17:31:06
>>967
ハ50積んだしのう

970yukikaze:2017/04/10(月) 18:19:40
とりあえず習作狙いで投下。適宜修正はかけます。

17試高高度要撃戦闘機 烈風改

全幅  14.5m
全長  11.0m
全高   3.6m
翼面積 23.50㎡
自重  4,200kg
全備  5,700kg
発動機 三菱『木星』21型(2,200hp)中島『勲』21型(2,400hp)
速度  656km(高度6,500mで『勲』搭載機は672km。高度1万メートルでは、それぞれ602kmと620km)
上昇力 6,000mまで5分50秒(『勲』搭載機は、5分20秒)
航続力 1,600km(正規) 全速30分+2,200km(増漕あり)
武装  九九式二号20mm機銃5型×6(翼内・携行弾数各250発)
    五式30mm機銃×4(計画のみ)
爆装  三式ロケット弾発射器×4(内部には、R4Mロケット弾10発が携帯)


(解説)

日本陸海軍が正式採用した最後の戦闘機である。
軍の度重なる要求の変遷に翻弄された『悲運の戦闘機』として名高いが、
終戦直前の3ヵ月間に渡り、帝都及び北九州の防空を司り、日本陸海軍防空部隊の最後の煌めきを
放つことに成功している。

よく知られているように、同機体は、当初は零式艦上戦闘機の後継機として計画されていた。
開戦直後の計画と言う点で批判される向きがあるが、主任設計技師の堀越技師が度重なる激務から
長期間療養に入っていたことなどを考えると、これを以て海軍側の怠慢というのは酷である。
一部には「中島や川西に開発させておけば、マリアナで疾風や紫電改が間に合ったはず」という
意見はあるが、これも14試や15試では、誉エンジンの完成がどうなるか不明な状況であり、
しかも中島は、艦上戦闘機の経験が遥か過去であり、川西に至っては、そもそも戦闘機を設計する
実績がないということを考えれば、三菱一択であった。

だが、海軍を擁護できるのはこの一点のみであった。
それ以外の遅れについては、これはもう海軍の失態と言ってよかった。
海軍が三菱に提示した要件は以下である。

・最高速度   高度6,000mにおいて345ノット(638.9km/h)以上
・上昇力    高度6,000mまで6分以内
・航続力    全力30分+250ノット(463.0km/h)巡航5.0時間(過荷重)
・離陸滑走距離 合成風速12m/s時80m以内(過荷重)
・降着速度   67ノット(124.1km/h)
・武装     九九式20mm二号機銃2挺、三式13mm機銃2挺
・その他    零式艦上戦闘機に劣らない空戦性能を確保すること

これだけ見れば、別段おかしい点はなかった。
海軍が欲しているのは『ゼロ戦の高性能化』であることが見て取れるからだ。
だが、海軍側がエンジンと翼面荷重に注文を付けた事で、事態は一気に暗礁に乗り上げることになる。

まず、海軍はエンジンを三菱が求めていたMK9(『木星』エンジン)ではなく、既に正式化された『誉』
エンジンにするように求め、軽空母にも離着艦しやすいように、翼面荷重を130kg/m2にして欲しい
という要望を出している。
この要望自体も別段おかしい所はない。いつできるかわからないエンジンよりも完成しているエンジンを
軸にするのは当然であるし、新鋭戦闘機をどの空母でも使えるようにしたいというのも、用兵側の論理
としては間違ってはいない。

問題はただ一つ。海軍の要求を全て聞いていたら『絶対に』完成しないという点であった。

971yukikaze:2017/04/10(月) 18:20:29
この40年後にも似たような事態が、国防空軍において勃発することになるのだが、三菱側の「これを全て
満たそうとしても物理的に無理である」という意見に対して、海軍側は内部での意見調整ができずに
結果的に「ゼロ戦でもできたんだから、今回も三菱ならできる」という、責任の押し付けをするという
愚行をすることになる。
さしもの堀越も腹に据えかねたのか「我々は打ち出の小槌を持っているのではありません。はっきり
申し上げてこの内容で全てを満たすのは不可能です。そんなにできるといわれるのならば、空技廠の方々
が作られればよろしい。量産に耐えうる機体を作られるならば」と言ってのけ、空技廠側からの罵声を
受けるということになったが、堀越のこの懸念は正しく、これ以降も防弾性能やら何やらを積まされた
結果、1944年1月に完成した試作1号機の性能は、操縦性・安定性・視界・離着陸性能はともかく、
速度はゼロ戦32型並み、上昇性能に至ってはそれ以下という悲惨なレベルであった。
その結果を見た堀越が「だから言ったんだ」と、海軍側担当者を睨みつけ、海軍側は、予想以下の出来
による責任問題を擦り付け合う醜態を見せるなど、もはや見苦しい以外の何物でもない状況になり
同機体はもはや完全に暗礁に乗り上げることになる。

こうした事態に完全に呆れかえっていたのが、軍令部次長として辣腕を振るっていた栗田であった。
ソロモンでの負傷から、海上勤務をするのには支障を来していたとはいえ、明敏なる頭脳を持つ彼は、
日夜、軍令部に生息している「プライドは高いが、責任能力もなければ想像力もないバカども」を
やり過ごしつつ、密かに終戦へのグランドデザインを描くべく奮闘していたのだが、この悪い意味での
官僚思考を見て、「ああ・・・やっぱりこいつらじゃダメだ」と、見切りをつけつつ、断を下すことになる。

まず彼は、烈風の艦上戦闘機としての計画を完全に停止した。
前線においては、「いつ来るかわからない新兵器」よりも「確実に届く兵器」が必要なのである。
この時期、F6Fと互角以上に戦える紫電改が完成していることを考えれば、少なくとも烈風に拘る
必要性などどこにもなかった。彼はあと1年で戦争を終わらせるつもりであったからだ。

次に、今回の一件で、三菱に責任を負わせていた海軍側の担当者達を閑職に回してのけた。
『自らの無定見さで、戦時において貴重な資源と予算と時間を無駄に費やすとは何事か』という
論理の前に、彼らは何も言うことはできず、戦後もこのツケによって、就職等でえらく苦労する羽目に
なるのだが、それはまた別の話である。

そうしておいて、彼は、三菱に対して、艦載機型を停止する代わりに『高高度要撃戦闘機』として、
1945年初旬までに完成できないか打診することになる。
この時の要求としては

・ エンジンの選定は三菱に一任
・ 短時間の急上昇よりも高高度までの持続上昇を重視し、高度10,000mまで15分
・ 武装は20mm6門乃至は30mm4門。これにロケット弾発射器4基
・ 速度は10,000m付近で600kmを超えること
・ 防弾は強固にすること。少なくとも12.7mmへの対処は必須
・ 運動性については、敵重爆への反復攻撃を主とし、敵戦闘機との格闘戦は、雷電以下で良し

『高高度からくる敵重爆を落とすことだけを考えろ。それ以外はいらん』という、恐ろしく割り切った
内容であったが、栗田にしてみれば、マリアナが陥落してB-29が襲来するようになった場合、最悪は
B-29と原子爆弾のコンボだけは何としても防ぐ必要はあった。
故に彼としては『高度10,000mでもB-29の安住の地ではない』ことを示す機体が必要だったのである。
三菱にしてみれば『今更勝手なことを』という気分ではあったが、しかし高高度要撃戦闘機ならば
艦上戦闘機よりも数は出るということと、海軍の要求は相変わらず高いものの、その分割り切ったもの
であり、しかも三菱側で選べる余地も多いことから、1944年3月には、海軍側の要望を受け入れ、
突貫での作業が開始されることになる。

972yukikaze:2017/04/10(月) 18:21:00
同機体の最大の特徴が、8.95という高アスペクト比の主翼を採用した事である。
高高度性能(高速での持続上昇・持続旋回)の面を考えた場合、アスペクト比は高い方がよかったこと
によるのだが、ここら辺は雷電でも取り入れられた手法であり(但し雷電は6.4程度であったが)
それをさらに追及したものであった。
無論、細長い翼で高速性能を追求して翼厚比を小さくすると、捩れ強度の確保が難しくなることから、
これまた雷電で取られたような、横操縦に抗力板を使い、捩れ強度中心に近い位置に動翼を置くことで、
主翼にかかる捩りモーメントを低下させ、捩れ変形による操縦性への影響を抑えている。
もっとも、抗力板は高速時にこそ効果を発揮するものの、低速時には極端に効きが低下する欠点があるため、
補助翼と抗力板を併設し、低速時には補助翼のみ動かし、対気速度の上昇とともに抗力板の動きを大きくし、
逆に補助翼の作動角は小さくする機構を組み込んでいる。
戦時設計であることを示すように、三菱の設計陣は、可能な限り既存の技術を流用することで、早期の
実戦配備を図ったのであった。
ちなみにこの主翼採用により、日本海軍戦闘機としては破格と言っていい20mm機銃6門を積むという
重武装戦闘機になったのだが、その反面、翼内の燃料タンクが、翼面積の兼ね合いからそれほど
大きくとることができず、航続距離についてはある程度妥協することになる。

エンジンについては、三菱の希望通り『木星』21型を積んでいる。
これは、高高度性能を高めた『火星』二六型エンジンに倣って、吸入口と過給器を改良したタイプである。
三菱としては、高高度用エンジンとして、排気タービン乃至は、過給機を二段二速にしたエンジンが
最善であると認識していたのだが、現時点での自らの手札にはないことから、それよりはだいぶ落ちるとは
いえ、技術的にはハードルの低い方策を採用している。
もっとも、三菱側も同エンジンでは性能がギリギリであることを認めざるを得ず、(三菱にとって実に
腹だたしいことに)中島で試験が最終段階に入っている『勲』エンジン(史実ハ44-12)搭載型も並行して
設計を行っている。
重量としては、『勲』が数十キロ重く且つ直径も50cmほど大きいことから、単純に搭載した場合、重心や空力
の問題が発生するのだが、三菱側には全くと言っていいほど余力がなかったため、この件については、
極めて異例ではあったが、空技廠及びエンジン換装の経験を持つ愛知の人員を使うことによって対応している。
まあ愛知にしてみればいい迷惑であったのだが、この時の判断により、東南海地震において打撃を受けた
三菱での生産で混乱が発生したのに対し、1945年3月から生産を開始できた烈風改二(『勲』搭載型)が、
その穴を埋めた事から、極めて幸運であったと言える。

同機体を最も有名にしたのは『源田の剣』こと三〇二空の活躍である。
前任の小園大佐が、帝都爆撃による一般民衆の犠牲の責任を感じて自殺未遂を行ったことで、その後任として
着任した源田実は、持ち前の豪腕を発揮して、部隊の立て直しに奔走。
主力こそ雷電及び雷電改であったが、高高度要撃戦闘機として烈風改二、夜間戦闘機として天雷を配備する
ことに成功させ、アメリカ陸軍が、オペレーションアイスバーグの完全なる失敗を受けて行われた
『オペレーションバグハウス』作戦(東京を保有するB-29の全力を以て焼け野原にする計画。空中給油部隊
を利用して高高度からの侵入を果たす部隊に気を取られたところを、時間差で低空から侵入する部隊の攻撃で
止めを刺すことを企図した)において、高高度の領域がB-29の安住の地ではないことを示し、(烈風改二
が高高度から侵入したB-29の集団30機を、ロケット弾の一斉発射と20mm機銃6門で壊滅させた)予想外の
事態に慌てた主力部隊60機も、天雷と雷電改の盛大なる歓迎会の前に、東京への侵入も果たせず壊滅させ、
事実上これが最後の日本への戦略爆撃となっている。

生産機数こそ、東南海地震等の影響により、烈風改と改二を併せても100機弱という数字で終わったが、
終戦間際の派手な戦果(何気に北九州でも鉄壁の守りを果たした)もあいまって、同機体こそ日本陸海軍中
最強の戦闘機と呼ぶ声もある名機であった。

973yukikaze:2017/04/10(月) 18:34:14
投下終了。なにこの日本版Ta152Hという機体。
勿論、オリジナルと比べると、性能的に劣っているんですけど、
そこら辺は高馬力でねじ伏せることで、最低限ラインまで抑えています。

武装が多くね? と、思われるかもしれませんが、烈風高高度運用型(A7M3)
の武装がまさにこれなんですよねえ。
無論、翼面積がだいぶ減少していますんで、増漕つけての2,200kmも、
まあ実際の戦闘では1,700km程度で終わっていそうですが。

源田は普通に三四三空ネタ。
終戦決定ギリギリでの帝都上空の攻防戦って燃えません?
ひゅうが氏。書いてもいいのよ(チラチラ)

まああくまでリハビリ用の習作ですんで、修正かける所あればかけます。

974New:2017/04/10(月) 18:37:21
乙。高高度だと20mmやロケット弾食らうと与圧の関係で外に乗員が
吹っ飛ぶらしいからB-29の乗員に取っては悪魔に等しい機体だな
島流し食らった面々は三菱に睨まれ続けそう・・・

975名無しさん:2017/04/10(月) 18:53:08
とりあえず烈風に130kgを主張した周防元成大尉の将来は終わったな
何気に32型の翼端切断を改悪と言った人だし

976時風:2017/04/10(月) 19:03:46
乙です。
烈風きたー!!(烈風好き並感)
相当なぐだぐだもありましたが、本機が高高度要撃戦闘機として生まれ変わり、ギリギリと1945年初旬に間に合ったのは本当に良かった……
20mm六門という大火力と上昇力、そして高度一万メートルでも保てる速度。
かなり遅ればせましたが、生まれ変わった本機も『必要なときに間に合った』機体になれたのでしょうか?

977ひゅうが:2017/04/10(月) 19:08:32
>>970-973
乙です。
これはいい烈風改。
よし。B-29搭乗員から恐怖の対象としてのあだ名を進呈しよう。

「ハーピー(・イーグル)」と。
高いアスペクト比の翼をもって高高度を駆け、さらに猿や爬虫類、両生類まで何でも見境なく食べる悪食さ(凶悪な戦闘力)は、この機体にふさわしい。
また、イーグルを省略すれば「凶鳥」。凶事を告げる悪魔の鳥ともなるわけです。

いかがでしょうか?

>書いてもいいのよ
そして、それは私への挑戦だな?!

978陣龍:2017/04/10(月) 19:17:49
乙であります。素人が専門家の意見を無視して強行させたら大概ロクな事に成らないと言うのが大変
良く分かりました(小並感)

ある意味戦前、戦中の日本航空機技術の集大成と言えるかも知れない高性能な機体ですなぁ、史実だと高高度のB-29には
実質機体軽量化を重ねた末の体当たりにまで行き付きましたが、この世界の烈風はそんな事しなくても普通の迎撃戦が
可能ですし。後発動機も全体の色々と供給力がオーバーヒート状態な中一定数揃えられたとか羨ましスギィ>by史実

しかしまあよく言えば『三菱への信頼』と言えますが悪く言えばただの思考放棄と似た様な物ですよねぇ>今回も三菱なら出来る

そして40年後に同種の事例をよりにもよって被害を受けていた三菱にかましてしまった訳で。しかも上からの
一喝が出るまでは自己浄化も出来ずに醜態晒し続けて。こんなトコまで受け継がなくても良かったのに…

と言うか小園大佐終戦する前の時点で自殺未遂やらかしていたのね…コレ公平に見た場合余り
宜しくない行為だと思いますけど最終的にどう総括されたのだろうか

979New:2017/04/10(月) 19:44:06
米軍から「我々は初戦から終戦までゼロの系譜に悩まされ続けた」という言葉が漏れそうだな

>五式30mm機銃
計画のみとなるとやはり間に合わなかったか・・・
あれって結局兵器としての評価ってどうでしたっけ?

980名無しさん:2017/04/10(月) 19:44:47
乙です。
戦後数十年後、F-2に烈風の名を付けた御仁は余程の皮肉屋か諧謔趣味の持ち主か……

しかしまあ、R4Mロケットを常用出来るようになっているのは陸海軍航空隊にとって本当に大きいのだろうなあと。

981名無しさん:2017/04/10(月) 19:45:19
>>980
次スレよろ

982名無しさん:2017/04/10(月) 19:51:42
さて、スレ立てするか。

983名無しさん:2017/04/10(月) 20:07:12
スレ立て完了。

984yukikaze:2017/04/10(月) 20:33:23
>>974
ただ高高度要撃能力に全振りしましたので、戦闘機との空対空戦闘においては
雷電よりも劣ります。
航続距離も、通常で1,200km。増漕つけても1,600程度にした方がいいかなあ。

>>975
多分終わったのは、海軍航空本部の上層部および中堅どころかと。

>>976
ギリギリ間に合ったかと。

>>977
帝都を焼け野原にする事で『戦略空軍による戦争終結』という野望に燃えるルメイ。
そしてそれを止めようとする302空。その背後では継戦派と終戦派の間の暗闘が
繰り広げられていたって、誠にひゅうが氏好みの展開でしょ(ニッコリ)

>>978
史実通り、雷電33型が量産されていれば、もう少し楽だったとは思いますが
この時点で、向こうの戦術が変更しちゃっていますからねえ。
まあ1945年5月まではわりと防空部隊も頑張っていたんですが・・・

小園の一件は「立派に責任を取った」「いや責任放棄だ」とかなり論争になっています。
何しろ小園の一件で「海軍は腹を切って詫びようとしたのに陸軍は」という空気になって
陸軍側の第10飛行師団とかに自決強要の圧力が出たりしましたし。
結局は沖縄での決戦やら何やらで有耶無耶になるのですが、この一件から、第10飛行師団
の幕僚層の海軍への蟠りが発生し、これが終戦後の小園に対する海軍上層部の評価が
辛い原因になります。

>>979
翼の改設計に間に合わなかったというべきですね。
ちなみに史実のアレは最終試験完了前に試作図面で量産発注して、欠陥品を乱造した
という笑えないオチがありますが。

>>980
ちなみにその名称にしたのが、海軍退役した田中角栄(憂鬱山本五十六)というのが。
相も変わらずこの人は性格が悪いです。

985トゥ!ヘァ!:2017/04/10(月) 20:43:58
建て乙です

986陣龍:2017/04/10(月) 20:59:53
スレ立て乙です

>>984
>>何しろ小園の一件で「海軍は腹を切って詫びようとしたのに陸軍は」という空気になって
>>陸軍側の第10飛行師団とかに自決強要の圧力が出たりしましたし。

日本人らしいですが一体全体何処の馬鹿だそんな空気作り出しやがったのは…(頭を抱える)

圧力加えたのは戦後100%叩き出されるのは確定としても、被害を受けた第10飛行師団の面々が
哀れと言うか悲劇過ぎて笑えない。故国防衛の為奮闘している勇士に後ろ弾叩き込んで楽しいのか、
楽しいよな自分が直接銃弾浴びる訳じゃ無いんだからさ(死んだ目)

987ham ◆sneo5SWWRw:2017/04/10(月) 21:01:41
立て乙

988弥次郎:2017/04/10(月) 21:08:44
乙です

机上の空論は役に立たないというのは残当。
メーカーの能力に胡坐をかいて無茶な要求突き付けるとか一番やっちゃいけませんよなぁ…
まあ、それだけ零戦の成功がインパクトがあったということなのでしょうけど

989yukikaze:2017/04/10(月) 21:13:20
>>983
失礼。立て乙です。

>>986
まあこの辺は日本人の欠点でもありますから(遠い目)
しかも最悪な事にこの時期前後して第10飛行師団長が転任しちゃいましたから
余計に変な圧力がかかることに。

990トゥ!ヘァ!:2017/04/10(月) 21:16:07
yukikazeさん乙です

ぐだぐだしてる時のお決まり責任の押し付け合い…権力=相応の責任は付随するものと知らんのか

991ひゅうが:2017/04/10(月) 21:23:19

 戦後夢幻会ネタSS――間話「帝都防空戦 ―承前―」



――西暦1945(昭和20)年4月10日 横浜 日吉台地下


「波号第221潜水艦より報告。『敵超重爆大編隊、本土ヘ向ケ大挙侵攻中。高度、8000以上。』」

赤い照明に満たされた室内に、光がともった。
アクリルガラス製の表示板の上には、白線で日本列島周辺の地図が様々な縮尺で描かれている。
小笠原諸島南端までを含むものもあれば、現在激戦が繰り広げられている沖縄本島周辺から中国大陸の奥地までを含むものもある。
中でも最大の面積を占めているのは、関東地方を中心として伊豆諸島北部の輪郭を描き出したもので、そこにはいくつかの色に分けられた光があるいは灯り、あるいは明滅していた。
これらは関東地方周辺の航空基地やその上の展開状況をあらわしていた。
手作業で管制されているために表示のタイムラグこそあるが、これを使えば関東上空を飛行する航空機は一目瞭然なのだった。

三方の壁面にも同様の表示板があったが、それらには地図のグリッド線の格子模様とは違って何段階かに分かれた目盛線が太線で表示されており、細い破線が縦に引かれている。
わずかに湾曲している横線と縦の破線は、高度の表示板だった。
三方の壁を見れば、縦横軸をもって立体的に航空機の高度を把握できるようにできているのだ。

「父島電探基地、大島電探基地の感度は良好。敵大編隊、数は350以上です。うち50前後は高度1万を超えている模様。
連中、こちらを舐めているようですな。」

海軍から派遣されている参謀がいった。
この日吉台はもともとは連合艦隊司令部壕として建設が計画された地下壕である。
南雲GF長官たっての希望で横須賀に残り続けている連合艦隊司令部が海軍の消極的な賛同を得ている今、この場所は海軍が提供している扱いとなっているのである。

陸海軍統合防空司令部。
実質的には東部軍管区の防空司令部に海軍が合流したような代物ではあったが、この防空態勢が成立したことはある種の奇跡に近かった。

「電波妨害に対抗して線警戒機を同時起動させていたが…」

東部軍管区防空司令官が眉をひそめた。
最高戦争指導会議に詰めたきりの防空総司令官にかわり、彼は実質的な帝都防空の総責任者となっている。
体よく責任だけを押し付けられたようなものだったが、陸軍軍人らしい責任感でもって彼はこの仕事をこなしていた。

陸海軍が二つの防空司令部をたてていることを知った軍需省が「予算の無駄」として皇居…宮城に爆弾を落とされる恐怖をたてに強引に統合したこの司令部には、少なくとも防空に関して足を引っ張り合う趣味を持つ人間はいない。

いや、いるにはいたが、東条英機大将が手ずから動かした憲兵隊の手によってそのことごとくが拘禁されていた、というのが正しい。
実に皮肉な限りだが、ここへきて日本の陸海軍は完全な戦争指導の統合を達成していたのだった。


「やはり連中、舐めてかかっているようだな。」

「今日は、上空を強い気流が流れています。」

気象参謀がいった。
彼は、厚木基地や大島基地を飛び立った気象観測機からの情報を集計し、天気図を更新し続けている。
この司令部の表示板は、大阪からダース単位で呼び寄せた文楽や人形浄瑠璃の達人たちによって動かされている。
同様に、天気図の更新も人の手に頼っているのだった。
電子化という目標は放棄されて久しい。

支持棒を使い、気象参謀は器用に大東島北方の海上を指さした。

「現在、急速に低気圧が発達中です。雷電改などでは長期間の滞空と接敵が困難です。連中、それを狙ったのでしょう。」

「確かに気になるな。このまま関東方面へ向かうとも思われるが…」

ちらり、と陸軍から派遣されている参謀が気象参謀の方を見た。
彼は、あのキスカ島撤収作戦において天気図を描いた経験を持っている。
それを知っているのである。

992ひゅうが:2017/04/10(月) 21:23:50
「私としては、なんとも。ただ、この急速な発達をする低気圧は予想外の動きをすることがあります。第四艦隊事件の時のように。」

「南西諸島方面へ?」

「おそらく。しかし、しばらくはこの海域で滞空するかと。
あくまで経験からいわせていただければ。」

ふむ。と東部軍管区防空司令官は腕を組んだ。
天気は西から東へ向かって変わっていく。
これが常道だ。
もしもこのまま低気圧が東進を続ければ、関東地方上空を通る気流は大きく乱れる。
下手をすれば、迎撃戦闘機が高高度で滞空できないかもしれない。
そうでなくとも高高度へ上がること自体が難しいのだ。

実際昨年12月に行われた東京大空襲においては、冬の大荒れの天気を突いて来襲した敵戦略爆撃隊によって東京下町が集中的に爆撃され、3000名以上の犠牲者を出している。
このときは、低高度侵入であるにも関わらず敵戦略爆撃隊の第一次捕捉に失敗していた。
先ごろ稼働を開始したというマリアナ諸島にいる敵将はそれの再現を狙っているのかもしれなかった。

「今の段階で全力待機するのは危険です。」

陸軍参謀がいった。

「高高度で滞空しているうちに通常の戦闘機隊では燃料が尽きます。」

「高高度戦闘機のみを滞空させては?通常の局戦は通常通り待機として。」

海軍参謀が反論する。

「戦力分散になりはしないか?」

陸軍参謀が眉間の皺を深める。
日本側が持つ迎撃戦闘機は無限ではない。
上空での気流の乱れから高高度戦闘機部隊が退避を余儀なくされた場合は、その分少ない数の通常の迎撃戦闘機部隊で敵超重爆を相手にしなければならない。

盟邦ドイツを連日空爆している敵超重爆B-29は、その高高度性能もさることながら化け物じみた防御力が何よりの脅威であるのに。

「しかし、気象参謀は天候はこのままと言っています。うまくすれば下と上から敵超重爆を挟み撃ちにできるかもしれません。」

海軍参謀が応じ、司令官の方をそろってみる。
気象参謀の後ろでは、この道30年以上という中央気象台から派遣された技官たちが固唾を呑んで司令官の方を見つめていた。
軍属という形でこの司令部に詰めている彼らは、基本的に軍事に関する発言権を有していなかった。
そのため、気象参謀を通じて進言をしていたのだった。

数秒だけ目を閉じ、司令官は決断を下す。


「高高度戦闘機部隊の上空待機をとろう。」

陸軍参謀は、よろしいのですね?という風に少し首を傾げる。

「気流が乱れると踏んだのなら、敵の侵入経路は、富士山上空で変針し帝都を目指すという昨年の東京大空襲のコースをとる可能性が高い。
大編隊をもって浦賀水道上空を通り過ぎるのは、横須賀防空砲台の存在からも考えづらいからな。
かといって房総上空からでは、接近する低気圧や富士山上空の気流に逆らって飛ぶことになる。
これも大編隊の侵入路としては今回は不適当だろう。」

いったん言葉を切った。

「敵超重爆を一網打尽にする好機である。
やるぞ。」

993ひゅうが:2017/04/10(月) 21:24:23


――同 海軍厚木基地


「発動機まわせ!」

「噴進弾はまだか!在庫一掃でいい、ありったけもってこい!」

怒号が響き渡る。
帝都防空を担う海軍第302航空隊は、その所在地から厚木空と呼ばれることが多い。
同じく帝都防空の任につく陸軍の飛行第244戦隊が調布、飛行第5戦隊が立川空と呼ばれるのと同様である。

もとは、横須賀鎮守府の外郭に位置していたこの厚木基地は、今やその位置から帝都東京を守る最前線と位置づけられていた。

関東平野上空8000メートルを吹き渡るジェット気流は、富士山の上空で大きく蛇行して東京上空へ向かう。
そのため、ここ数か月は無理をして高高度侵攻を行うアメリカ陸軍戦略爆撃隊は帝都を目指す場合にはこの厚木基地のすぐそばを通ってゆくのである。

とはいっても、ここ2か月あまりは帝都を目指す動きはそれほど活発なわけではない。
昨年末の東京大空襲において、送り狼としてB-24爆撃機400余機に襲い掛かった厚木空が敵に壊滅的な打撃を与えていたためだった。
以後の米軍は本土周辺への数十機単位での機雷投下へと戦術を切り替えており、同時多方向からこれを行うことで着実な本土の機雷封鎖を行うことを優先している。
実にいやらしい戦術であるが、効果は抜群だった。
いくら迎撃して撃ち落としたとしても、必ず別方面に機雷が敷設され、多大な手間をかけた掃海か近海航路の被害、そして港湾の封鎖が発生するのである。

これに鬱憤をためていた厚木空は、いざ大規模編隊による襲撃という報告を聞き、全力出撃を即決したのである。


「高高度待機組の第1梯団、出撃準備を完了しております。」

「よろしい。」

海軍第302航空隊指揮官と厚木基地司令を兼ねる源田実少将が深く頷く。
前任の小園司令官(現在は館山空付き)から交代して以来、待ちに待った機会である。
これまで陸海軍は帝都周辺だけでも2000機を超えるB-24を落としてきた。
そこへきて、この機会だ。
マリアナに展開する敵戦略爆撃隊は500機あまり。その総力出撃に近い今回の来襲を撃退できれば、本土への圧力は大幅に減じることができるだろう。
それは、沖縄本島での文字通りの「決戦」に総力を投じようという海軍の希望が現実になることを意味している。
その先駆けとなれないことは残念ではあったが、それ以上に帝都防空という名誉が源田の心を満たしていた。

実際、戦後に出版される回顧録において源田はこの仕事を生涯の誉とまで言い切っていた。


「編成は?」

「第一波は、烈風改二特35機、極光(キ83)20機です。第二波以降は中高度待機。
以後、第四波までの準備を完了しました。」

「結構。」

源田は薄く笑った。

994ひゅうが:2017/04/10(月) 21:24:54

烈風改の航続距離を犠牲とし、発動機を口径の大きなハ50へ換装し、機体とカウリングの間の段差の気流を「排気管で吹き飛ばす」という強引な方法で解決した「改二特」あるいは非公式に「改三」と呼ばれる改造機を操るのは、いずれも熟練の戦闘機乗りたちだ。
翼下にぶら下げた噴進弾や強力極まりない30ミリ機関砲は、いかな敵超重爆も粉砕するだろう。
そうした確信が彼にはあった。
高速度性能から陸海共用機となったキ83「極光」は、烈風改二シリーズよりもはるかに余裕のある携行弾数でもって敵編隊を引っ掻き回す役である。

彼ら302空の後方には、立川に展開する飛行第5戦隊や帝都防空の最後の砦である調布の飛行244戦隊が控えている。
さらには、久我山周辺を皮切りに配備がはじまった高高度高射砲(海軍15.5センチ砲転用)が隊列から落伍した敵超重爆を狩り出す役目を担っていた。
運悪く浦賀水道方面へと向かえば、猿島砲台や東京湾要塞第2海堡上に設置された同様の高射砲が火を噴く算段となっている。
一部では東京湾要塞の戦艦主砲すら管制下に置いた防空システムは、数こそ少ないが威力は桁違いであった。

「『剣部隊』、出撃! 高高度がアメさんだけの領域でないことを教えてやれ!」

高いアスペクト比から味方には「イヌワシ」とあだ名される烈風改二が飛び立ち、続いてやや速い速度で極光が続いて離陸する。
管制塔からは見えないが、すでに飛び立った一式陸攻改造の「特殊攻撃機」は、腹に抱いた榴散弾を仕込んだ大型ロケット弾をコンバットボックスを組む敵大編隊に撃ちこむべく上昇を継続中だろう。
また、調布基地や立川基地からも陸軍航空隊に所属する高高度戦闘機 秋水(キ94Ⅱ)や極光(キ83)が舞い上がりつつある。
厚木空独特の高高度の空と一体化した迷彩塗装とは少し違う銀無垢の姿の機体には、いずれも日の丸が描かれている。

彼らは、何もしらずに帝都へ侵攻する驕敵を覆滅すべく、地上からの管制を受けてそれぞれの戦場へと駆け上がっていく。

その頃、関東地方各所には空襲警報が発令。
陸海軍の無線交信傍受班は米軍の無線符丁をつきあわせ、爆撃目標を特定。
それを中央司令部へと伝えていた。



――日本側の期待とは裏腹に、この日帝都東京を狙ったのはB-29だけで編成された大編隊ではなかった。
いわゆる「ハンプ越え」用に作られながらも、実際は運用されなかったB-24C改 200余機。
75機が投入されたB-29とともに進撃する彼らの旅は、日本側がドイツ同様の高高度戦闘機を保有していないという事前情報に基づいていた。

戦争という機会においてはまれによくあることではあるが、彼らは完全に間違っていた。

995ひゅうが:2017/04/10(月) 21:25:50
【あとがき】――ちょっと急いで書いてみました。
いろいろやりすぎたかもしれない…
実際の空戦描写?
さぁて何のことかなぁ!?

996リラックス:2017/04/10(月) 21:25:55
スレ立て乙です。

そしてyukikazeさん乙です。
零戦のごとくに無茶振りすれば良いってもんじゃないと技師達は切れて良いっすねこれは……
ある程度妥協しても良い所とどうしても譲れない所を明確にするのは大事っすね

997陣龍:2017/04/10(月) 21:26:13
>>989
そしてそういう圧力をかけている連中に限ってマトモに前線に出た事も無い癖して無駄に意気軒昂な
頭が良いっぽい馬鹿ばっかり何ですね分かります()

>>990
そもそも政治の上からして権力はまあ兎も角としても責任の所在が行方不明状態ですからね(遠い目)

誰だって権力と言う甘い汁を啜りたくてもクソ苦い責任は全力で取りたくないのが人間の真理でも有りますし、
栗田さん曰く【無駄に高いプライド以外は事故品質な馬鹿共(意訳)】が従容と責任を受け入れる筈も無く(死んだ目)

998リラックス:2017/04/10(月) 21:29:48
ひゅうがさん乙です。
危うく割り込む所だった……

999ひゅうが:2017/04/10(月) 21:32:11
ありがとうございます。
戦闘描写は…書いてもいいのよ?

1000New:2017/04/10(月) 21:36:08
乙。陸攻まで使った防空戦に日本の本気が垣間見えた




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板